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たかが平たい板

猫好きのご多分に漏れず、我が家は『岩合光昭の世界ネコ歩き』を毎回欠かさず見る。私はカレンダー通りではない職業に就いているのだが、ここ数年は木曜日が完全休日となっている。番組改変でネコ歩きが木曜日に移動してきた時には快哉を叫んだものだ。映し出される猫たちを見て、この猫たちに幸多かれと願いながら、新作であろうと再放送であろうと同じ熱心さで視聴する。
そうしてネコ歩きを見ていると、時々うちの猫がソファーに上がってきて、足の間に入れろ、撫でろ、構え、と主張してくる。
猫視聴率が大変高いと評判のネコ歩きではあるが、我が家の猫は一切興味がない。というよりも、テレビの映像全てに全く興味を示さない。ネコ歩きで猫同士の喧嘩が映し出される時だけは、その声に驚いて体を固くするが、反応らしい反応はそれだけだ。今も、あの平らな板の中で動く物は須らく幻であるとでもいう顔をして、下町の猫に相好を崩す私の足の間で、喉を鳴らしながら撫でられている。それでもお気に入りの箱からわざわざ出てきてまで撫でろ構えと主張するということは、例え相手が幻であっても、人間の興味が自分から他の猫に移っていることに不満を覚えているのかも知れない。

ネコ歩きの間はいつもこんな面構えである。


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