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みんなエスパーだよ

 基本的に人が好きだ。たとえば、店の人に認知されると嫌どころかめちゃくちゃに嬉しいタイプだ。覚えてくれたんですかい!好き!となる。しかし、全く顔に出ない。親や知り合い曰く、顔に出ないだけで態度には出ているらしい。よく、隠していたつもりのことを話してみたら「うん、知ってた」と言われる。なので、顔に出ないが、感情を隠すことがとても下手だ。一切自覚がないので、この話をされるたびに、皆隠しているだけで人のオーラが見えていてテレパシーが使えるのではないかと疑っている。私も是非使いたいのだが、その気配は今のところない。
 そんな私だが、人が苦手と自分に嘘をついていた時期がある。人とコミュニケーションが上手く取れず、本心を上手く話せず、自己嫌悪に陥った。じゃあ「人が嫌い」というキャラ設定にして、コミュニケーションを取らないようにしようと、逃げたのである。確かに自分をそういう設定にしてしまえば楽だった。無愛想に接しても私はそういうキャラだからと自己を正当化しようとした。だが、しばらくしてようやく、この行為は勝手で暴力的な行為だと感じた。好きだったはずの人を信じず、傷つけていたことがどうしようもなく、許せなかったのだ。そして、私の根底は「人が好き」なので、オーラには現れなかったし、なんだか妙にギクシャクした人間になった。そして無駄に暗い感情を抱えることになった。
 暗い感情は、他者の気持ちを理解するために重要で、明るい感情をより強く輝かせるために必要だと思うので失いたくはない。しかし、あまりに暗い感情に支配されると自己嫌悪する時間が伸び、その裏の明るい感情を照らすどころか吞み込んでしまうので残念なことになる。
 なので、開き直って、幼少期並みに嘘をつかないようにしている。出来ないことを隠していても仕方ないし、すぐばれるので欠点をさらけ出すことをそこまで厭わない。ここで間違って欲しくないのは、厭わないだけで気にしていないわけではない。後でかっこ悪い、情けないと思うことは多々ある。コミュニケーションも上手くできなくて、他人を困らせて悩むことも多い。口での言語化が苦手かつ、経験値不足なのだろう。だから多分、私は周りのようにオーラを読み取ったり、テレパシーが使えない。相手との距離感のつかみ方や気持ちの感知が人よりもできない。しかし、このできなさは隠せないので、これからも堂々と無表情で、下手くそなコミュニケーションでぶち当たり、学んでいけたらと思う。おっす。おなしゃす。


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