からくりの森が始まりました
今年のからくりの森がついに本日(10月11日)からオープンしました。からくりの森は今年で3回目の開催となります。私、松山としましては2023年の第2回、今年の第3回と続けての参加となります。
昨年の振り返り
昨年は、もうそれは「天下一武道会」さながらでした。
からくりの森1回目で3作品も展示した強者のnomena。
ロンドンから日本へと移ってきたTangent。しかもわりとご近所さんの吉本さん率いるチーム。
セイコーウォッチのデザイナーのみなさん、そして、我々siro。
この4者が展示作品をそれぞれ自由に作ります。テーマは「機械式腕時計」。
展覧会のプロデューサーは桐山登士樹さん。そして、展覧会ディレクターとして平瀬 謙太朗さん。
厳しい戦い
まず、テーマが難しいです。「機械式腕時計」です。電気使われてないということで魅力はとても強いですが、動力としては弱いです。これをそのまま動力として使うのは大変そう。
その上、nomena、Tangentと割と特性が近いエンジニアリングとデザインとアートのあたりをさまよう感じのチーム。なんていうか「戦い」の匂いしかしません。
そんな苦しい中、siroとしては大健闘の名作が生まれました。
時のしずく
そこそこ話題になるぐらいのいい作品になりました。以下メイキング記事も書きました。
2年続けてのオファー
桐山さんが作品を気に入ってくれたこともあるかと思いますが、2年続けてのオファーを頂きました。とても嬉しいこと!
だけど…プレッシャーが….。しかもテーマは2年続けて「機械式腕時計」です。
同じテーマで今年もやるの!!!という厳し目の設定のなか取り組むことになりました。昨年の良作がここまでのプレッシャーを作るとは。うぐ。
チームを作る
昨年は、初からくりの森だったので、作品作ることに興味がありそうな、作家としての活動もあるようなメンツを中心に6名集めました。
そして、今年2024年のチームはこちら。
せっかくなので紹介してみましょう。まず私松山、そして、進行役は欠かせないのでsiroの片桐を呼びました。
デザインエンジニアの神山 友輔(SPLINE DESIGN HUB)
昨年も企画からメカ設計など活躍してもらいました。メカ設計からソフトウェア開発までこなせる珍しい幅広さです。そして作品も作ってる。
表現がわかるエンジニアの後藤 祐介
最近仕事でもいろいろ手伝ってもらってる後藤さん。ディレクションもできるプログラマーで、ハードウェアからソフトウェアまで広く扱える人。趣味でメカっぽい秀作作ってる!
若き研究者の頃安 祐輔
筑波大学の博士過程1年生の頃安くん。最近知り合って早速オファー。彼は水滴のことを「液滴」といいます。さすが研究者。
アーティストとしても活動してる狩野 涼雅
siroではものづくりのスペシャリストとしてCADから木工作業まで幅広く活躍してます。時計の機構を使った作品を作ってる作家なので、この仕事には欠かせないメンバー。
この6名で、超難関の2024年のからくりの森、作品プランを検討し始めました。
アイデア会議
様々なアイデアを出し合いました。面白そうなアイデアは結構出てくるんですが、コンセプトがばしっと決まりそうなのが出てこなかったり、実現が難しかったり。
とにかくたくさん出し合って、絞って、また出し合ってを繰り返して行きました。そして、神山が出したロボのプランに確定!!
たくさんあったなかから、3案ぐらいにまで松山の方で絞り、それをからくりの森に参加するクリエイターや、セイコーの方、桐山さんたちで話し合って決めました。
リーダー交代
SPLINE DESIGN HUBの神山のプランですし、松山が手伝えるのはチームをうまく回すことぐらいになりそうでした。ここはチーム名も「siro」から「SPLINE DESIGN HUB+siro」に変えた方がしっくりくるということで、チームに確認し、桐山さんやセイコーさんに確認してチーム名変更しました。そして、ディレクションは神山に移行し、全力で作り上げてもらうことにしました。
追加オーダー
と、プランが決まったあたりで、桐山さんから意外なオーダーがきました。
「松山さん、もうひとつ作ってよ」とのこと!siro単独で、もう一つとのことです。
まさかの展開で驚きましたが、大作のプランが決まったし、やや肩の荷が降りた感じの頃でした。他のクリエイターのプランも出揃ってましたので、ここから考えるなら、展覧会全体のバランスを考えて「もうひとつ足りないピース」を考えてみようではないかと取り組みました。
企画
私の企画のパートナーといえばVODALESの渡辺 浩彰です。すぐに呼んで話し合いました。
色々話し合った結果、そもそも機械式腕時計のムーブメントそのものが魅力的で、そのディテールを見るだけでワクワクが止まらないことで盛り上がりました。そもそも、機械式腕時計の魅力を再発見してもらうことが目的の展覧会ですので、若い人たちなど時計をしていない人にもその魅力を感じてもらいたい。
どうしてもクリエイターとしては、自分の領域に引き込んで魅了することを狙いたくなります。そこをぐっと抑えて、機械式腕時計のムーブメントそのものをよく見せ、その魅力を味わうことをサポートするようなものを考えました。
よくよく見ると、昨年のからくりのアイデアに、渡辺が出したアイデアでレンズで投影するアイデアがあります。
これだ!ということで、レンズなどの光学が得意な高田 徹(鉄塔)を呼びました。高田といえば、TETTORです。
カメラのレンズを3Dプリントで自作してます。やばっ。
その高田くんに「機械式腕時計を投影したいんだけど」と伝えて、スタディしてもらったらすごいの来ました。
これみて飛び上がりました。完全に来ました。これしかない!
あとはスパイスとして詩を合わせることにして完成。松山と渡辺は↓の作品でも文章を使いましたので、慣れた作戦。
まとめと宣伝
細かなメイキングはまた今度書きます。とにかく、二つの作品のプランが決まるところまで紹介しました!
さて、どんなふうに完成したのでしょうか。どちらも映像や写真では価値が伝わりません。是非とも会場で見てください!