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二次創作系AI絵師が語る。二次創作、スクショ、同人ファン活動のためのウォーターマーク〜おま愛式擬似ウォーターマークのススメ〜

※この記事ですが、記事の性質上二次創作のキャラクターの画像を使用しているため、(記事内の画像が映っている)スクリーンショットはやめていただきたいと思います。スクリーンショットでの複製を見つけましたら赤十字社に最低30万の寄付をお願いさせていただく場合がありえますのでご注意ください。
ウォーターマークの効果検証は以下↓の記事でオリキャラ使ってやってますので、スクショ取りたければ向こうでお願いします。

※この記事の文字部分のみであればコピペでもスクショでも心を込めた手書きでも自由に持って行っていただいて大丈夫です。もし画像が入ってしまうようならそこだけ除外して使ってください。


現在Twitterでは「二次創作する人間がサインやウォーターマークを自分の作品に入れるのは権利的に問題ではないか?」という話題が出ております。これに対しての私見と具体的な対処法をAI絵師かつ二次創作も10年以上やってきた自分が説明します。そしてウォーターマークを使用せず「お前らの愛で見えない式擬似ウォーターマーク」略して「おま愛式」で作品を「AI学習」から「法的に守る」方法を紹介します。


ウォーターマークは「家族で共用する冷蔵庫のプリンに名前を書く」ようなもの

さて、そもそもウォーターマークが何なのかよくわからない人もいるでしょうから、そのことから説明しましょう。ウォーターマークは透かしのことになりますので、紙幣に入っている透かしの意味も含め広義の意味が色々とあります。ですがこの記事では電子透かしの事をウォーターマークと呼ぶことにしましょう。
電子透かしとはデジタルコンテンツに対して情報を付与するもの、その技術の事をそう呼びます。例えば描いた絵に自分のサインを入れることも電子透かしとなります。有料版への誘導のためサンプルに対して「sample」と書いてあるのも電子透かしです。

さて、どうしてこのようなことをするのでしょうか? 例えるのであれば冷蔵庫にあるプリンに自分の名前を書くようなものです。
冷蔵庫は基本的には一人一台ではなく、一家で共用しているものです。つまり他の家族のものも入っています。さらにそこにあるものは基本的には共有です。家によっては数リットルのジュース等のペットボトルを買ってきて家族で中身を共有もしているでしょう。そんな中でプリンに名前を書かなければどうなるでしょうか? もちろんその家族の方針にもよると思いますが、共有財産なのだから入っているプリンを食べてもいいよね。と他の家族に解釈されてしまうことは十分にあると思います。

そのプリンは誰のもの?~二次創作の面倒さ~

さて、共用の冷蔵庫のプリンに名前を書くようにネットという共用、公共の場所に出す以上。ウォーターマークを自分の創作物に入れた方がよい(万全を期すなら綺麗なものも有料版として用意しましょう)というのはお分かりいただけたと思います。一次創作に限ってはまさしくこれが結論となりますので、もしそのような方がこの記事をお読みになっていたらここで離脱してください。一次創作の場合は自由に入れるべきです。コミケも近いし原稿があるでしょうから。

さて、コミケと原稿と聞いて帰りたくなった二次創作者様方はちょっと待ってください。
二次創作で同じことするのって本当に大丈夫なんでしょうか?
問題のない行為なのでしょうか?

二次創作には元ネタが必ずあります。その元ネタの意向を無視していることにはなりませんでしょうか?
冷蔵庫のプリンで例えるのなら、他の家族が買ってきたプリンに対して勝手に自分の名前を書くような行為ではないでしょうか?

ゲーム画面のスクリーンショットに対しウォーターマークを入れると言っている人はまさしくこのようなことをしようとしていると自覚すべきです。それは良くないというのはおそらくはこの例えで分かると思いますが。二次創作者の方はおそらくこの例えでは納得しないでしょう。
なぜならそのプリンを自分で作っているという意識があるからです。
そして当方も二次創作をする関係で法的にはそれも間違っていないと考えますので、その場合は別の例えを出しましょう。

家族が卵と牛乳を買って来て冷蔵庫に入れていた。そしてそれらには家族の名前が書かれていた。それらを使って勝手にプリンを作り、そのプリンに自分の名前だけを書いた。もしくは「勝手に食べないで」と書いた。

……どうでしょうか。何が良くないのかお分かりいただけたでしょうか?
その家族が卵を買ってきたのは夕飯にオムライスを作ろうとしていたからかもしれません。牛乳は飲むなりグラタンなりを作ろうとしていたのかもしれません。
それを勝手に使った上に出来たプリンに自分の名前「のみ」を書く……もしくは「勝手に食べないで」と書く……本当に良かったのでしょうか?

