ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の灯台を見に行った話
コーンウォールが好きです。御多分に洩れず。
たとえロンドンから電車で五時間かかろうが。お尻痛かろうが。痛むお尻をさすりながら結局道中の車窓も、もちろん滞在自体もも楽しんで、またお尻を痛めながらロンドンに帰るわけです。
いいえ、お尻の話がしたいんじゃないんです。
それで、セント・アイヴス湾の方に、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』のモデルになった灯台があるのだと知って数年後、今からは数年前になっちゃいますが、行ってみました。もちろん『灯台へ』読んでから。
ええ、一応読みはしました。難しくてあんまり覚えてないんですが…。
本の中での舞台はスコットランドのスカイ島ですが、ウルフが幼少期に訪れたコーンウォール、このゴッドレヴィ灯台をモチーフにしたんだそう。
泊めてもらったのはヘイルの、というか、ヘイル中心部から離れた海の近く。優しい宿主さんが駅まで迎えにきてくださいました。わたしゃ夏休みの孫かって感じ。道中図書館に寄って地図を入手してくださって。付近を案内してくださいました。ここが最寄りスーパー、ここが最寄りのバス停…バス停がバス停なのかどうか分からないようなところで、宿主さんに「茂みの中に立ってバスが来たら手をあげてね」ってアドバイスを受けた。ま、最悪歩くか…なんて思いながら。なお実際茂みの中に立って手を上げたらまじでバスが停まってくれました。その方法でバスに乗って、セントアイヴスとかペンザンスとかいろいろ回ったけど、それはまた別日に思い出すことにします。
でも一つだけ。ペンザンスで大好きなのはペンリーハウスギャラリー&ミュージアム。ここで食べたクリームティーは今まででベストでございました。
以下紅茶もれもれで写真的にちょっときちゃないですが、映えてないですが、私史上最高のクリームティー。
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さてさて宿泊先からは歩いてビーチに出られましたが、アプトン・トーワンズ(Upton Towans)という砂丘を越えていかねばなりません。Towansはコーンウォール語のTewyn、砂丘という言葉から来ているそうです。
「砂丘では簡単に迷っちゃうので、」と、着いてすぐ宿主さんからアドバイスを受けました。「もし迷ったら、高いところに登って煙突の方向を目指してね。そっちが砂丘の出口」。
ここではかつてコーンウォール中の鉱山に供給するダイナマイトを作ってたんだそうで、この煙突もニトログリセリン作ってた工場の一部だったらしい。他にも工場の跡地、なんか遺跡みたいな感じでしたが、あちこちに残っています。
なお私は滞在中、一度、実際に高いところに登って煙突を探す羽目になりました。まじで簡単に迷えた。焦ったー。
砂丘を(確か)15分ぐらい、散歩中の犬を掻き分けて歩いて行くと、アプトン・トーワンズ・ビーチに出ます。
とても綺麗だった。下の写真の右奥、小島に小さく白い物体が見えますでしょうか。これが、例のゴドレヴィ灯台です。
海岸沿いを、灯台の方向に向けてひたすら歩きます。確か40〜50分ぐらい。ひたすら歩いたので全く写真を撮っていなかったようですが、夏ということもあり、サーフィン講習が至る所で行われてたり、家族連れがたくさん海を満喫してたり、賑わってました。その中を一人でひたすら歩くわたくし。
メインの道をあるいてたのに、なんでか灯台の正面くらいで、幅の狭い岩場にいた気がする。ちょっと怖かったかな。
近くで見るとこんな感じ。
この小島の近くは岩場、というかサンゴ礁が広がってて、ずっと長い間、危険な場所として知られていたんだとか。でもとうとう1854年に約40人もの乗客・乗員全員が亡くなる沈没事故があって、それがきっかけで、結局1859年から稼働開始したらしい。1939年には自動化され、灯台守もいなくなったようですが(灯台守の住居も取り壊しになったそう)、今も現役で稼働中。詳しくはWikiを:
子供の頃に「黒ねこサンゴロウ」シリーズ読んでから、どうにも灯台守に大きな憧れを抱いてしまいます。過酷な仕事でしょうけれど…。
それで、お恥ずかしながら全く記録も日記も残してないので、一体自分がどこまで歩いたのか覚えてないんですけれど、ゴッドレヴィヘッドをぐるっと、South West Coast Pathが車の通る大きな道路にぶつかるぐらい、たぶんフィッシャーマンズコーヴのあたりまで歩いて、それで戻ってきたのだったと思います。
一周ぐるっと歩くぐらいだったら大したウォーキングでもなかったです。
めっちゃいい天気でよかったです。道中どうぞ:
↓灯台まで戻ってきたあたり。
記憶が危うい中、それでもよく覚えてるのが、お昼ご飯を食べ損ねたことです。ビーチ沿いにカフェがいくつかありまして、宿主ご夫妻にあそこのカレーは美味しいよと聞いてたんですけど、戻ってきた頃にはランチの時間が終わっていました。悲しい。
そこで、この日のランチ兼ティータイム、Godrevy Cafeにて。ここの食事は何もかも美味しいとのことですが、時間を逃してこんな具合でした:
美味しかったですので結構でした。疲れた体に甘味は大変よろしかった。
夕方になってましたので、うすく海水が張った砂浜に西日が反射して、綺麗なーと思って撮ったらしい一枚:
そしてあー疲れたーって砂浜にへたりこんで、ビーチをぼーっと眺めていました。次の日ロンドンに帰ることになってたので、すかっと晴れて本当によかったです。
もしかしたらこのすぐあとだったかもしれない、高いところに登って煙突を目指したのは。。
翌日の朝、早起きしてビーチへ行きました。帰りたくなかった。
朝焼けの、こんなに綺麗なアプトン・トーワンズ・ビーチと、遠くのゴドレヴィ灯台。
それでも仕方ありません。帰る時間がやってきました。
優しい宿主さんが、駅まで送ってくださいました。途中アズダに寄って、お昼ご飯買いなされって。アズダのサンドイッチなんて食べるの初めてだった。印象的だったのが、アズダの入り口にコーンウォール後の文章が書いてあったのね。もう途絶えてしまった言葉だけど、近年復活させようという運動が活発になってきてるのだと宿主さんに聞きました。
それで彼女はヘイルの一個奥のセントアースまでうっかり送ってくださって、わたしゃヘイル-ロンドンの切符しか持ってなかったのでどっきどきしました。それでお尻を痛めながら、たしか怖い話を聞きながら、またロンドンまで帰りました。
これは宿主さんちの猫ちゃん、とても大人しくて人懐こくてふさふさであったかかった:
またね。