げんと

初めまして、げんとです。東京在中。カレーと漫画と音楽が好き。 ショートストーリー「世にも微妙な物語」を描いています。 読んで頂き、ありがとうございます!

げんと

初めまして、げんとです。東京在中。カレーと漫画と音楽が好き。 ショートストーリー「世にも微妙な物語」を描いています。 読んで頂き、ありがとうございます!

最近の記事

若い頃に書いた漫画 『セワシの選択』

へそ・・・・・・ですか・・・・

    • 若い頃に書いた漫画 『ドラえもん様のお姿』

      ドラえもんのデザインって見慣れているから分からないけど、カッコいいのかなあ・・・それともタ・ン・ソ・ク?

      • ショートストーリー13話 『猫背の彫刻』

        「猫背の彫刻って知ってるか?」 机にあるお菓子をつまみながら唐突にタカシは話しはじめた。 僕は、その聞きなれない言葉に首をかしげた。 「この家に来る前に、大きな石でできた入り口の美術館を見なかったかい?」 「そういえば、大きな道沿いに緑のツタがからまった石の扉を見たな。それのこと?」 「その美術館な、中には人間や動物の彫刻がいくつかあるんだけど、夜になると全部の彫刻が腰を丸くしてうなだれてるって噂なんだ。昼間に行くとなんてことはない、普通の彫刻らしいポーズをとってるん

        • ショートストーリー12話 『トルネード小学生』

          近所に「平和の森公園」という公園がある。 この公園には、400mほどのトラックがあって、その中央は芝生が敷き詰められている。トラックといっても特に舗装されている訳ではなく、道はコンクリートのままであるのだが、円形のトラックに作られているので、ランナーたちはそのトラックを時計回りに走るのだ。 僕はこの公園が気に入っていて、休みの日でも妻とよく散歩に来ていた。 休みの日にもなると、トラック内の芝生はサッカーをする子供たちや、フリスビーをする大学生の若者など、いろいろな人たちが

          ショートストーリー11話 『辻占』

          「辻占って知ってる?」 妻がおもむろに聞く。僕は誰かの名前かと思い、「誰?」と即答した。 「違う、違う。人の名前じゃなくて、辻占っていう占いなの」 妻の好奇な目線が僕の足を立ち止まらせた。僕たちは高円寺に向かって歩きながら、そんなことを話していた。 妻は続ける。 「辻占っていうのは、夕方に交差点で通りすがりの人たちが話している言葉を聞いて占いをすることなの。万葉集なんかにも出てて、橋のたもとの会話で占う橋占っていうのもあるんだよ。神様が通る場所だから交差点(交叉点)

          ショートストーリー11話 『辻占』

          ショートストーリー10話 『孤独の国のウルトラマン』

          突き刺すような冬の風が、僕の歩みを速くする。 ようやく行きつけのジャズ喫茶に着いた頃には、僕の唇は紫色に変色し、手の感覚は陶器のように冷たく血が通っていないように見えた。 僕はそそくさとドアを開くと、いつもの窓際の席に座った。 ここはオフホワイトの木目調の壁が落ち着く、オシャレなジャズ喫茶である。 ガタガタと肩を震わせながらメニューを覗いていると、さわやかな藤色のセーターを着た店主がブランケットを持って僕に話しかける。 「今日は一段と冷えますね」 「そうですね、外は

          ショートストーリー10話 『孤独の国のウルトラマン』

          ショートストーリー9話 『ドリアン・グレイの青年』

          『ドリアン・グレイの肖像』は、オスカー・ワイルドの小説である。 また、彼の代表作であり、唯一の長編小説でもある。 『500日のサマー』という映画では、主人公がヒロインに振られた理由として、「カフェで私が『ドリアン・グレイの肖像』を読んでいたら、それ、僕も好きなんだと話しかけられ、意気投合したから」というものだった。 それほどまでに女性は恋愛小説を好み、また重視し、その甘酸っぱい言葉の羅列にロマンティズムを感じる生き物なのである。 しかし、実際の『ドリアン・グレイの肖像』は

          ショートストーリー9話 『ドリアン・グレイの青年』

          ショートストーリー8話 『リーリーとシンシン』

          僕は、去年の春から原宿のグラフィックデザインの事務所でアルバイトとして働いている。 滋賀の美術大学に通っている時から、卒業制作の合間を縫ってはポートフォリオ作りに精を出していた。 いくつか広告代理店を受けたのだが、全て書類審査で落ちてしまった。 独学で勉強したデザインだが、架空の本の装幀を作成してブックレットにまとめたポートフォリオはそれなりに自信があっただけに、書類審査の段階でふり落とされることには、いささか気が滅入っていた。 それでも腐らずに、小さなグラフィックデザイ

