新千歳空港映画祭『トラペジウム』舞台挨拶&トークショー書き起こし
2024年11月1日〜5日開催「新千歳空港国際アニメーション映画祭」における、11月3日『トラペジウム』舞台挨拶と、トークショー『メイキング オブ: トラペジウム』のレポート。
※トークショー部分を清書済。なお、舞台挨拶部分はスマホでの一発書きだったため、更新はありません。
舞台挨拶(抄)
登壇者:篠原正寛監督、染野翔プロデューサー(CloverWorks所属)、橋本渉プロデューサー(ANIPLEX所属)。以下、「篠原監督」「染野P」「橋本P」と記載。
(冒頭挨拶)
篠原監督:観てくださってありがとうございます。とても面白い要素を持った原作なので、それを90分にどうまとめるか?を考えて作りました。前向きになってほしいという原作者の気持ちを踏襲し、その気持ちでやってきました。
染野P:全スタッフが趣向を凝らして作った作品です。反響をいただけて嬉しいです。
橋本P:作品に好意的な反応もそうでない反応もあり、しかし、いろんな反応すべてに気付きがありました。映画を作ってよかったと心から思えました。何度も映画を観てもらった方も多いとのことで、とても嬉しくて有難いと思っています。
(北海道について)
司会者:篠原監督は北海道出身ということですが、何年ぶりの北海道ですか?
篠原監督:北海道は10年ぶりくらい。大変親不孝をしてしまっている。このような機会で帰れて嬉しい。
染野P:僕は初の北海道。さっそく昨日、ジンギスカン食べました。
橋本P:旅行で行ったとき以来。5年ぶりくらいでしょうか?
(結びの挨拶)
篠原監督:公開開始からかなり時間が経っている作品にもかかわらず、北海道のみならず、こうして道外からも来てもらってありがたい限り。引き続き『トラペジウム』をよろしくお願いいたします。
染野P:ネットで色々な意見を見ました。橋本Pの話にもありましたが、観た人の感想によって、新たな『トラペジウム』の世界が広がるのを実感しています。皆さんで『トラペジウム』の世界を広めてほしいです。
橋本P:『トラペジウム』は終わった作品ではなく、これからも生き続ける作品だと思っています。ぜひ皆さんの力で育てていっていただきたい。
そしてこのような機会をいただきましてありがとうございます。今日は北の地だったので、引き続き東の地・南の地・西の地でもよろしくお願いいたします。
トークショー「メイキング オブ: トラペジウム」
登壇者:篠原正寛監督、染野翔アニメーションプロデューサー(CloverWorks所属)、橋本渉プロデューサー(ANIPLEX所属)。以下、「篠原監督」「染野P」「橋本P」と記載。
【】内については、会場スクリーンに映された情報。
()内は漢字の読みや、こちらで書き足した補足情報、メモ執筆者同士で記載が食い違っていた部分、小括など様々。
冒頭挨拶
♪「Meteor Shower Coaster」と大きな拍手をBGMに3人が入場、着席
橋本P:皆様、お越しいただき誠にありがとうございます。それぞれ自己紹介させていただきます。
篠原監督:皆様こんにちは。『トラペジウム』監督を務めさせていただきました、篠原です。今日はよろしくお願いします。
染野P:『トラペジウム』アニメーションプロデューサーを務めさせていただきました、CloverWorks染野と申します。よろしくお願いいたします。
橋本P:ご挨拶が遅れました。ANIPLEXの橋本と申します。よろしくお願いいたします。
本日は「メイキング オブ: トラペジウム」ということで、映画祭にお呼びいただく機会をいただきまして(こうやって話す機会をいただきまして)ありがとうございます。北海道からもそれ以外のところからも、遠路はるばるお越しいただいた方もいらっしゃると思います。
我々も昨日夜に北海道に到着しましたが、なかなか天候にドキドキして。きっとご苦労された方もいらっしゃるだろうなと思いながら、会場に伺いました。ご来場本当にありがとうございます。
橋本P:プログラム上60分間の時間をいただきまして、今回はご指名をいただきましたので、私が司会進行役を務め、篠原さんと染野さんのお話を伺うスタイルで進めていきたいと思います。最後には皆様からいただいた事前質問と、会場にお越しいただいた方のQ&Aにもできるだけお答えしたく、限られた時間ではございますが、皆様にはなるべく「来てちょっと得したな」と思っていただける内容にしたいと思っています。
早速どこから話していきましょうか。イベントに向け、事前に3人で打ち合わせたところ、とても60分に収まらず、ずっと話し続けてしまったので。なるべくポイントを絞りながら話していきたいと思います。
企画のなりたち
橋本P:まず企画のなりたちについてですが、『トラペジウム』は2018年、この3人でTVアニメ『スロウスタート』を作り、そのご縁で(3人で)次になにかやりたい、どういう原作でアニメを作りたいかなと思っていたところ、ある日、本屋で平積みされていた『トラペジウム』の(原作小説)単行本を見つけまして。(手に取りました。)
橋本P:その頃の自分はアイドルというものに凄く興味がありました。それより以前は(アニメ制作の)仕事を通じて二次元にばかり興味があり、アイドルに興味がある人間ではなかったのですが、アイドルについて知れば知るほど、アイドルご本人さんたちもそうですが、アイドルに携(たずさ)わって仕事をする人のインタビューや本を読む中で、知れば知るほど独特なご職業であり、業界であり、魅力的なものがたくさん詰まった世界だなあという様に思うようになっていきました。
そんな中、もしかしたらこの本(小説『トラペジウム』)を読めば、自分が気になっているアイドルという世界への、何かヒントやきっかけがあるのかも知れないと思って。「ヒント」というのが始まりでした。
特に(原作小説イラストの)「たえ」さんの表紙イラストが魅力的で、(表紙の東ゆうの)絵が凄く印象的な表情・顔つきをしている。それで気になって手を取りました。
読んでみたら、自分が勝手に想像していたストーリーとは全然違ったんですけれども、何とも言い難い独特の魅力があり、これをアニメ映像に出来ないか?と思って、篠原さんに話を持っていき、この作品はどうですか?とお話をさせていただいたと、こういう流れでした。
(→劇場アニメ『トラペジウム』は、スタッフとしての篠原監督・染野Pありきで、橋本Pが発案した。)
橋本P:というわけで、ようやく監督に話を渡せるかなと思ったのですが、まず最初に(『トラペジウム』の)アニメ化の話を聞いた時に、篠原さんとしてはどう受け止められたか?というお話を伺ってもいいですか。
篠原監督:まず(『トラペジウム』のアニメ化の)お話をいただいたときに、これを「劇場アニメでやる」という話が来まして。
自分も、(アニメ制作に携わる中で)「ゆくゆくは監督をやりたいな」とは思っていたんですが、まさか(アニメ監督としての)一発目が劇場(アニメ)なのかと。テレビシリーズではないのかと。驚きました。
また、原作(小説『トラペジウム』)を読んでみて、「面白い要素がすごくたくさんある原作だな」と思ったと同時に、同時になかなかこの原作を、この状態のまま、一本で(原作小説の内容だけでそのまま)映画にするのは難しいだろうなと考えました。
そこで、初めて原作の高山(一実)さんとお会いしたタイミングで、「正直、このまま(原作小説の通りに)映像化するのが自分的にちょっとしんどいので、(映画にするには原作小説から要素を)足したり引いたりする必要があるんです」とお話をさせていただいて。同時にやっぱり原作モノなので、原作を大事にしたいなとも思っていました。
そこで高山さんに、「小説で何か、やりたくてもやりきれなかったことはありませんか?」と伺いました。
すると高山さんがおっしゃったのは、「4人でいっしょになって(行動して)楽しかった時間をもっと書きたかった。4人でアイドル活動したり、4人で友達として(行動して)楽しかったこと・楽しい時間なども、ちょっと書ききれなかったので。逆に映像化するに際しては、そうして(シーンを足して)いただければ嬉しいです」といった回答をいただいて。
自分としてはあの、(『トラペジウム』)原作小説、読んでいらっしゃる方も多いと思うんですけれども、やっぱりどうしても後半の駆け足感が、結構気になってしまって。
篠原監督:小説として読む分には、それは何かひとつ、「その小説の味」だということなのかなと思ったりもしたんですけども、映像化した時にそれはどうか?ということで。どうしてもちょっと(そのまま映像化したら)「食い足りない」といったことになってしまいそうだな、(観客が十分満足できる映画にはならないな、)と思ったので。
自分としては、(原作から足したかった部分は)(東)ゆうなんですね。映画上だと、「東西南北(仮)」というグループが駄目になってから、立ち直るまでをもう少し丁寧にやらせて(描写させて)もらえないかな、という話をして。
そういった、自分がやりたいことと、高山さんが原作上やりきれなかったことをうまく足して、そしてなおかつ90分間の映画なので、映画のテンポ感も加味して。原作をちょっとスリムにする部分だったりとか、追加した要素を(原作小説と整合性を)合わせるみたいなことをして、まあなんとか90分に持っていけたかな(収めることができたかな)という感じです。
橋本P:はい。いや、本当に初監督作品としては、言葉を選ばずに言えば「難しい原作」をお願いすることになっちゃいまして、すみませんでした。
(→『トラペジウム』の企画の話を受けて、篠原監督はアニメ監督未経験のまま、いきなり劇場アニメの監督を務めることになり、大変驚いた。劇場アニメ化にあたり、原作小説『トラペジウム』の原作者・高山一実さんと打ち合せ、小説で描けなかった部分、監督の思う足りない部分を足し、また部分的には削り、原作と整合性を取って、90分映画全体のテンポ間も考慮し、一本の映画として作り上げた。)
『トラペジウム』の描き方
橋本P:これまでも(曰く「難しい原作」である『トラペジウム』を)何とか(劇場アニメ化)してきたな、ということを思い出してきたんですが、(映画『トラペジウム』の)シナリオを作り始めようとなって、色々話す中でポイントになってきた部分があったと思います。その中の大きな分岐点となったのは(映画『トラペジウム』は)「あくまで東ゆうの話として描くか、4人の群像劇として描くか」で、大きな分かれ道があったと思うんですが、そこは監督、どう思われましたか?
