絵を描くことについて
小さな頃から絵を描いてきた。
しかし、よく聞かれる「絵を描くのが好きですか?」にはいつも「別に好きではないような気がする。」と微妙な答えを私は返し続けている。
『好き』でいえば自分の気に入った絵を見ている方が『好き』を感じる。
その対象は、美術館の名だたる芸術家をはじめ、友達の描いた絵も名も知らぬ人や子供の絵も、どんなものも絵に人となりや性格が出ていて面白い。
しかし、これは突き詰めると人間が好きなだけで絵が好きとはまた違う気もする。
どうあれ結局は、その絵が好きか嫌いかである。人間に対しても嫌いになってしまった人をなかなか好きになることなんてそうできない。
表に絵を出すことに長く躊躇があったがそう肚に落ちれば楽になった。
私は作者が懸命に描いている力のある感じの絵が特に好きだ。上手いとか下手とかでは測れないいい感じがする。なんだかキラキラと煌めいている。
可哀想に、私は既になにかしらの病に侵され、ありもしない煌めきが目に見えているというわけではない。絵に目を惹く存在感があるという意味である。
小手先でささっと描いている絵は技巧に優れて美しくいても私はあまり欲しいとは思わない。
(可愛いは別)
私が見極められる人間かはさておき、そういうのは観る人が見れば必ずバレるものだと思う。
だから私は懸命に描こうと思うし、きっとそれは少なからず観る人に伝わるはずだと大真面目に信じている。