          ショートストーリー8話 『リーリーとシンシン』

          ショートストーリー7話 『邪気』

          僕はその日、いつにも増して暇を持て余していた。 こんな日は目的も持たずに、だらだらと過ごしてみるのも贅沢なのではと、新宿三丁目をあてもなくウロウロと歩いていた。 目に入ったのは、飲み屋横丁風の立ち飲み焼き鳥屋。 汗が目にしみる暑い季節であったが、キンキンに冷えたビールと香ばしい焼き鳥のコラボが頭に浮かび、僕は自然とお店の暖簾をくぐっていた。 お店の中は若いカップルやサラリーマンたちがワイワイとビール片手に賑わっていた。店の作りとしては、細長いカウンターがあり、皆が一列にな

          ショートストーリー7話 『邪気』

          ショートストーリー6話 『アンディー・ウォーホールとネコの絵』

          ある、気だるい暑さが漂う夏の日の夕方。 僕と妻は夕飯を求めてTシャツとジーパン姿で家を出た。 当てもなく、商店街のネオンの光に向かって歩いていたら、ふと気付いたように、妻が言った。 「こんなところに雑貨屋なんてあったっけ?」 「ん?知らなかったな。入ってみる?」 そう言って店内に入ると、雑貨屋というより、色々な国から買い付けてきたであろう家具や雑貨が所狭しと置かれていた。 フランス製の銀漆器と思われるものからアジアンテイストな人形まで、節操なく陳列されている。値段も

          ショートストーリー6話 『アンディー・ウォーホールとネコの絵』

          ショートストーリー5話 『ヨーダの絵』

          旦那のタモツは、翻訳家だ。 活字の仕事をしているせいか、目が悪く、机に置いてあるテレビとエアコンのリモコンの区別がつかない。 テレビのチャンネルを変えようと手探りでボタンを押すと、度々エアコンが動きだす、といったことが日常茶飯事であった。 前にバーベキューをした際も、豚肉と牛肉の違いが見えずに、仕分けの時間で肉を痛めることがあった。胡椒と塩の瓶を両手に持ったまま、十分くらい瓶を睨み続けていることもある。 花火大会をみんなで見に行ったことがあったが、彼だけがみんなと逆の方向

          ショートストーリー5話 『ヨーダの絵』

          ショートストーリー4話 『新宿のミスターチルドレン』

          事件は突然、ガシャーン! という耳を切り裂く破裂音とともに起こった。 男はなにが起きたかも分からず、その場に立ち尽くしていた。 ワイワイと騒いでいた他のお客さんの話し声も止み、その男の一挙手に目線が注がれた。 舞台は、新宿のとある立ち飲みバー。日も暮れ始めた頃であった。 外からバーの中を覗いてみても、さすがに歓楽街、新宿。どこのお店もお客さんで賑やかだ。どこにしようかと悩んでいると、店内にカラオケもある立ち飲みバーということで珍しいなと思い、入ってみることにした。 店

          ショートストーリー4話 『新宿のミスターチルドレン』

          ショートストーリー3話 『痕跡』

          知人に白色のロングコートを愛用する男がいる。 仮にTとしておこう。 Tはいつも、シャツの襟、ジャケットの襟、ポロシャツの襟など、襟と言われるものは全て立ててきた、ダンディな着こなしをする男だった。 彼はいつだってスキがなく、仕事においても完璧を求める熱い男だ。 そんなTと一緒にランチを食べる機会があった。 その日は、木枯らしが吹き始める秋の始まりのような寒い日だったが、Tは、いつものように白のトレンチコートの襟を立てて、待ち合わせの場所に立っていた。 少し遅れてきた僕

          ショートストーリー3話 『痕跡』

          ショートストーリー2話 『コンビニ旦那』

          いつもが始まる。 今日も旦那は手首を念入りにマッサージしている。 まずは、右手で左の掌を円を描くように優しく撫で、それから、左手の小指から順に、薬指、中指と丹念に指先を伸ばしていく。 いつもの風景だ。   旦那はいくつもの自分に課したローテーションで生きている。その姿勢はとてもかたくなで、尊敬できるものだ。 両手のマッサージが終わると、次は首をコキコキと左右に動かし、大きく深呼吸をして、体を前のめりに曲げ込んだ。 私はその光景を見るたびに、動物園のキリンが樽にたまった水を

          ショートストーリー2話 『コンビニ旦那』

          ショートストーリー1話 『ナルシストくん』

          「君は本当にナルシストだね」 これは、心の声だ。決して、私のパクパク動く口から発せられたものではない。ただ、いつかこの私の硬く閉ざした口からも、出て行ってしまうかもしれない、不安な文字の塊だ。 私は今年四十歳になる。女としては、もう花盛りを超えた頃だろうか。目尻に小さなシワもできはじめ、私もとうとう女を観念した頃であった。 まもるとの出会いは、去年の十一月。 渋谷で行われていた街コンの帰り、誰にも相手にされずにやさぐれたまま、立ち飲み屋で女友達とやけ飲みしていた時に、ま

          ショートストーリー1話 『ナルシストくん』