篠原監督:そうですね。確かに全体シナリオの会議上で、どう映像として見せていくか?という話が上がった中で、確かに「群像劇にして見せるのもいいのではないか?」というご意見を、ライターさん(※脚本・柿原優子さんの事だと思われる)や、他の方からもいただいたんですけれど。
でも僕が原作を読んだ印象は、これはあくまでも「東ゆうの物語」だな、というものがどうしても強くあったので。僕は(篠原監督が監督を)やるにあたっては、「ゆうにひたすらスポットを90分間当て続ける形でやらせてほしいです」と、最終的にさせていただくことがありました。(篠原監督の主張を通して、「東ゆうの物語」という形式で制作させてもらいました。)
橋本P:その上で(映画作品としては)「モノローグをなるべく使わない」という方針はありましたよね。原作(小説『トラペジウム』)の特徴で、やっぱり「地の文」にすごく特徴があったので。
あれが原作『トラペジウム』の特徴でもあり、主人公の「東ゆうの主人公像」を表している大きな要素でもあったんですけども。
「キャラクター像はなるべく東ゆうの良さをそのまま映像化」しながらも、一方で「モノローグをあまり使わない」みたいなことは、結構大変でしたよね。
篠原監督:そうですね。でもなんかこれは(モノローグをなるべく使わない方針は)、完全に、なんかこう「映像屋(※アニメ映像制作者)」(のこだわり)というのかな。演出としての。
やっぱり画(え)で見せられる可能性のあるものは画(え)で見せたい。極力。画(え)とか芝居とかで(観客に)わかってもらいたいなと思ったので。
原作の(東ゆうの)「地の文」の毒っぽさというか、癖のある感じみたいなものも、できるだけ(モノローグを使わず)画面の中で(画の力と芝居の力で)出せないか?という風に作っていましたね。
本当にこのあたりは、自分の「わがまま」ではないですけど、まあそんな感じで、「極力モノローグは使いたくない」ということで。(制作しました。)
橋本P:90分の映像作品で、エンターテイメントとして作るという以上、どうしてもやっぱり取捨選択するシーンが出てくる中で、個人的には(華鳥)蘭子が好きだったりとか(だから華鳥蘭子にもっとスポットが当たってほしかったとか)、(工藤)真司の話がもっと見たいとかいうのは、あったんですけども。
今回の90分の映画については、「(東ゆうの)物語として、より解像度を上げていこう」というか。そういうスタートだったかなと、今は思っています。
あと、東ゆうという主人公は、やっぱり変わっている主人公なので。この人(東ゆう)が、なんというか、僕たちも最初から最後まで100%ずっと好きだったかというと、なんというかね?(そうではないので。)その好きというのも、何をもってどう好きなのか?という話はありますが。これを言うとおこがましいようですが、何かこう、「娘を見ているような感覚」というか、なんというか。
(篠原さん、)どうですか?ゆうって。主人公に関しては。
篠原監督:僕はもう、ゆう、大好きですよ。(即答&断言)
橋本P:あっ、スイマセン(汗)。(会場・爆笑)
いや、僕も好きなんですよ?好きなんですけども、なんというか、なんか、えっと、なんて言えばいいんだろう(焦る)。
なんというか、キャラクターとして好きかどうかではなく、やっぱりこう人物として。人間として捉えてしまうというか。良いところも悪いところもあるというか、ひっくるめて「これが東ゆうだな」と思うところがあります。
篠原監督:そうですね。やっぱり(人間)みんな、皆さんも含めてそうだと思うんですけれども、人前(ひとまえ)に出た時と、自分が一人で家の中にいる時とかを考えると、例えば言葉遣いであるとか姿勢であるとかは違うと思います。機嫌の良し悪しや体調がいい悪いとか、人それぞれ、自分だけの時か、他人に向けてかで、使い分けているというかね。人に向けての(言葉遣い・姿勢・機嫌などの)使い分けと、自分に向けての(それらの)使い分けっていうのかな。(あると思いますが。)
それが、今回たまたま(映画『トラペジウム』は)ひたすらゆうにカメラが当たっている状態なので。まあ、本当に人間っていうんですかね。東ゆうという一人の人間を追っているので、(東ゆうの)色々な部分をいっぱい描く映画になりました。
橋本P:なので、東ゆうとしてはすごく大きな世界の物語で大変なことをやっているように思えて、実はそれは(客観的に見て)小さな世界・小さな時間軸・小さな範囲の出来事なのかもしれない。でもそれが(『トラペジウム』本編の出来事が)東ゆうにとってはとても大きなことだったんですよね。
なんというのかな。アニメの主人公として(の東ゆう)は、もしかしたらちょっと変わってるんじゃないかなとも思うんですけど、(原作を活かした形での)何とも言えない魅力について、皆さんに感じていただけたとすれば、僕としても嬉しかったなと思うんですけど。はい、えっとまあ、企画とシナリオを作っていったのは、そんなところで。
(→劇場アニメ『トラペジウム』は、主要人物の群像劇として描くアイデアもあったが、篠原監督の意向で全編「東ゆう」にスポットを当てた映画にした。原作の独特の「地の文」の魅力・雰囲気を活かしつつも、「モノローグ」を極力使わなかったのは、画と芝居で魅せたい篠原監督のこだわりポイント。ひとりの人間としての「東ゆう」を、多面的に描く映画となった。)
デザインの話
橋本P:では、ここからは、せっかく会場にスクリーンがあるので。染野さんにも皆さんにお見せしていい素材をご用意していただいておりますので、画面に資料を映しながら、設定などをお聞きしながらデザインの話を進めていければと思うのですが。
【PCのデスクトップ画面、AdobeやExcelのアイコンなどが映る】
染野P:ちょっと余計なものも映ってしまいましたが。(ディスプレイの)拡張設定をすると(こうやって)映ってはいけないものも映ってしまうこともあるので。インストールしているアプリが何かなどは忘れてもらって。(笑)
こうやって(画面に)素材を映しながら、監督とか演出さんとかとを交えて話すのは「作打ちスタイル」なんですよ。(CloverWorksで)実際の(アニメを作っている)現場(そのもの)で。
【東ゆうの表情設定資料】
染野P:クリエイターさんと打ち合わせ(の場)を持って、こうやって実際に設定を出しながら(制作していっています)。これがゆうの表情設定ですね。これを基本に(原画の)皆さんが描いていくんですけども。
デザインの話を広げていっちゃうと、とにかくここだけで2〜3時間は喋れてしまうので(時間制限をオーバーしてしまうので)、ピックアップしながら喋っていければと思うんですけど。
【東ゆうの衣装設定資料】
染野P:『トラペジウム』でこだわったポイントとしては、衣装設定を本当に細かく分けて作り込んでいまして。
染野P:この物語、春夏秋冬がある作品ですので、季節に応じて(普通は)(着る)衣装というものは変わっていきますし、やっぱり年頃の女の子が全く同じ服を着ているということは、ちょっと(リアリティのない)おかしな話なので。とにかくシーンが分かれたら、ちゃんとリアリティに合わせて(衣装を変えて画を)作っていこうということは監督と決めて作っていきました。
結構こだわったポイントでは、「着回し」を使っています。こうやって同じズボンが(別のシーンで)ちょこちょこ入ってきたり。その、(好きなだけ服を買えるというわけではない)高校生ですから「着回し」はするよね、って。
確かこれは監督からもご支持いただきました。
篠原監督:そうですね。そこそこに私服のバリエーションは作りたいけれども、全部が全部(シーンごとに)違う服になるのは、逆にリアリティが無くなるよな、って。例えば(別のシーンであっても)同じスカートを使っていたり、同じカバンを持っていたりとか。
(会場最前列を見て)そして今日(会場に)来てびっくりしたんですけど、ゆうのジャージを着てる方がいらっしゃって。製品化されてたか?されてないよなって。(笑)
【東ゆうの部屋着バリエーション】
篠原監督:これもそうですね。ジャージ(の上着)を脱いだ時は違うTシャツなんかを、なんか(部屋着として使うならいいけど)外には着ていけないようなTシャツを着ていたりね。(画面に映るダサ目のTシャツを指して)
染野P:こんなの。年頃の女の子は気に入らないようなモノをね。(制作資料として用意して。)
結構服の色の指示も細かくしていただいて。わざと監督からは「外す」というか。色彩設計の中島(和子)さんに向けて(監督に)作ってもらった指示がありまして。
【ゆうの緑ジャージ×青と黄色のTシャツとか、再生ボタンと早送りボタンの柄の薄紫色のTシャツとか、緑ジャージとカラーコーデが合ってない服。青と黄色のTシャツは「記念日としてセーブしておきたいくらいだ。」のシーンのTシャツ?】
染野P:これとか分かりやすいんですけど。たぶん色としてはあまりいい色ではない色を、「置いてもらった」という表現になるんですかね?
