『トラペジウム』東ゆうの姉について
※あくまでこれは劇場アニメ『トラペジウム』の設定の推測であり、他媒体の『トラペジウム』の設定の話ではありません。また、別に他の方の推測を否定するつもりもありません。(否定するつもりはありませんが、素直に受け取るならこうだよね、というようなくらいの内容です。)※
発端
2024年11月3日に行われた「新千歳空港国際アニメーション映画祭2024」におけるトークイベント、「メイキング オブ:トラペジウム」の質疑応答コーナーで、東ゆうに姉がいることが明かされました。
実際の発言
分かることと推測
まず、本編中に出てくる「東まい」さんは、確実に東ゆうの母です。「進学・就職をきっかけに実家を出てしまって」という発言からして、今回出てきた姉ではないし、映画祭のイベントで出てきた資料にも「ゆうの母」と書いてありました。なので叔母とか祖母とかでもないです。
年齢差について
「進学・就職をきっかけに実家を出てしまって」とあるので、これを「進学and就職」と見るか、「進学or就職」と見るかで話が違ってきます。(発言のニュアンスとしては「進学and就職」だったように感じますが・・・)
「進学and就職」だとすると、高校+短大or専門学校or高専or大学+就職となり、本編で高校1年生の東ゆうより5~7歳以上、上の歳になります。("以上"というのは、浪人・留年・または大学院などが挟まれば、さらに上振れするためですね。)
「進学or就職」だとすると、高校+就職で、3歳以上上の歳になります。
また逆に、12歳以上上ということはないでしょう。小+中+高まるまる年齢が離れているなら、学習机を並べる必要がなく、そのまま使いまわせばいいからです。
まとめると、「最低でも3歳は上、5~7歳上が本線。それ以上の可能性もあるが、12歳離れてはいない。」となるでしょうか。
カナダ問題
東ゆうは小4~中2までの5年間(※)、カナダにいたため、この姉はカナダに一緒にいたのかそうでないのか問題があります。
(※より正確には劇場アニメでは「中学2年生までカナダにいた」+「小学校の学年不明の時期にカナダに引っ越した」。小4からカナダ、というのは原作小説の設定で、原作小説に姉の影はありません。→ご指摘をいただき、映画祭の資料でも「小4ゆう」との書き込みがあったとのことです。なので、アニメでも「少なくとも小4〜中2はカナダにいた」ということになります。)
本編冒頭映像の2分58秒付近から20秒ほどが、オープニングムービーに含まれるカナダ回想編ですが(←改めて何この構成?!)、ここに姉らしき人物は登場しません。しかしガランとした自宅内には父も母も登場しないため、姉がいたともいないとも断言できません。
カナダ問題と年齢差問題をあわせて考える
東ゆう10~14歳の年に+5歳の姉だと15~19歳、+7歳の姉だと17~21歳。
このケースだと、「既に高校に通っていた姉はカナダに帯同せずに、例えば近所に住んでいると思しき祖母宅から高校に通って卒業して進学した」あるいは「最初カナダに帯同したが大学(等)の進学を期に日本へ戻り~」「カナダに帯同してそのまま現地(やアメリカ等)の大学に進学し~」というようなシナリオも考えられます。
いずれにせよ、この説に依るならば、学習机を並べて使っていたのは東ゆうが小学校の時代まで。カナダからの帰国後、既にお姉ちゃんは進学して家を出ていた状態と思われます。
この説は「カナダから帰ってきたときに既に家を出ているお姉ちゃんの私物段ボール、そんな長いこと置いてるか?」というツッコミも出てきますが、実家に置いてる段ボールって永遠にそのまま置きっぱなしにしがちなので・・・まあ、ありえるでしょう。
東ゆう10~14歳の年に+3歳の姉だと、13~17歳。
このケースは姉もカナダに帯同し、帰国も一緒にして、中2か中3まで学習机を並べて使っていて、比較的最近、物語開始1年前か数ヶ月前まで、姉は東ゆうと部屋を共有していたことになります。
ライフステージとしての収まりはいいように思いますが、「進学・就職をきっかけに」発言との整合性がやや気になるところです。
結局これは?
わかりません。結論は出ません。
ただ、全く別系統の資料もあります。
『トラペジウム』の音声ガイドのディスクライバー(音声ガイド台本作成)を務められた「深田美千代」さんが、『トラペジウム』を振り返って、あくまで主観で書かれたブログには、こうあります。
音声ガイドのディスクライバーの作業というのは、作品を何十回も見て、視覚的に大事な情報を抜き出し、作品の展開や本来の音声を邪魔しないようにタイミングを見計らって、最適な長さと言葉を選んで音声台本にしていくというものです。
その作業をされた方が「兄弟や父親の気配はない」「友人や兄弟がいない」と書いておられる。これはまあ「身近な肉親男性は出てこないよ」という意味だという解釈も可能ですが、素直に読めば「兄弟姉妹の気配はない・いない」ということではないでしょうか。
繰り返し繰り返し作品を観て重要なポイントを探された方がそう言っている、そして、その認識のままということは、メタな話ですが、アニメ本編を制作されたセクションからも「姉が存在している」ということが重要ポイントだとは指示されなかったと、そういうことではないでしょうか。まあ、そもそも『トラペジウム』を何べんも何べんも観た方々が「姉がいた!!」と"今"大騒ぎしていること自体、それまで姉の設定に気付いていないとか、気付いていても流していたという話なので・・・まあ、そんなわけで、こう言っては何ですが、「東ゆうの姉」、そこまで作劇上で重要な存在ではありません。めちゃくちゃ気にはなりますが。
私見
自分は男で、兄弟は弟しかいないんですけども、なんかこの「東ゆうとその姉の関係性」、男兄弟のソレっぽいんですよね。いや、もちろん各家庭でいろんな関係があるとは思いますが。
昔は一緒に遊んだりケンカとかしたりとかしましたけど、ここ十数年の兄弟仲は良くも悪くもなく、しいて言えば"仲が無い"というか。お互いがどこで何してようが別に全く気にならない感じで、連絡先とか交換したはずなものの、電話とかメールとか誇張なく1度もしたことがないし。そんな仲は変だと思われるかもしれませんが、友人周りの兄弟への態度もかなりそんな感じが多いんですよね。だから今更「いたの?!」ってなる「東ゆうとその姉の関係性」、男兄弟のソレっぽい仲だなあと。
まあ『トラペジウム』自体、東ゆうにばかりスポットが当たり続ける映画なものの、主題以外のところには徹底的にカメラが当たらないので(※例えば高校生なんだから当然授業も受けているし宿題も期末試験もあるはずだが、それらは本編で一切描写されないですし、)実はちゃんと(作品中のカメラが回ってないところで)ソコソコ連絡取り合ってるとか、そういう感じなのかもしれませんが。
まとまりませんが、そんなところで。
『トラペジウム』BDDVD・原作・サントラ: