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健康診断

来週、猫の健康診断を予約した。本来、9月末の『うちの子1年記念』ぐらいで予約しようか、などと予定していたのだが、もうそれまで私の精神がもたないという判断の結果、予定が大幅に繰り上がった。

先月、私が仕事から帰宅すると何を差し置いても出迎えに来る猫が、猫ベッドから出て来ずにぐったりとしている日があった。にーさんに尋ねてみると、私が帰って来る前にフードを1度、更に水も1度吐いていたとの事で、呼びかければ薄く目を開けるがまたすぐに目を閉じて顔を伏せてしまう状態。既にかかりつけの動物病院は閉まっている時間だったのと、2度吐いた後に口にしたフードはまだ吐き戻していないとの事だったので、とりあえず様子を見て翌朝1番に病院に連れて行こうという話になった。
その夜は猫の事が気になってベッドにも入れず、猫ベッドの隣で毛布をかぶって寝そべり、呼吸で上下する猫の腹をじっと見つめて過ごした。普段なら、夜になれば元気になって撫でろ構えと騒ぎだす猫が、猫ベッドの中で気だるそうに寝返りを打つだけ。心配するなという方が無理だった。とはいえ仕事帰りの疲労した体は正直な物で、明け方になって猫ベッドからのっそりと出て来てフードを3口ほど食べた猫の様子を見て一安心したら、うっかり寝落ちてしまったのだが。アラームで飛び起き、慌てて見つめた猫の腹が無事上下しているのを確認してから、取る物もとりあえず病院へキャリーバッグをかかえて駆け込んだ。結果として、多少の便秘以外には特に問題はないとの事で、そこでようやく心からの安堵の息を吐いたのである。念のために制吐剤を入れた皮下点滴を受け、脱水の心配もなくなった状態で帰宅すると、猫は不機嫌そうな面持ちでキャリーから歩み出て、その足でフードの皿の前へ向かった。ガリガリと音を立ててフードを食べ始めた猫を見て、張りつめていた緊張の糸が切れて床に座り込んでしまった。

それ以来、フードの減り具合を見ては食が細くなったのではと不安になり、3連続でくしゃみをしたのが聞こえれば慌てて猫ベッドを徹底掃除し、飲水量に目を凝らし、トイレでの姿勢が僅かに変化したのが気になってしまったり……と、まあ、『過保護者』状態になってしまったのである。床に置ける温度湿度計や耳で計れる体温計も購入し、毎日機嫌の良さそうな時を見計らって体温チェックと体重チェックもするようになった。ブラッシングによる全身チェックも以前より頻度が上がった。にーさんに帰宅を知らせる電話でも、猫の状態を確認している時間の方が長い有り様だ。
だが、逆にこの私の行動が猫のストレスになってしまってはいけない。第一、最初にも書いたとおり私のメンタルが、現在進行形の凄まじいスピードですり減っている。実家に来ていた猫、ハルのガンの発見が遅れて命を落としてしまった事への後悔も併せて思い出してしまい、このままではストレス性の過食が再発しかねない。
こうして、猫の健康診断が繰り上がる事となったのである。だが、健康診断が決まったら決まったで、それまでの間に何かないだろうか、結果が悪かったらどうしよう……という新たな心配の種を抱え込んでしまい、些細な事で右往左往している始末だ。

一方、当の猫はと言えば、人間の過保護振りは単に私の猫下僕度が上がった結果だと思っているのか、暑くなってきた気温から逃げるようにフローリングの上に悠然と寝そべり、全身ブラッシングを無言で要求してくる。
私も、この暢気さを見習うべきなのだろう。

写真撮ってないで早くブラッシングしろと仰せです


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