篠原監督:「なんとな〜く、家からコンビニ行けるような(周りに気を使ってない服の)レベルで」みたいな話をして、「合わせ(カラーコーディネート)は別に色は(特段)綺麗な色合わせにならないようにしてください」ってお願いしました。
染野P:これが結構、物語の中でも「味」になってくれたかなって。というのも、外とは違う「素のゆう、家の中の東ゆう」がこの「緑ジャー」で出せたかなって。
篠原監督:そうですね。他のキャラも結構いろいろ(衣装設定を細かく)作ってて。
でもちょっとやりすぎたかなって思うのが、シーンごとに(衣装を)変えたら、蘭子の服が本当に1・2カットしか出てこないとか、ありましたね。(会場・笑)
染野P:ありましたね。ただね、1・2カットでも(それしか出てこなくても)、(設定を作っておくと全体の作業としては)やっぱり早いですしね。って、自分が(アニメ制作の)コスト削減をする側なのにね。(笑)
橋本P:ちなみに『トラペジウム』のルック(?)としては、デザインとしてはどのあたりがポイントになってくるんですかね。篠原さん、いかがですか?
篠原監督:なるべくですね、やっぱりアニメーションなので。デフォルメしたり(見た目を)可愛く見せたいという思いは当然あったんですが、なるべく「本当にスタイルが良くなりすぎないように、可愛くしてほしい」というのは(そういった意思決定は)、(キャラクターデザインの)「りお」さんと、本当に割と最初の方にしましたね。あくまで「地方にいるすごく可愛い子の格好」ぐらいな(女の子の)感じ(が篠原監督のイメージ)なんですよね。
でも(華鳥)蘭子なんかめちゃくちゃスタイルがいいですけどね。(さておき)キャラクターデザイン、その辺(へん)は(スタイルが良くなりすぎず地方にいるすごく可愛い子のラインになるように)気を使ってもらって。でもあくまでアニメーションなので、可愛く見えるようにはしてほしいって。
うん、その面倒くさいけど言っちゃいました。(きっと面倒くさい注文だと思われるだろうけど、分かったうえで細かく注文をつけました。)
染野P:(キャラクター)デザインについては、もう(小説原作者の)高山さんからはほぼ何も(修正要望は)なかったと思いますけどね。ほぼ一発OKをもらいました。あるとしたら、色の話だけですかね。
篠原監督:結構高山さんは、色のこだわりとかイメージとか、ご自身のものを(こだわりを)持っていたので。
髪の色や肌の色とかは、最終的に一緒に見ながら調整させてもらいました。
染野P:それこそ、スマホケースのデザインや、着てる衣装なんかが、東ゆうだったらどこのブランドを買っているだとか、(華鳥)蘭子だったらどこのブランドだとかみたいな指定が(高山さんから)ありました。実際に、(高山さんから)写真なども色々といただいて、参考にさせていただきました。
最初に(高山さんに)ヒアリングした時に、ちょっとした(キャラクターごとの)プロフィールなどもいただいて、(その資料を元に)リサーチしてデザインを起こしていくといった段取りでしたね。
橋本P:すみません、デザインで何か見せたいものは、まだありますか?
染野P:それはひたすらいっぱいあるからね。(見せたいものが)あるかって言うと、無限にあるんですよね。それこそ…
【東西南北(仮)のアイドルライブ衣装】
染野P:この(東西南北(仮)の)ライブ衣装はキャラクターデザインの「りお」さんと高山さんとで、直接その場でライブドローイングしあって作ってもらいましたね。こちらとしては(制作側としては)、原作チェックとメーカーチェックが飛ばせるからヨシ!って感じで。(会場・笑)
篠原監督:それに女性2人が「可愛い!可愛い!」って言い合いながら作業している場だから、もう「俺たち(男だし、本職のアイドルさんとキャラクターデザインさんのやり取りだしで)なんも言えねえな…」みたいな感じでした。「あっ、ソッスネ……」みたいな。
染野P:でもやっぱり、ライブ衣装なんかは特に、高山さんのご意見が一番参考になるんじゃないかなって。それこそ本職のアイドルの方なので(アイドル衣装には一番詳しい)。「このアイドルの衣装が可愛いと思ってるんですよね」と、写真とかも色々とご提供いただいて(参考にしました)。
【大河くるみの設定画、小4ゆうの設定画などに切り替わる】
橋本P:あっ、ちっちゃい時のゆうだ。これも可愛いですね。
【ゆうの水着?下着?カット】
(会場・大きくざわつく)
染野P:いや、これはね。オープンにしてはいけない、監修もしてないようなやつですね。現場用に。現場設定として必要というか。こういうのもある。
橋本P:こんなのもありますが、(キャラクターの)ボディラインがわからないと、(服の)布がどう落ちるかが分からないので。
(布地の盛り上がりや突っ張りや落ち方・陰影などの感じを掴むための資料なので、)別にやましいものではないですよ。
【キャラクターの誰が何センチでといった、背比べみたいな表】
染野P:(キャラクターデザインの)「りお」さんが一番デザインの時に気にされてこだわっているのが、シルエットで。これはどのキャラクターにも言えることなんですけど、シルエットだけで「キャラ感」がちゃんと伝わるようにと、気遣ってもらいました。
(画面上の)一覧のキャラ表を見ていただいてもわかるように、細身だったりとか、ちょっと(亀井)美嘉は脚がムチッとしてたりとか。意外と(大河)くるみが、他の子よりちょっと頭身を逆に(?)(「頭身を低く」?)描いていたりとか、そのように意図的に描いている部分があって、わざと統一させていない。
そうすると、キャラ毎の個性が、すごく作画の中で出てくるので、そういうところ(「りお」さんのシルエットデザインへの気遣い・こだわり)は、実際に現場のクリエイターさんも、感心しながら描いています。
(→劇場アニメ『トラペジウム』のデザインにあたっては、春夏秋冬の季節感と、登場人物たちの高校生としてのリアリティを大事に、衣装設定や色彩設計を作りこんだ。また、原作者の高山一実さんにも様々なアイデアを出していただき、アイドル衣装は「りお」さんと高山さんのライブドローイングで作成した。キャラクターはスタイル良くなりすぎないように、またシルエットをあえて統一しないように「キャラ感」を出す、というのが、篠原監督と「りお」さんのこだわり。現場のクリエイターの方々も感心していた。)
シーンの話へ
橋本P:デザインの話はこれくらいで、ここからは実際にシーンもいくつか見ながら、ポイントになった部分をお話ししてもらってもいいですか?
染野P:そうですね。各シーンごとにお話しさせていただこうと、今日は資料も準備してきたんですけれども。
まあ本当に挙げていけば、(映画内の)全部のシーンをもちろん解説できますし、(制作として)語りたいことはいくらでもあるんですけれども、全部やっちゃうとね。(時間がいくらあっても足りない。)
(「メイキング オブ: トラペジウム」のコーナーは)時間が限られていますから、ピックアップしながらやっていけたら、と思います。
では冒頭のシーンです。
シーン①聖南テネリタス女学院
【オープニング明け冒頭、聖南テネリタス女学院校門のシーンが映る】
染野P:(聖南テネリタス女学院のモデルとして)ここまでロケハンに行かせてもらった場所がありまして。
篠原監督:最初に(原作者の)高山さんとお話させていただいた時に、「(作品に出てくる場所や景色の)モデルやイメージはありますか?」と聞いたことがあって。(そこで神戸女学院が出てきた。)
(他のロケ地は)基本的にほぼ関東ですけど、唯一これは(関西にある)神戸女学院をモデルにして、ロケハンに行って。
なんかこういう機会(アニメのロケハン)でもないと、神戸女学院さんに我々(部外者は)入らせてもらえないじゃないですか。男子禁制なのでね。
篠原監督:なんかドキドキしちゃいましたけどね。本当に素敵な学校でしたよね。本当に「創作物の中にいるな(物語の中の世界みたいだな)」という感じで。
【神戸女学院の講堂の写真】
篠原監督:ちょっと(明るさとして)暗い写真で見辛いんですが、こんなメチャクチャでかいパイプオルガンがあったりとかして。「お嬢様学校だなぁ…」と。
(※「テネリタス〜それは優しさ〜」と、生徒たちが合唱練習をしているシーンの背景。)
【神戸女学院の中庭の写真】
篠原監督:こことか(中庭の、重厚な建物の前にある特徴的な丸い噴水とその周辺のプロムナードの写真を指して)本当にそのまま。そのままでしたね。
(※東ゆうが「純金インゴット」を探してきょろきょろしながら歩くシーンの背景。)
【神戸女学院の渡り廊下→テニスコート→藤棚のベンチの写真】
篠原監督:(切り替わる写真に合わせて)あとは渡り廊下、この廊下とか。テニスコート、藤棚のベンチですとか。
(でも)ここ(神戸女学院)だけは、聖地巡礼がちょっと難しいですよね。
この(テニス)コートの金網とか、もう(写真がアニメに出てきた)そのまんまですよね。
篠原監督:あ、でも芝生じゃなくて、(アニメでは)土のグラウンドか。こんな風に、作画的に都合がいいよう、少しアレンジしているところもありますが。
(※実際の神戸女学院テニスコートは芝生のコートだが、劇場アニメ『トラペジウム』ではクレイコート(土のコート)として描いていた。)
篠原監督:収まりがいいようにはしていますが、「空間自体」としては、もうそのまま(神戸女学院を)使わせていただいている感じですね。
橋本P:この、(神戸女学院に行った)ロケハン初期って、もうシナリオは出来ていましたっけ?
篠原監督:ええ、ほぼ出来ていた(完成していた)というところでした。だから実際にロケハンをしながら、キャラクターの動きもイメージしながら。動線に従って、(ロケハンの素材を集める)みたいな感じですね。
(藤棚の下のベンチ、東ゆうと華鳥蘭子が)2人で話すところですね。
シーン②西テクノ高等専門学校・光へのこだわり
橋本P:そろそろ次のシーンに行きますか。
染野P:そうですね、どんどん行かないと(時間がなくなって)いけないから。
【西テクノ高専正門】
染野P:次にピックアップしたいのは西テクノ高専。こちらも色々なロケハンをさせていただいて。こちらは(実際のロケハンは)千葉大学をモデル地とさせていただいます。
【大河くるみがひとりで練習していたプール】
橋本P:このプールも行きましたよね。
篠原監督:プール行きましたね。当日ね、染野さんが風邪を引いちゃって。「すいませんダメです」って電話がかかってきて。橋本さんと2人で行きましたね。
【画面トラブル、「no signal」的な画面】
染野P:(映像出力端子の)コードが手に当たって一瞬消えることがあって。さっきから。
(コードを挿し直すなど、画面復旧に苦労されている)
橋本P:ではトラブル中に制作エピソードなんかを話すと、今回(劇場アニメ『トラペジウム』は)色とか光とかの表現に、監督はこだわられていたかなと思うんですけども。そのへんはどうでしょうか。
やっぱり制作を始めたときから、ある程度(『トラペジウム』における色や光の)イメージはあった感じですか?
篠原監督:そうですね、これは、アニメ(制作を)やっていると、いわゆる「順光影付け」というのが(制作の上では)基本なんですよ。綺麗にキャラクターに光が回ってる影付け、ノーマルな影付けみたいなものが。
篠原監督:(『トラペジウム』でも)基本的には昼間のシーンがメインになっているんですけど、(普通に作るなら「順光影付け」になりそうなところ、)あれを(順光影付けを)どうにかして数を減せないかな、と(挑戦しました)。
なぜかと言うと、リアルに考えれば、光源って実は色々なところから来ているから。(自然界では)そんなに綺麗に光(ひかり)って回らないので。(当たらないので。)そんなことをずっと考えています。
でもそれを(順光影付けのできるだけの排除を)、TVシリーズ(の制作)を通してやるのは多分難しいので。なのでこういう(劇場アニメのような比較的)短いところだけでも、光を意識して(アニメ制作をしたい)。どこから太陽の光が来てるとか、部屋の光がどこで、みたいなことを意識して、「より現実感のある画面を作れるといいな」と思いつつも。
(『トラペジウム』でも制作の都合で)場所によってはどうしても(工程的に?スケジュール的に?)難しいなあという感じで、ちょっと負けてしまって。一部に順光影付けは使っているんですけども。
でも、またそういうところから(やれなかった、という悔しさから)、なんとなく(次はもっと上手く)やりたいなという、気持ちの部分が出てくるので。
「せっかく光が差すなら、綺麗に見せたい」という(篠原監督の強い意識があったので)。撮影や美術とも、意識を共有するというか。「僕はこうやってやりたいんで、ちょっと付き合ってもらえませんか」ということを(言って)。
橋本P:作品としても、やっぱり光とか写真は、とても大事な要素じゃないですか。『トラペジウム』という作品(の内容)から考えた時にも。
実際、監督と一緒にロケハンに行かせてもらって。監督自身が写真を撮られるから、それを見ていて、画面のイメージが湧いてくるというか。
「『トラペジウム』は多分こういったフィルム感になるんだろうな」みたいなのを想像しながら(監督の写真撮影を)見ていたので、一緒にロケハンに行かせてもらったことは、すごく記憶に残っていますね。
篠原監督:でもそれは、後で絵コンテを自分で描くので。後々の自分のためにやっていたところがあります。資料をちゃんと作らなきゃと。
【本編では一切使われていない、夜の西テクノ高専・冬の西テクノ高専といった資料】
染野P:西テクノ(高専の正門部分?)が、「基準ボード」といいまして、(『トラペジウム』の)世界の色味を決める、基準のテストボード(の春夏秋冬・朝昼夕夜)を最初に作ったところです。
篠原監督:夏はちょっと色鮮やかにして、少しコントラストが高くなったりとか。逆に冬に行くにしたがって、少しそれ(コントラスト)が弱くなったりとか。まあ、彩度を意図的に落としたりするみたいな感じで。
ここは結構、美術さんには試行錯誤してもらいながら作りましたね。
シーン③亀井美嘉と再会した本屋
染野P:僕が紹介したいなと思ったのが、本屋さんのシーンで。いろんなものを頑張りました。
【東ゆうが手にとって戻す自己啓発本の積まれた平台のシーン。『成功者になるための9方法』『好かれる人になる』等の本のアップ】
染野P:このワンカットでどれだけ作るんだっていう。これ尺何秒ですか?2秒半くらいしかない。(笑)
贅沢だなー。もうちょっと(映った)か?ちょっと自分の仕事史上でも類を見ないくらい(作り込みました)。
【本屋内部の遠景】
橋本P:この「抜け感」のあるカットもすごかったですよね。(亀井)美嘉と話しているところかな。
【自己啓発本の積まれた平台のシーンに戻る】
染野P:これ(本の表紙)をね、全部(デザインおよび)作画して、(3Dモデリングした)中に(=本の表紙部分に)貼り付けている。(その工程をやるのは)2Dワークという部署で。実際の本屋さんの(店頭に並ぶ本の)表紙のように作り直して。
橋本P:(並ぶ本の一冊を指して)『なぜかうまくいく人の思考術』、これ面白いですよね。(会場・笑)
染野P:これらの本は全部監督が考えたタイトルで。どれも絶妙にうさんくさいなーって。(笑)
『悩まない!』とかね。(会場・笑)
篠原監督:そうですね。(『トラペジウム』の制作を)やってる時に、電車の広告とかでよくある、うさんくさい自己啓発本のタイトルを見るたびに「こういうタイトルいいな!」と参考にしていました。
橋本P:似ているタイトルの本の著者の方々には聞かせられない感じですけどね。(笑)
【本屋の遠景シーンに戻る】
染野P:これさっき橋本さんが言ってくれた、本屋さんの(遠景)。
美術さん相当頑張ってるなって。やりすぎたなって言うくらい。これが実際に使った美術ボードで。
篠原監督:このあたりは美術監督の田村さんの真骨頂が出ているなと。
篠原監督:よく見ると(実際は絵の具の点を置いているだけなので)文字が読めないんですが、さも「それっぽい」というか。遠目で見ると(絶妙に文字があるように)見える。
ズームしちゃうと結構グチャグチャっと書いてる(のがわかる)んですが、引きで見るともう本屋の店内のように、ちゃんとそこに文字があるように(見える)という感じの、いい塩梅の省略で。上手いことやってもらったなという。あの、本当にこういう(素晴らしい出来の)ものが上がってくると、すごく発注した側はテンションが上がるし、ありがたいという(感じで)。
染野P:(このような美術ボードを作るにあたっては)実際に本屋さんに行って、許可を取って、写真を撮ってという、よく「写真レイアウト」と呼ばれる手法を取るんですが。(撮った写真を参考に美術ボードを作るんですが。)
そうすると、結局写真加工になっちゃって、リアルになりすぎちゃうというか、ちょっと気持ち悪くなっちゃったりする(こともある)んですけども。それを(今回は)絶妙な情報量で(美術ボードに)落とし込んでいただいて。
今回『トラペジウム』の美術は相当に頑張ってくれたので。あ、美術とは、背景のことですね。
まあ、劇場版(アニメ)というのは、(慣習的に?)美術の本領発揮というようなところがあるんですが、今回やっぱり(『トラペジウム』でも、美術は)力を入れたところのひとつですね。
シーン④ゆうとシンジが並んで歩く夏の夕暮れの浜辺
染野P:かっこいいシーンも見てみましょう。
【浜辺のシーンが映る】
染野P:やっぱりココですかね。ここは「見せつけたろ!」って感じで。
篠原監督:ここは美術もよかったのですが、撮影のワーク(仕事)が非常に素晴らしかったです。夕陽の光だけではなく、(夕陽に照らされた)海面のキラキラ感。アニメなので多少誇張はしているんですが、そこは「美しさ」を優先して、綺麗な光り方で(表現して)。
もちろん反対側から見ると(夕陽側から見ると)きちんと暗い。うまく「夕方感」を出せたかなって。
橋本P:『トラペジウム』全体を大きくABCDの4つのブロックに分けて構成すると、今のシーンがAパートの最後になるところですね。
染野P:構成を考える時に、ゆうが自分の思惑を話すというか、他人に本音を話すシーンを映画の構成としてなるべく早く出したかったので。そこは脚本の柿原(優子)さんとも相談して、「ここが(他人に内面を話す)ポイントとしていいですかね」と。(結果としてこのタイミングになりました。)
篠原監督:そうですね。(工藤)真司に(本音を)打ち明けるのを、どこに持ってくるかは結構大事ですもんね。どうしましょうって(柿原さんとも)相談しました。一つのポイントでしたね。
染野P:シーンとしては「立たせた」というか、画(え)としても立たせてもらったので、わかりやすくターニングポイントにできてるな、と思います。
