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まぐれを守ると成長は止まる

親子でスマブラをすることがあるのだが、先日息子の持ちキャラがVIP入りした。
このゲームには「VIPマッチ」というものがある。他人とオンライン対戦できるのだが、そこでの勝ち負けでキャラの戦闘力が上下するのだ。
そしてこの数値が上位5%に入ると、そのキャラはVIPマッチと呼ばれる専用部屋に入ることになる。

そこは上位5%以上の猛者が集まる部屋で、当然のことながら負けまくってるとVIP落ちしてしまう。
とにかく、VIP入りは1つのステータスなのだ。

しかし息子はVIP入りした瞬間、そのキャラを使うことをやめてしまった。
なんでも、VIP落ちが怖いのだと言う。
息子の周りでVIP入りしてる友達はいない。つまり本人が唯一のVIPなので。そのステータスを失いたくないのだろう。

一番の持ちキャラを封印してしまった息子は、最近別のキャラでVIP入りを目指している。

この話、一見しょうもないのだが、親である自分にはよく分かる。自分にも同じ経験があるからだ。

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20代の頃、ビリヤードに夢中になっていた。
たまに大会に出ることもあったのだが、あるとき準優勝した。そして翌週には、別の大会で優勝してしまったのだ。
これはどちらもビリヤード店がやってる小規模の大会なのだが、それから私はビリヤードの大会に全然出なくなってしまったのだ。

「公式戦」と呼ばれる、負けて元々の大きな大会には数度出たが、この手のローカルトーナメントには出なくなってしまった。

そう、私は負けるのが怖かったのだ。

同レベルの大会に出て、もしもサクッと負けてしまったとしたら、前回の優勝や、その前の準優勝はまぐれになってしまう。
「こないだ出た大会で優勝してさ〜」なんて話はできない。「前にまぐれで1回優勝したんだけど、そのあとは5戦連続1回戦負けなんだよね〜」みたいなことになるだろう。

それは嫌だ。

私は自分のまぐれを実力ということにしておきたかったのだ

こうやって文章にすると、本当にしょうもない話だが、これは偽らざる真実。本当にあった恥ずかしい話だ。

当然のことだが、そうやって自分のまぐれを守ろうとすると、実力は落ちていく。
大会を避けて、得られる経験値を逃しているのだから当然だ。
ビリヤードの成長は、ここで一旦止まってしまったと思う。

自分にこういう経験があるので、今回の息子のことは、心が痛いほど分かる。
まあこればかりは本人の問題なので、そっと見守るしかないだろう。

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さて、私はアプリ開発者なので、アプリのことも話しておきたい。
アプリでも上記のようなことは起こり得ると思う。
悲しいことに私は大ヒットの経験がないので、守るほどの成功を持っていない。

しかしビリヤードの経験から、今度こそは正直でいようと思っている。
どれだけのウルトラ大ヒットをしようが、好きなアプリ開発なんだから、淡々と続けていきたい。

まぐれはまぐれ。それで構わない。
自分を大きく見せようとする気持ちや、いっときの結果にとらわれず、とにかく継続していきたい。

自分の成長にフォーカスするのなら、これが最善手だと思っている。

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