![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42536902/rectangle_large_type_2_604beb0d14061e4dd89321965157c2d5.png?width=1200)
チーズおかき
午後になってもしんしんと冷える日、分厚い小説を読むのに疲れた時なんかには、チーズおかきをちょっとつまみます。二枚の丸いおかきにチーズがはさまっていて、片側のおかきはリング状になっている。そこからつるつるしたチーズクリームが見えています。おいしそう。
たとえ小説の舞台がボストンの洒落たレストランでも、わたしはわたしの世界、たとえばおばあちゃんちの玄関に、帰ってくるのです。幼き日、おばあちゃんがビニル袋にさまざまなお菓子を放り込んで、渡してくれた場面に。チョコやクッキー、ピーナツ、そこに混じっているチーズおかき。お正月休みのあいだそれを少しずつ食べて、少しずつビニル袋が小さくなっていくさびしさ。
小説のつづき、さびしいシーンではないのに、聞いたことのない高級料理の名を読みながら、少し胸がせまくなる冬の日。
-
お正月の一週間、たべものエッセイ
1月6日 / チーズおかき