シーン⑤工友祭・コスプレ写真館
【工友祭・コスプレ写真館】
橋本P:これは文化祭のシーンですね。
染野P:ここはキメどころです。
【工藤真司が構えるSONYのαシリーズのカメラ】
染野P:地味ですがカメラのロゴの貼り込みが本当に大変で。カメラは「動く」んです。
篠原監督:カメラが動いちゃうと、(その動きに応じて)撮影さんが絵のひとつひとつにちゃんとパースを合わせて(「Planar T* 1.4/50 ZK」「SONY」「KIPON」といったロゴを)貼り込みされていますので。
染野P:すんごく嫌がられるんですけども。(笑)
橋本P:僕はサチと指切りするシーンがとても好きなですね。うまく説明できないけど、観ていて毎回あそこで泣きそうになります。多分、ゆうにとっても大事な瞬間だったんじゃないかなと思いながら。(観てます。)
染野P:この「手の芝居」は、「りお」さんが一番こだわられてたところですよね。
篠原監督:そうですね。(指切りの)手元の芝居は。(総作画監督の)「りお」さんがとてもこだわりをもって、本当に一生懸命直してくれましたよね。
橋本P:手へのこだわりが半端ないですね。
シーン⑥東西南北(仮)のコーナー
【東西南北(仮)のコーナー!】
橋本P:ここも好きなんですよね。Cパート頭の所ですが。
染野P:ここもね。なんで(作画が無茶苦茶大変な)(浅草)雷門なんかを出してしまったんですかね。
篠原監督:撮影さんに本気目(マジめ)に大変な工程だと怒られました。「ここじゃなきゃダメですか?」って(聞かれて)。(こっちは)「出すしかない!」つって。
染野P:これ、東京タワーのシーンも実際に登りに行きましたから。
橋本P:ここも、シナリオ的には苦渋の決断で。(素人女子高生のコーナーは)点描で(=具体的なシーンのセリフを入れずに、映像と音楽だけで経過を描くパートとして描く)という判断になりましたが。
本当に絵コンテと作画と、あと音楽の力が相まって、すごく印象に残るシーンになってきましたよね。
【鴨川シーワールドもとい鳩川シーランドのオルカショーのシーン】
橋本P:めちゃくちゃ好きですね。この一連の4人が楽しそうにしている姿だけでも嬉しいというか。
染野P:このシャチの動きを描くだけで(大変で)、このカットが上がらなかった(→できあがってこなかった)んですよね。
橋本P:これ(このシーンがPV制作期間中に)上がらなかったんですよね。PVに使いたかったんだけどな。
染野P:その代わり、担当アニメーターの方は「いま俺がシャチ日本で一番うまく描ける!」って言ってました。(会場・笑)
橋本P:『トラペジウム』はシャチアニメだった?(会場・爆笑)
染野P:いや違うだろって。(笑)
【アイドルデビュープロジェクトが開始して、ダンス練習等のシーン】
染野P:もう(さっきの一瞬で)4箇所くらい言いたいところ(ポイント)あるんだけど。
橋本P:いまの鏡の反転、あと反射線とか、エグかったですよね。(すごく巧みに描けてましたよね。)
染野P:これを、(世界で)何人描けるか。
(※鏡の前で複数人でダンスレッスンをして、本人たちだけでなく鏡像もシンクロして動く。光もきちんと反射するし当然影もある。その上、床面にも反射があるという、素人目にもムチャクチャ難しそうな部分。)
染野P:『トラペジウム』は(鏡や水面の)映り込み・反射、床面(の映り込みや反射)にしても何にしても、結構逃げずに(誤魔化さずに)ちゃんとやっているところがあります。
鏡の前で動くシーンとか、たぶんTVアニメシリーズでは(そこまでこだわった画作りというのは)やっちゃいけないんですよ。(そんなことをすればコストがかかりすぎるから。)
篠原監督:それぞれこう、(登場人物ごとに)ダンスの熟練度を出してもらって。(そのように画を作ってもらって。)
染野P:実際にダンサーさんに踊ってもらって。
篠原監督:ダンサーさんのモーションを3Dでキャプチャーして、それを作画ガイドに使ってはいるんですが。でもプロのダンサーさんなので「上手く(いい感じに)ヘタに踊ってください」って言っても、なんか僕らから見れば上手く見えちゃうので。そこからさらにちょっと(高校生がゼロから始めたように)「ヘタ」にアレンジして、なるべく初心者っぽい感じに見せたいなと。
篠原監督:ここをやった(このシーンを担当した)演出さんと原画さんとか、アニメーターさんたちは頭を抱えていたんですけど。ヘタに踊ってるところから上達していくシーンを描いてもらって。
橋本P:「ヘタに」ってどうやって描くのかって。
染野P:それは表情とかでも出せるんですけど。まあ(シーン後半の)この頃になると結構(ダンスも)上手くなっている。
ここの音楽(「Meteor Shower Coaster」)との(絵と動きと音楽の)合わせってすごく難しくて。最後の決めポーズが揃うところでキマり!を作ってもらいました。
あのノート
橋本P:そうだ、ノート!
染野P:ノート。ノートの話(はなし)しちゃいますか?
橋本P:これも監督をはじめ、色々な制作スタッフが考えてくれたところなんですけど。
篠原監督:ノートはちょっと前の話に戻ってしまうんですけど、(冒頭で言った)「モノローグを(できるだけ)使わない」方針で(作る中で)、そこからどうにかして「地の文のゆう」の感情や、その時のテンションを画(え)として見せたいなと。
セリフにしちゃうと、どうしてもすごく長くなっちゃうので、極力簡潔に、観ている人に伝わるようなイメージで考えたところ、「だったらノートに書いた文字を見てもらえればわかるんじゃないかな」ということで(発案して)。ノートを使ってみましょうという流れでした。
橋本P:実際に(原作小説作者)高山さんには(制作側が)書いてきたこととか、ゆうが描いてそうなものをチェックしてもらったり、ノートに書いてもらったりしながら作りましたね。
篠原監督:そうでしたね。最後、Dパートの「出口。私は。」は、完全に高山さんがひねり出してくれたワードです。
シーン⑦喫茶BON
【東ゆうが「BON」で最後に工藤真司と会うシーン】
染野P:ここはすごくいいシーンですよね。
【アイドルデビューした東ゆうが喫茶BONに贈ったサイン「BONさんへ☆あずまゆう☆」】
染野P:ちなみにこのサインは監督が書いたんで。(会場爆笑)
篠原監督:そうですね。(笑)
橋本P:(サイン)誰が書いた?いや監督が書いたんで。つって。(笑)
染野P:まあ、東ゆうが、サインの練習してたのか、みたいな。
篠原監督:(性格的に)してそうだけど。
橋本P:してそうですけど、それも(練習シーンも)ちょっと見たかったかもしれない。
あと、この「BON」は3Dで作っていたんですよね。
篠原監督:そうですね。作画用のガイドとして3Dで全体を作って。
橋本P:2人がどこに座ってどこから撮るかなどを、3Dモデル上で考えてもらったんですよね。
【BONの3Dモデル資料・美術ボード】
染野P:(2人が)毎回同じ席に座る3Dは作ったんですけど、美術ボードは、手描きの味を出そうということで(3Dモデルとは)別に作って。
手すりのところとかも欠けていたりするんですよね。
(3Dモデルを)よく見るために拡大したいんですけど、いま(3Dソフトが)フリーズしちゃいました。はい。
橋本P:なんとなく(時間的に)あと2ヶ所(※シーン数)ぐらいかもです。
シーン⑧丘の上の公園
染野P:ならやっぱり、丘の上の公園のところにしましょう。(ここは)見てもらいたいので。
橋本P:丘の上の公園、好きですね。
【ほぼラストのアカペラのシーン】
染野P:アカペラ歌ってるところはとても綺麗ですけど、ここは光源・影付けはじめ、全セクション細かく(指示・作業・確認・修正を)やりましたんで。
篠原監督:マジックアワーのようなタイミングみたいなつもりで。陽が(光が?)沈む方向があっちなので、(正しい意味での)マジックアワーではないんですけども。そういうマジックアワーっぽい(幻想的な)雰囲気を出しつつ、かつ、「ここから未来へつながっていく」というシーンなので。幻想的な、多少ウソっぽくなっていいので、そういう雰囲気で描きたいなと。
美術も結構「ピンク紫感」という感じで光をイメージしてもらって。たぶん『トラペジウム』全編通していちばんウソっぽいんですが、あえてウソっぽくするというか。それでも印象的になればいいなと思って。ここは「綺麗さ優先」でやらせてもらいました。
染野P:(東ゆうが)「でもね、諦めたくても、諦め切れないんだ。」って言うの、これ絶頂(クライマックスシーン)ですからね。
監督はさっき「ウソっぽい」とおっしゃっていましたけど、(丘の上の公園は)作品を通してかなりの回数登場する場所で、だからこそ通常時は現実感を(意識して)しっかり(画面を)作っていって。
で、最後の最後のキメ所(どころ)で、この非現実感もある光景を作れたというのは、これは「監督・篠原正寛の力!」ですよね。
橋本P:ここは(丘の上の公園は)、実際にはそのままの姿で存在してはいないんですよね。
篠原監督:そうですね。作品は館山を舞台にしてるんですが、ここはあくまでもイメージで、こういう空間にしたいということで。実際にはない空間を作ったんですけれども。
