実は世界レベルのクオリティ⁉ 嚥下食(えんげしょく)について
こんにちは、グリーンハウスnote編集部です。
以前、病院や高齢者施設で食事提供をしているヘルスケア部門の取り組みをご紹介しました。(前回ご紹介したヘルスケアの取り組みはこちら)
今回は少しアカデミックな内容、嚥下食(えんげしょく)についてご紹介したいと思います。
嚥下食と聞くと、噛む力が弱くなったり、入院した時に食べる食事、といったイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、食べ物をうまく飲み込むことができない人にも食事を楽しんでいただけるよう加工された「一人ひとりに寄り添った食事」でもあるんです。体の具合や環境が違っても食が生活を豊かにすることは変わらないもの。当社含め、昨今多くの企業や施設が嚥下食・介護食に工夫を重ねています。
●嚥下食ってどんなもの?
嚥下とは簡単に言えば“飲み込むこと”です。嚥下食は飲み込みや咀嚼といった嚥下機能の低下がみられる場合に、嚥下機能のレベルに合わせて、飲み込みやすいよう形態やとろみ、食塊のまとまりやすさなどを調整した食事の総称です。大きくは嚥下訓練食、嚥下食、介護食の3つで構成されていて、摂食・嚥下機能の評価レベル(下記図)に応じて、食事の形態が細かく分けられています。
さて、こちらの料理はすべて嚥下食の一つであるソフト食として加工されたもの。当社の高齢者施設で実際に提供しているメニューです。通常のコース料理、季節の御膳メニューに見えますが、どの食材も舌と上あごで潰せるぐらいの柔らかさに加工されているんです。もとの食材に近づけるための型抜きやカット、煮くずれしやすい食材を丁寧に盛り付けるなど、繊細な作業も必要です。こういった細かい手間も料理にとっては味の一つ。実際に食事されたお客様からは「季節感があって楽しめた」「いつもより食が進むので完食できた」というお声も頂いています。
●調理方法はどんなもの?
嚥下食への加工方法はいくつかありますが、その一つに酵素を使う調理方法があります。数時間漬けておくだけでレンコンやゴボウなどの根菜も驚くほど柔らかくなります。味にほとんど影響も無く加工ができるので、嚥下の状態に限らず、体調が優れない時の食事として利用することも可能です。
実際に野菜(にんじんとごぼう)を嚥下食加工用の酵素に漬けてみました🔎写真ではわかりづらいですが、左は酵素に漬ける前、右が酵素に漬けた後。同じ力で押してみると、、、この差です😲
●日本と海外では嚥下食の基準も違う!
実は国内外で嚥下食の基準は異なります。シンガポールやアメリカでの基準は食べ物の固さ・形状で決まっているのに対し、日本の学会の基準は前述の図のように嚥下力や咀嚼力で順番が作られています。
※参考資料:国際嚥下食標準化構想(IDDSI)による分類図
また、施設ではなく家庭で介護することが主流の国や地域では、嚥下食は調理の手間や時間が通常より多くかかるため取り入れていないそうです。日本の嚥下食はより一人ひとりの状態に寄り添った食事として提供できているのかもしれません。
調理の繊細さや、提供するスタッフの細かな気づかいなどは、嚥下食を舌や目でも楽しめるものにしているといえます。訪日外国人が増えている中、医療ツーリズムなどのサービスも広がっていますので、こういった食事もまた「Japan Quality」として注目されるかもしれませんね。
このnoteでもたびたびご紹介していますが、当社は海外のグループ会社とも連携を取りながらイベントを実施しています。ヘルスケア部門の調理技術を生かした料理の展開も企画されていますので、またどこかでご紹介したいと思います。