延命医療について考える


もし、あなたの大切な人が「急変した際(心肺停止)の対応はどうしますか?」と聞かれたとします。あなたは「そんなこと急に言われても…」と返答に困る、そんな場面をイメージしたことはありますか?

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恐らく、多くの人がそのような場面をイメージすることは不謹慎だ!
いざ、その場にならないとどう対応していいか分かるわけないだろ!

きっとこのように考える人が多いと思います。
だけど、人はいつ死ぬかわかりません
医療現場で働く私は、この「急変時の対応」を日々目の当たりにしています
・すでに答えが決まっており積極的治療は拒む人
・私ひとりでは決めきれないので、家族に相談してから決めます。
 後日返答させてくださいと答える人
・そんなの不謹慎だ!と大声をあげて医療者に詰め寄る人
・絶対に、なんとかして回復させてくださいと訴える人

助けたい相手は若い人から90を超えるお年寄りまでさまざまです
生き返って欲しい、回復して欲しいという思いは恐らく全員が抱えていると思います。

ですが、
・回復後、後遺症が残って病院や施設に年10年も通うことになる
・介護が必要、家族が仕事を辞めケアをし、経済的・精神的余裕がなくなる
・病気や事故がきっかけで家族の人生は患者さん中心の人生となる

もしあなたや、あなたの大切な人の病気や事故で生活が変容してしまった時
あなたはどうするでしょうか?

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今回は、もしあなたの大切な人が病気や事故で生命の危機に陥った時
Drから「急変時の対応はどうしますか?」と聞かれたとき何を考えますか?

看護師の私なら、

医療従事者なら、急変時の対応と言われると
挿管、心臓マッサージ、昇圧剤投与…など具体的なイメージが湧いてきます

ですが、医療に従事していない人は正直イメージがつきにくいと思います。

緊急時はパニックになるし、精神的に不安定になりやすいです。
なので、「急変時に対応はどうしますか?」というパワーワードは医療知識のない人にはかなり厳しいと思います。非日常すぎてイメージなんてできる訳がないと思います。


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急変時に医師が求めている救命措置の意味は?

Drが問う「急変時の対応」とは具体的に以下のことを指します

DNR・DNAR=蘇生措置拒否(そせいそちきょひ) 
終末期医療において心肺停止(CPA)状態になった時に
二次心肺蘇生措置(ACLS)を行わないこと

●DNR (Do Not Resuscitate)
●DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)
●DNACPR(Do Not Attempt CPR)
などの略称で呼ばれています。

これには蘇生措置をあえて行わないため、患者と家族の明確な意思表示が要件となリます。主治医から患者・家族へIC(インフォームドコンセント)が行われ、内容に承諾できたことを書面に残してDNRが決定します。

< 医師がDNRをとる場面は>
・回復が不能な状態で一時的に命をとりとめても
 終末期にある患者には蘇生措置自体が負担になる
・処置を行う間に家族が患者を看取る最後の大切な時間を失う
・患者本人が生前より積極的治療を望んでいない(書面に残してある)


⇨今の現状から今後の生活をイメージした時、
 患者の負担と看取りにおける家族の悲嘆の緩和が目的

じゃあDNRだから積極的に治療をしない?__いいえ、そういう訳ではない

DNRをとったとしても、以下のケアは自動的に除外されることはありません
点滴や内服による薬の投与、食事の提供、呼吸状態が悪く一時的に酸素投与を行う、せん妄を起こし暴れることで血圧や呼吸が乱れることを抑える鎮静剤の投与などが行われます

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DNRになった時、どんなことを行わないのか?

心肺停止状態になった時の
・昇圧剤
・心臓マッサージ
・気管挿管
・人工呼吸器の装着
積極的な蘇生処置を敢えて行わないことがあげられます

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DNAR・DNR=延命措置を拒否する
何もしないという訳ではないという点がポイントです

途中で急変時の対応を変えても構わない

徐々に回復していく患者をみていくと、入院当初はDNARの意思だったが
積極的に治療してほしい。と変更する家族は多いです
なので主治医より病状が良くなった・悪くなったというタイミングで急変時の措置について再度確認されることがほとんどです。

なかなか病院へ足を運ぶ機会はそう多くないかもしれませんが、回復している姿をみて当初と違う考えになった時、家族から急変時の措置について主治医もしくは看護師に意思変更を伝えるべきだと思います。



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