橋本P:実際、館山城とかは、もう「翁琉城」としてそのまま出しているくらいですが。
本当に、(原作者の)高山(一実)さんの母校である、(千葉県立)安房高校も含めて、(作中の舞台となった地域の)皆さんが、協力的に。場所の提供の協力もしてくださっていますし、取材の協力もしてくださっていますし。本当に皆さんのお力で、こういった(『トラペジウム』の)東ゆうたちが生きている世界を作れているなと思います。
染野P:この丘の上の公園だけで、10種類ぐらいの色味の差があります。(色彩の設定違いが10パターン以上あります。)
橋本P:(ゆうたち4人は)晴れの日も雨の日も曇りの日も、練習してきましたからね。
シーン⑨ラストシーン・写真展ほしぞら
染野P:あとはラストシーンでしょうね。
Dパートは、篠原監督が自ら絵コンテを切られたんですが。(染野Pが)思っていた以上に時間がかかり、「篠原さん、まだ持ってこないなぁ…」とか思って、待ち遠しく感じていたんですけれども。
染野P:(ラストシーンの絵コンテが)上がってきた時に、「ああ、これは時間がかかるわ」と思って。(納得して。)
何というか、あの時に(ラストシーンの絵コンテを見た時に)改めて、いやもちろんその前から思ってましたけれど、(それでも)改めて「篠原さんに監督をお願いして本当に良かったな」と思った瞬間の一つでしたね。
「ああ、『トラペジウム』は、こういう作品なんだ」と、改めて理解(わか)ったというか、理解(わか)らせてもらえたというか。
(ラストシーンの)この個展会場なんかは、「(工藤)真司が本物の写真家になって、(東ゆうたち4人に)その写真を一つずつ見せていく」というシーンなので、シナリオの時に(脚本段階で)、「もうこれは、ユルいことをやったら、ユルい画面になるな」って確信があったので。
もう「何としてでも本物(の写真)を入れるぞ」と思って。
(作品のスタッフとしても)クレジットされてますけども、天体写真協力としてKAGAYAさんという、天体写真のプロの方にお願いしたところ、快く引き受けていただいて。
【「これは惑星だから取る」「↑北極星」といった、星空写真に書き込みが入った資料】
しかも補足とか、(天体写真のプロではない)我々に分かるように入れていただいて。
これがね、(写真展の)入り口のところから、流れができてるんですよね。
橋本P:写真を並べる順番の意味があるんですね。
染野P:ええ。この辺(入り口付近)は、館山周辺で。館山周辺からまだこの辺までは館山で。徐々に館山から日本へ、日本から世界という風に、こう(撮影した地域の範囲・ひいては世界が)広がっていっているんですよね。
で、最後はやっぱり「テカポ湖」。もちろん海外ですから。これはニュージーランドだったかな、確か。
というのも(このように写真家・工藤真司として、個展の写真はどう並べるかというアイデアも)ご提案いただいて。それを基に、監督が絵コンテ段階から(アイデアを)入れ込んでもらって。
篠原監督:なので、(KAGAYAさんの星空写真という)作品を貸していただくというだけでも、すごく有り難かったんですけれども。KAGAYAさんの中での、(写真家としての工藤)真司のストーリーみたいなものも、ちゃんと(原作小説の、またはアニメの脚本段階の)シナリオだったりとかを、読んでいただいて。
(その上で、工藤真司が最初は故郷の館山周辺から写真撮影のキャリアを始めて、活動範囲を館山周辺から日本各地へ、日本各地から世界へと広げていき、そして真司の写真撮影の契機であり『トラペジウム』作品中でも大きな意味を持つ「テカポ湖」再訪・再撮影で締めるという、写真展の構成・展開までアイデアをご提案いただいて。)
お忙しい中、わざわざこういう形で用意していただいたっていうのは、有り難かったし、(それ以上に)すごくびっくりしました。
染野P:(星空)写真は(KAGAYAさんにご提供いただいた)そのままを貼ってるんじゃなくて、「(写真が)背景として、その空間にきちんとある」アニメの世界になるように、描き直しとまではいかないですけど、「レタッチ」の工程を背景さんにしてもらって、(自然な画面になるように)仕上げています。
橋本P:実際、染野さんたちはKAGAYAさんの個展にも行かれてますよね。
篠原監督:ああ、そうですね。
橋本P:高山(一実)さんになんか(KAGAYAさんの個展の)お土産を買ってきてくれてましたね、(染野Pと篠原監督の)お二人が。本人(高山一実さん)すごい喜んでましたね。「あっ!普通にファンなんです!」って言ってましたね。KAGAYAさんの。
篠原監督:なんかそれも(高山一実さんがKAGAYAさんのファンだということも)ちょっと知ってたので、もしKAGAYAさんに(『トラペジウム』への星空写真提供を)受けていただけるんだったら、高山さんにもすごく喜んでもらえるし、納得もしてもらえるだろうなみたいな、(そういった狙いや)気持ちもありましたね。
橋本P:作戦成功ですね。(笑)
染野P:では「最高のラストシーン」を……
【ラストシーン、『トラペジウム』の前の4人】
橋本P:そうですね。ここで最後に(東)ゆうの、あのセリフを言ってもらって。そしてタイトル(『トラペジウム』の題字)を出して、(楽曲)『方位自身』完成版が流れるというか。
橋本P:(この一連の流れは)(劇場アニメ『トラペジウム』制作の)当初から考えてたことではありましたけど、(篠原監督に)コンテを上げていただいて、(東ゆう役・結川あさきさんの)声が入って、そして楽曲が、高山(一実)さんが、まさかの作詞を小説版から書き直したいと言っていただいて(書き直した)『方位自身』の歌詞がハマった時に、「ああ、なんか完成したな」という感じがすごくありましたね。
(作品が)締まった。締められた。
篠原監督:なんか(自分も完成したものを見て)(自分が当初)想像してたよりも良かったなと思います。フィルムスコアをやったので。
染野P:そうですね。音楽の横山(克)さんが(フィルムスコアをしたら)、「『方位自身』のイントロ、ここのタイミングで出てくるんだ!」と。
篠原監督:そうですね。うん。「あっ、なるほど。」みたいな感じで。
なんか想像してないところから、(音楽で)殴られた感じで(衝撃を受けて)。横山さんすごいですね。音楽の力。
染野P:そうですね。ハッとしましたね。
篠原監督:なんか「会心の一撃」をもらったというか。
染野P:劇伴音楽の横山(克)さんに(フィルムスコアリングでの)音楽発注をした時、その頃はまだちょっと映像としては完成してない(仮素材段階の)映像だったんですけれども。それに音を仮ハメしてもらった時に、このラストのところを見て、
「『トラペジウム』、これ完全に"勝った"んじゃねえか?」
と思いましたね。(会場・沸く)
橋本P:そうですね。会心の一撃だったなというのがありましたので。
染野P:そうやって自画自賛しながら作っていました。
事前質問回答①
橋本P:はい、というところで、お時間もそろそろ(残り少ないので)。話したいことはまだ100倍くらいあると思うんですが、一旦ここで締めさせていただきつつ、事前にいただいた質問に、答えられる範囲でお答えしていければと思います。(事前回答で記入した)お名前も読み上げさせていただきます。
※ハンドルネームは表記とか違ったらスイマセン。また、もし質問の原文があればお寄せください。以下質問コーナーはすべて同じ※
橋本P:「ルリカケス」さんからいただきました。
「篠原監督への質問です。『トラペジウム』では空が映るシーンが多くあり、どれも素敵ですが、監督が作中で好きなシーンの空についてお聞きしたいです。そのシーンで制作にこだわったことがあれば、あわせて教えてください。」
とのことです。
篠原監督:空について。そうですね、先ほど(シーンごとの解説部分でも)お話したこととも被る内容ですが、(制作にこだわったことを言うと、空に限らず)綺麗に光が入ってくることを意識すると、自然に太陽の位置とかを気にするようになるので。あとは季節感ですとか、雲の形ですとか。繰り返しになっちゃうんですけども、色の鮮やかさ、薄さ、コントラスト、彩度なども(こだわって作って)。
なるべく見ている人に(言葉で)説明しなくても、なんとなくでも春夏秋冬の一年が巡って(回って)いるように見えるといいなって。
空だけでなく、季節の移り変わりとか、その時々の天気だったりも気をつけましたね。
えっと、「好きな空」ということですが……うーん……「全部好き」ですけど……(しばらく回答に詰まる)……ああ、夜が好きですね。
あの、ラジオで(水野)サチのリクエストが読まれて、曲が流れる中で(「東西南北(仮)」の)皆が(それぞれ別々に)見上げる星空なんかは(好きです)。
けっこう美術も何回か直してもらって、撮影にもああだこうだとすごく細かく注文をつけちゃったというか、「光に気を付けてくれ」とか「この星を光らせてくれ」とか、そんな感じで。そういった(細かい修正作業を重ねたという)意味でも、感慨深いので。
事前質問回答②
橋本P:たくさんご質問をいただいております。なるべくご紹介しようと思うのですが。
「もずく」さんよりいただきました。
