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目覚まし猫

最近、寝ている人間を起こすにはベッドに乗って直接アタックすればいい、ということに猫が気付いてしまった。

以前は寂しくて夜鳴きをしていたのだが、無視される率が高いのでとうとう実力行使に出たようだ。ベッドに飛び乗って、人の顔を舐めて起こして撫で撫でを強要し、満足するまで撫でられた後は軽く添い寝をしてから、自分のお気に入りの場所へ戻る。騒いでご近所迷惑になるよりは全然マシなのだが、これを明け方から1~2時間おきにやられると、人間の睡眠不足の方が問題になる。一度満足したらそのまま朝まで添い寝してくれていれば良いのだが、うちの猫は満足したりリラックスしたりすると空腹を思い出すらしく、足取り軽くフードの所へ向かってカリカリとやりはじめる。なお、フードを空にしておく、という方法を試してみたところ、今度は『ごはんがない!』と騒ぎ出すという結果に終わった。
私は顔を舐められるだけだが、にーさんの方は足やら腕やらを甘噛みされているらしく、なんでお前の事は噛まないんだ、とお冠である。その上、添い寝のご褒美は私にだけ与えられるので、にーさんは噛まれて起こされるだけで反対給付なしである。添い寝してもらえるように気合を入れて撫でて引き留めてみたらどうだろうかと提案してみたが、未だに成功していない。

今のところ睡眠の質の低下以外に実害はないので、ある日半ば自棄、半ば冗談で猫に頼んでみた。
「猫、今度は●●時(任意の時間)に起こしに来てくれる?お前は賢い猫だから時間が分かるよね?」
現在時点では、このお願いの成功率はゼロに近い。30分ほど早く来たり、肝心の時間には猫自身が窓際で爆睡したりしている。完璧に成功したのは、トニー賞が放送される朝の1回だけだ。この日は前日に頼んだ通り、本当に8時ジャストに顔を舐めに来た。
まあ、そんな物は成功などと呼べない。ぶっちゃけ偶然である。だが、
「今日はちょっと早かったなー」
とか、
「今日は来てくれなかったじゃん、目覚まし時計に負けちゃったよ?」
などとネタにすることで、猫のちょっと困った癖も、人間の日々の楽しみの1つに変わりつつある。

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