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アクアリウムLEDライトの普及で変えたいこと

さて今日はアクアリウム用LEDライトについてお話ししたいと思います。
突然ですが、アクアリウム水槽にLED照明を使っている人、どれくらいいると思いますか???
ジェックスの調べでは、水槽の種類やサイズにより差がありますが、平均すると約30%くらいの人がLEDライトを使っているようです。(当社調べ)
SNSなどで見かける水槽レイアウトにはほぼほぼ、LEDがセットされており、明るく水草レイアウトを照らしたりしていますが、使用率で見ると、まだまだ「ライトなし」で水槽を楽しんでいる人が多いようです。

照明器具を使うことで水草が育ち、、、と昔からメーカーは言っています。もちろん水草育成には必要なものですが、それ以上に「アクアリウムをアクアリウムとして、お部屋で楽しむ」そのための必須のアイテムだったりします。コロナ禍でおうち時間が増えて、より一層その傾向が強くなっているように思います。

逆に言えば、LEDライトの普及率が高まるほど、おうちのなかでインテリアに近いようなアクアリウムを楽しむ人が増える、とも言えて、そうすればこれまでのアクアリウムよりも、もっと深く、もっと長くアクアリストが増えていくのでは、と期待してしまいます。

蛍光灯からLEDへの移行

その昔、25年ほど前は水槽用ライトと言えば蛍光灯。一般家庭のお部屋用にLEDが普及し、その後、水槽にも広がっていきました。アクアリウムにLEDが普及し始めたころはまだLED本体の価格が高価で、明るさも蛍光灯には及びませんでした。
数の原理でLEDが普及するとともに価格も下がり始め、逆に照明器具としての性能は蛍光灯を抜くようになり、一気にアクアリウム用LEDが普及。
現在ではアクアリウム用の蛍光灯はほとんど見かけなくなりました。

ジェックスもLED照明の普及のため、これまで様々な機種を開発し発売していきました。発売当初は60㎝水槽の流通量も多く、まずは60㎝用のLEDの普及を図りました。
最初のモデルを発売した時に、さっそく気が付いたことがありました。それは、当時主流だった上部フィルターとのデザイン上のマッチングが悪い、ということです。

上部フィルターはどうしても高さがあります。一方、LEDは蛍光灯に比べて圧倒的に厚みが薄い。水槽に一緒に乗せると、上部フィルターとの段差ができてしまう。
そして、蛍光灯には様々な電気部品が必要で、おのずと「奥行き」も広かったので、その奥行きを利用して上部フィルターとピッタリの一体デザインなどもしていました。

しかし、LEDは基盤のみで発光するので、奥行きも必要ない。

LEDの普及とともに、ジェックスは将来、フィルターや水槽サイズ(特に奥行き)も変わっていく、と予想して、新たなフィルターや水槽の開発もしはじめました。

アクアリウムLEDの価格を下げる

アクアリウムLEDはもっと普及するはず。
昨年2022年は新商品のクリアLEDフラッティを発売。これは、小さいだけでなく、ジェックスのフレーム付き水槽のフタまで改造して、フラットにピッタリ収まるように工夫したLED。「一体感をもって使いやすくすること」で、普及率を上げよう、とトライしました。
もう一つはLED自体の価格の問題。30㎝クラスのセット水槽が2000円前後でも変える売場の中で、付属品ともいえるLEDがそれより高い、というのは、普及を妨げる一つの要因ではないか、と考えました。

これまでLEDの価格が高かった理由の一つは、実は「アダプター」の存在。ほとんどのLED照明はDC電源。家庭用のAC電源のコンセントを使う場合は、アダプターを使いDCに変換する必要があります。
このアダプター、商品価格の何割かを占めることもあるくらい、実は高価なものだったりします。

USB電源を活用することでアダプターレスの仕様として、このアダプターの代金分を差し引いて本体価格を下げる。
社内でも「アダプターがなくてお客様は困らないか」という議論もありましたが、USBアダプターやUSBコネクタを備えた延長コードの普及もあって、今回はアダプターレスにトライしよう、ということになりました。
折しも2022年から2023年はエネルギー問題や世界情勢の影響で一気に物価が上がった状況で、必要なお客様が必要な費用を負担して、できるだけ多くの人にLED照明を使っていただける環境をつくる、そんな時期だったように思います。

コロナ禍で変わった「水槽」の選ばれ方

コロナ禍とそれ以前での水槽の選ばれ方、一番に変わったのは「金魚」「メダカ」「熱帯魚」という3魚種の新規飼育の割合が大きく変わった、ということだと思います。
コロナ禍の水槽購入者の4割は「メダカ」飼育を目的に水槽を購入している、というデータもあります。また、市場全体でフレームレス水槽の販売構成比が伸びていることから、室内に置くもの、としての意識は間違いなく高まっています。

今後も水槽は単なる飼育容器ではなく、お部屋に置く「インテリア性を含んだ存在」となるでしょうし、大きさや形もその視点は外せないと思います。

もう一つの課題は、アクアリウムそのものの魅力をどう定義づけして、どのように伝えていくか。
LEDの普及がアクアリウムの位置づけを変えていく、と考えています。