「篠原監督への質問です。ライブシーンでは、東西南北(仮)の4人や撮影セットだけを描くのではなく、カメラマンなどスタジオ全体も映していましたが、これは何か狙いがあったのでしょうか?」
とのことです。
篠原監督:これはそうですね、あくまで『トラペジウム』における「アイドル」というのは、(物語の中の)一つの要素でしかないと自分的には捉えていたので。なのでちょっと「客観的に(見せる)」というか。
(普通の)アイドルアニメだと多分、(ステージの)外のカメラとかスタッフとか機材なんかは、あまり描かないと思うんですけど。いやまあ入れる作品もあるかなとも思うんですけれども、あくまで(アイドル要素を)客観的に(アイドル部分は相対的に見せて)あくまで「ゆうのお話」ということを強調したかったので、あの描き方でライブシーンをやっていただきました。
今回はげそいくおさんに「なるべく客観的に撮ったカメラにしたい」というようにオーダーをして(作ってもらって)、このような画面になりました。
事前質問回答③
橋本P:ありがとうございます。続いて「しーな」さんよりいただきました。
「篠原監督への質問です。東ちゃんがよく聴いている3曲のアイドルソングと『聖南テネリタス女学院校歌』は、本編劇中では一部しか流れませんが、サウンドトラックではフルコーラスで収録されています。各曲に込められた想いやこだわり、意図などありましたら、教えてください」
とのことです。
篠原監督:そうですね。『聖南テネリタス女学院校歌』については、何か(校歌のようなものを)流すということは元々決めていたんですが、実は歌詞には特に自分が(監督が)込めた想いというものは無いんですけれども。
打ち合わせの場にスーパーバイザーとして入ってくださっていた舛成孝二さんが、テキトーなことを口ずさんで。(会場・爆笑)
それが何か妙に耳に残るなってことになったので。「テネリタス~それは優しさー」ってやつですね。その場で(舛成さんが)口ずさんだ。
「これはいいんじゃないですか?!」って、その場のノリで決まったという感じですね。
他のアイドルの曲に関しては、やっぱり東ゆう自体がアイドルに憧れているという個性を持った人間なので。
(聴いているアイドル曲は)最近流行っている曲だけではなく、昔っぽい曲も(聴く)という感じで。特に一番最初のシーンで電車に乗ってイヤホンから聴いている曲ですね。ちょっと懐かしい感じがするような曲とかも、ちゃんと聴いてます、みたいな。(アイドルに対しては「きちんと向き合っている」感を出したかった。)
「アイドルを好きなだけではなく、ちゃんと勉強もしているんです」みたいな。そういうキャラクター性につながるといいなと思って、音楽の横山(克)さんに「パターンが今風のも昔風のも欲しいです」とオーダーさせてもらいました。結構バラバラとした年代感がある感じになりました。
事前質問回答④
橋本P:ありがとうございます。あと何点か紹介させてください。「さかい」さんよりいただきました。
「原作(小説)では(工藤)真司君の(「初めて見た時から、光っていました。」という)台詞で締めくくっていた物語ですが、(映画では)その言葉をカットして、東ゆうの独白で物語を締めた意図についてお聞きしたいです。映画のあの終わり方が大好きで、あの最後の言葉に勇気を貰って、何度も何度も映画に通いました。」
とのことです。
篠原監督:これもちょっと、先ほどの話と(回答が)被るかもしれないんですけども。
描き方として、(劇場アニメ『トラペジウム』を)群像劇として描く方向性にしていたとしたなら、多分ですが原作通りの(工藤真司の言葉で終わる)締め方の可能性もあったんですけれども、今回はあくまで東ゆうにスポットを当ててやっていこうという方針だったので、真司の言葉ではなく東ゆうの言葉で締めたい。そういうことで、あの終わり方にしています。
事前質問回答⑤
橋本P:ありがとうございます。すいません、ちょっとこの方、お名前が(名前の読みが?)わからない方なのですが、質問内容をご紹介させていただきます。
「東ゆうの部屋にあるアザラシのキャラクターが、どのようにできたのか教えてください。」
とのことです。
篠原監督:これは(アザラシのキャラクターが)最初に出来たのは美術設定という、背景のもとになるカットからですね。美術監督の田村(せいき)さんから上がってきた(東ゆうの部屋の)美術(=背景資料)を見て、なんか面白いモノ(アザラシのキャラクター)が居るけど、何だコレ?と。画面に出せますでしょうか。
【東ゆうの部屋の資料】
篠原監督:それで「何でアザラシなのか」を考えたら、「あっ、近くに(同じ南房総地域に)鴨川シーワールドがあるから、きっと幼い時に(鴨川シーワールドに家族で遊びに行って)買ってもらったぬいぐるみを子供部屋に飾っているのでは?」とか、そんなことを考えて。
染野P:そんなストーリー、結構(劇場アニメ『トラペジウム』には表には出していないけれども)いろんなものにありますよね。
篠原監督:ゆうの部屋は、なるべく生活感みたいなものを出したかったので、ごちゃごちゃとしていて小ぎれいにならないようにしてほしいと言った(注文をした)のと、あと、あんまりアニメの中では語られていないんですけど、(東ゆうには)実はお姉ちゃんがいて。(会場・???)
もう進学・就職をきっかけに実家を出てしまって、2人で使ってた部屋を(東ゆうが)一人で広々と使っている、みたいな感じにしているので。たとえば学習机が(部屋に)2個並べてあったりとかは、その名残です。それで、(カーテン状の)パーテーションの奥には、お姉ちゃんが昔使っていた私物が段ボールの中に入ってる、みたいな。
あまり見せる機会なかったんですけど、一応設定上ではそのようなことも作っていたりしています。
アザラシについては、これは美術監督が"遊んで"くれたので、僕らはそれにうまく乗っかったりして。そのアザラシをゆうのマグカップにも出しました。他にも。ところどころにアザラシは出てくるアニメになりました。
事前質問回答⑥
橋本P:はい、ありがとうございます。続きまして「ひでむら」さんよりいただきました。
「篠原監督への質問です。私はいわゆる"聖地巡礼"が好きで、(作中の)舞台となった学校にも、学園祭や一般公開の日などの機会に訪れたりしています。(エンディングには、千葉県立)柏南高校が"協力"としてクレジットされているのですが、どのシーンで出てくるのかが分かりませんでした。(シーンの)消去法では、ゆうが泣いているシーンに出てくる昇降口などでしょうか?と思うのですが。(柏南高校がどう使われているのか分かりませんでした。どこで出てきたのでしょうか?)」
ということです。
篠原監督:柏南高校に関しては、くるみがロボコンをやっている都合で(ご協力いただきました)。
ロボコンの練習風景や、普段どんな場所で練習していたりだとか、どんな機材や資料を使っているのかといったことが、さすがにちょっと(ロボコンに馴染みが無く)全然想像がつかなかったので。
そこで調査をしていくと、柏南高校がロボコンを盛んにやっている(活動している)という事だったので。(取材をさせていただきました。)
どちらかといえば、(アニメの)舞台というよりは、使っているものとか、普段はどのような活動をしているのかといったこと、(ロボコン部としての活動内容を)聞きたくて、(取材がメインで)協力していただきました。
(ロケハンの場所としては)(アニメ内で映るシーンが)そこまで数は多くないんですが、くるみが(ロボット研究会の)部室で活動しているシーン。その部室は、柏南高校のロボコン部の部屋をモデルにしていますね。
【柏南高校ロボコン部部室?と思われる写真】
橋本P:すっごくいい子たちでしたよね。
篠原監督:そうですね。(いい人たちで。)みんなきっともう卒業しちゃってますね。
橋本P:取材時期的にはもう卒業しちゃってるだろうなとは思うんですけども。
篠原監督:他には、(大河)くるみが(華鳥)蘭子の家のプールで練習する、(その時に)広げているファイル(冊子)なんかも、そのまま写真を撮らせていただいたのを素材として使用しました。
【「ロボットマニュアル ver.2021」と題したファイル冊子の写真】
篠原監督:本当にロボコン要素を(アニメから)抜くわけにはいかないので。(描くからには)ちゃんと取材しなきゃいけないという事で。
橋本P:実際にロボットを動かしてもらったりしてもらいましたよ。「3Dプリンターはこう使うんです!」(と解説してもらったり)とか。
篠原監督:『トラペジウム』観てくれたかな。
会場質問回答①
橋本P:ありがとうございます。最後に会場でも、ご質問をお聞きしようと思います。
(会場のあちこちで挙手)
参加者A:このような機会をありがとうございます。2点お伺いしたいです。
まず、一番最初に観た時、オープニングの部分が正直何なのか分からなかったです。「何かやってるな」くらいの認識だったのですけども。
それが、2度目に見た時、HELLO!MOVIEの音声ガイドを聞いて、目からウロコが落ちるように思いまして。自分の理解力(読解力?)が足らなかったので、オープニング(に込められた意図)を読み取れなかったと思うんですけど。(あえてそのようなオープニングムービーの構成にした理由はなんでしょうか?)
あともうひとつ、キャラデザさんとの打ち合わせで、差し支えなければお聞かせ願いたいのですが。場面場面で表情が(絵のトーンが?)ガラッと変わる(ことがある)。場合によっては、いわゆる"けろりらカラー"の展開とかが、すごくシリアスな場面でありますが。
(絵柄が統一されてないように見えるというようなことは)聞いちゃいけないのかもしれませんが、この2点お聞かせいただければ幸いです。
篠原監督:そうですね。オープニングに関しては、複数回見直してもらう前提の作りには、基本的にしていないので。
あくまで、その瞬間(初見の瞬間)に、何かを感じてもらえればいいかな(と思って作りました)。とか、(または、)観終わった後に、「あの時のアレは、たぶん東ゆうの子供の頃の話、カナダにいた時のかな?」と、観終わった後に思い出してもらえればいいかな、みたいな感じで(作っています)。
(オープニングムービーは)あくまで本編・本筋を、ちょっと補足できえばいいなくらいのつもりなので。「あってもなくてもいい」といえば変ですが。観終わった後にちょっと思い返して、なにか感じるところがあれば嬉しいなあくらいのつもりで作っていますので、必ずしも「(きちんと『トラペジウム』を理解するためには)2回3回観てください」みたいなつもりでやってるわけではないので。
そんなつもりはないので、(複数回視聴しなくて)大丈夫です。
篠原監督:デザインについて、「けろりら」さんのカラー(特色・特徴)が強く出ているところは、何て言えばいいんでしょうね、何となくシリアスなところに、あの(「けろりら」さんの絵の)ふわっとした感じが入っていることを気にされている方もいらっしゃるとは思うんですけれども。
何と言えばいいのか……そうですね、逆になんか印象に残って、僕なんかは良かったかなと思うんですが。
染野P:どちらかというとあそこは、もう「芝居の良さ」「アニメーションの良さ」を追求するところだったので。
「けろりら」さんも総作監(総作画監督)という立場で、でも「りお」さんもキャラクターデザインなので、(シーンの修正に)入ってもらったんですけども。
(「けろりら」さんから上がってきたものを)「りお」さんが見た時に、もう芝居がもう、美しすぎて完璧すぎて。「これは私、もう、ちょっと修正を入れられません」って(言ったという)話もあって。
自分と監督、あと演出陣も見た時に、もう本当に芝居がとにかく「アニメーションの良さ(そのもの)」、なんですよね。
もちろんアニメでは、キャラクターの絵柄を合わせることもめちゃくちゃ大事なんですが、それ以前に「アニメーションの良さ」を追求しなければいけない場面もあって。
これに修正を入れるとまた再構成になって、この「良さ」が崩れちゃうんじゃないかなって危惧もあって。まあ、そういった意味のところもあるかなと思います。
(絵柄の統一よりも、アニメーションの良さ・美しい芝居を優先しました。)
橋本P:ありがとうございます。オープニングに関しては、いろいろな見方があると思うんですが、僕はすごくグッとくるオープニングだと思いました。毎回見ても、楽曲が(MAISONdes『なんもない (feat. 星街すいせい, sakuma.)』)特にテンション高くて、気持ちがアガる曲になっているんですが。
やっぱり東ゆうはこれまで、本編以前に崖っぷちに立たされている状態だったので。「アイドルになりたい」と思って、いろいろ試行錯誤してきたんですけども、とにかく否定され続けて。「アイドルになれない、なれない」という状態でずっといた。その頃の東ゆうの想いを考えると、こうちょっとグッとくるなという風には思ってます。
それでもなお、最後にオープニング曲の鳴らすパパッという音に合わせてズンズンと前に進んでいくゆうが、すごく勇ましいというか。素敵なオープニングになったんなんじゃないかなと思って。オープニングの絵コンテの丸山さん(?後日注釈)に感謝かなと思っております。
会場質問回答②
参加者B:監督、素敵な映画をありがとうございました。ティザービジュアル、キャッチコピーについて質問です。「わたし一人では、アイドルになれないんだって」というセリフは本編にないと思うんですけども、このキャッチコピーを入れられた意図と、ティザービジュアルの東ゆうの涙が上に昇っていっているような印象的なイラスト、こちらの2点の意図を伺えればなと思っております。
篠原監督:(キャッチ)コピーはどうなんだろう。橋本さん?(ご回答いただけますか?)
橋本P:そうですね。奇しくもさっきお話したことにリンクしてくるのですが、映画(本編)の中で、「東ゆうはここまでどういう人生を歩んできたのか?」ということは、あまり語られていなかったんですね。私がシナリオとコンテを見てもそう思ったので。
映画として(『トラペジウム』を)初めて皆さんに見ていただくビジュアルを考えたときに、「(東)ゆうの主人公像」というか、「これまで生きてきた(東)ゆうの人生」みたいなものをお伝えするキャッチコピーにしたいなと思って考えました。
ティザービジュアルに関しては、こちらから色々とアイデアを出させてもらいましたが、最終的には「りお」さんが「涙が上がっていく」という(イラストの)アイデアを出してくださいまして。
篠原監督:そうですね。なんというか、「どっちともとれる」みたいな。悲しいのか嬉しいのか、どちらにも取れるような絵に見えるといいなあと思って。
(涙が)下に流れてしまえば、「悲しそう」という印象が強くなってしまうかなと思って。あえて(涙の)イメージが変わるような感じで。「涙が上に昇っていく」ような。
橋本P:「(東ゆうは)(水面に向かって)上がっているようにも、(空から)落ちているようにも見える」という、そんなものにしたかったです。
会場質問回答③
参加者C:貴重なお時間をありがとうございました。お聞きしたいのが、時系列的な話なのですが。(大河)くるみが(高専)2年生なのに、「毎年工業祭は休んでたんだ」というセリフがあるとか、あと「受験生なのに?」とか、アイドルを辞めた時に(?)やってるので、この辺りは、意図的なのかそうでないのかお聞きしたいです。
篠原監督:えっと、(大河)くるみの。「毎年」……えっと、年齢感的には、高校2年生(相当)なので。そうですね。「受験生なのに?」というのは、どちらかというと(華鳥)蘭子に向けて言ってるのかな、みたいなつもりだったので。
特に、時系列的な話は、意図的に(何か)しているというよりも、セリフを向ける「相手ありき」のつもりのセリフだったので。
で、確かに、「毎年(休んでたんだ)」というのは、まあ確かにそう言われれば「どういう言い方なんだろうな?」って気がしますね。
確かに、人によっては「毎年」っていうかもしれないけど、2年生ってことは「去年は」みたいなセリフの方が正しかったのかな、みたいな。
確かに今そう言われて、「ああ、そうか」みたいな(感じです)。
意外と人によって見方が変わってしまうな、と思っています。
締めの挨拶
橋本P:ありがとうございます。すみません、今日、皆さんのご質問に(もっと)お答えしたいという気持ちは山々なんですけれども、すみません、持ち時間が(もう本当の本当に無い)ということで、こちらで質問を締め切らせていただきたいと思います。(※この時点で予定を20分以上超過)
今日お話ししたのは、僕らの(『トラペジウム』について)話したいことの1%くらいだと思うので。さっき(劇場舞台挨拶で「今日は北の地なので、引き続き東の地・南の地・西の地でもよろしくお願いいたします」と)言ったように、機会があれば是非また(今日のように)お話しできると嬉しいなと思っております。
最後にご挨拶をいただければなと思っております。では染野さんからお願いします。
染野P:はい。『トラペジウム』は、本当に最後までこだわって作った映画です。まあ、どんな作品でも、最後までこだわって作っているんですけども。
監督の意図をかなり超える、スタッフの(こだわりの)力も加わったことによって、何度も観ていただいた方がたくさんいらっしゃると伺っているんで、そのような(複数回視聴するに足る)魅力を作れたんじゃないかなと思っています。
なので、本当に、お伝えしたいことはもっと一杯あるんですよ。こだわったこと、こだわってもらったこと。その一部を今日はちょっと話せる機会をいただいて、すごくご理解いただいて。
こちらの(新千歳空港国際アニメーション映画祭スタッフの)皆さんには、本当にありがとうございました。というのと、このような機会を作っていただけたのは(映画祭に呼んでもらうことができたのは)、何よりも観ていただいた皆さんのおかげだと思いますので、本当に本当に今日はありがとうございました。
篠原監督:本当に、このような機会をいただいて非常に嬉しく思っています。
ちょっと人前で話すのは苦手なので。打ち合わせでは結構ずっとべらべらべらべらと喋ってるんですが、いざ観てくださった皆さんの前だと、どうしても緊張しちゃうので。何というか、「うまく喋れたかな」という感じではないですけども。(ちゃんと「うまく喋れたかな?」という感じです。)
本当にたくさん(の回数劇場で)観てくださっている方とかもいらっしゃって、本当に数多くの感想をいただいて。
初めて(アニメ監督を)やらせていただいて、(今日この場に集まった作品のファンの顔を見ると)何とも言えない気持ちになるような、そんな有り難さがあります。作品をこう、(自分で言うのは)恥ずかしいですが、「(『トラペジウム』という作品を)愛していただいている」ということは、本当にすごく幸せです。
そして、自分は北海道出身なんですけども。まさかこんな形で(10年以上帰っていなかった北海道に)戻って来れるとは思わなかったので。応援してくださっている皆さんのおかげですし、一緒に作品を作ってくれたスタッフのおかげですし、自分は『トラペジウム』を通して幸せな経験をさせていただいているな、と思っています。本当にありがとうございました。
またこういった機会があれば、皆さんにお話しできればと思いますので。
ただ、作品的な展開については(『トラペジウム』の続編的なものやスピンオフといった展開については?)ちょっとどうなるか分かんないんですけれど。(現時点では何とも言えませんが。)もし何かあれば、(その時は続編の?)作品をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
橋本P:本当にありがとうございました。時間、押してしまって(超過してしまって)大変申し訳ございません。こうやって皆さんに『トラペジウム』の応援をしていただいていて、本当にうれしく思っております。
それからすみません、ちょっと時間をオーバーしてしまって。(※この時点で予定を30分超過。「ちょっと」ではない。)
本当はここで、12月25日発売の(劇場アニメ『トラペジウム』)Blu-ray/DVDのジャケットを公開したかったんですけども。(時間が長くなってしまって)発表できなかったので、この後SNSの『トラペジウム』公式アカウントにて公開いたします。皆さんスタンバイよろしくお願いいたします。
本日は本当にありがとうございました。
♪「Meteor Shower Coaster」と大きな拍手をBGMに3人がお辞儀、一旦退場
以降は関係者用フォトセッションのため、一般入場者も退場
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