もちろん食べ物と違って二次創作は使っても無くなりませんし、場合によっては公式が名前が書かれてても使っていいよと奨励していることもあります。(想像するといいお兄ちゃんおねえちゃんですね……萌えます)(今回使わせていただいている版権もそのいいお兄ちゃんおねえちゃんに当たります)
なのですべての二次創作が悪いとは思いませんが、そうでない場合には道義的、さらに言えば法的な責任も含めてついて回るものではないでしょうか?

あとここは書くまでも無いとは思うのですが、その勝手に作ったプリンに「毒」を盛るのは二重三重に問題のある行為だと思いますので、某ソフトを使用するつもりであればよく考えてください。それ以外の防御ソフトであれば法的には大丈夫かと思いますのでご自由になさればいいと思います。

じゃあどうしたらいいの?~おま愛式疑似ウォーターマークのススメ~

ここまでの内容を整理しますと、「一次創作にサイン等のウォーターマークを入れるのは問題ない」「スクリーンショットにサイン等のウォーターマークを入れるのはマズい」「そして二次創作にサイン等のウォーターマークを入れるのは……すべて悪いとまでは言わずともちょっとどうなのだろうか」ということになると思います。
でも二次創作者としては何とかしたい。という気持ちもあるでしょうし、手書きでの二次創作もする自分としてはその気持ちもわかります。スクリーンショットを上げ続けたい人にとっても死活問題でしょう。なので代案になりそうな方法を一つ考えてみました。

この方法は「お前らの愛で見えない」というネットミームから「おま愛式」と呼ばせていただきます。どういう方法かと言えば、以下の記事のイメージ画像を見て頂ければ一発で分かるかと思います。

説明不要かとは思うのですが一応説明しますとね……。
「書いた絵に可能な限り文字を入れ、元絵が見えない状態にする」という状態にすることです。
サムネにも使いましたがこんな感じで。

私の愛で見えねぇ……(´・ω・`)

きっと今記事を読んでいる方は「お前の愛で見えねぇ」って言いたいでしょうが、まさしくその通りなので「おま愛式」と呼ばせていただいております。伏線回収しました。

この方法のいいところは「使うことは法的に問題ない」ため、二次創作は当然でスクリーンショットにも問題なく使えることと、技術的にかなり容易なことです。
安易なi2i(イラストを元に画像を作る)は防げるものの、基盤学習やLoRAには残念ながら効果が薄いどころか無いそうですが、剥がした場合に「法的な防御効果」が微妙にある可能性があるため。
※後述
やらないよりはやった方がいいかと思います(面倒くさいとは思いますけどね……ただいちいちサインやウォーターマークを入れるのもめんどいから文言さえ最初に作ってしまえば手間はそこまで変わらないと思いますよ)


効果がどれほどかは後程i2i(イラストを元に画像を作る)した画像を張っておきますのでそちらで判断してください。i2i(イラストを元に画像を作る)は生成AIユーザの間では学習とされていませんが、ピクシブの参考記事では人によってはAI学習にも含まれる様子で混沌としております。

基本的に生成AIユーザと非生成AIユーザにとって意味の開きがある単語だと思いますので、こちらの単語を使用せず「無断利用禁止(AI含む)」と書く方が誤解が無いと思うので、個人的にはこちらの表現をおすすめしたいですかね。
(多分この書き方をしても技術的、法的には防げませんけど、生成AIユーザでも非生成AIユーザでも問題なく意図については伝わりやすいと思います)

ではi2i(イラストを元に画像を作る)結果を張っていきます。

おま愛式の効果はどれほど? 技術的には無意味だが法的には意味があるかも?

今回紹介した「おま愛式」ですが、万能の方法ではなく、無駄に期待を持たせるのも何なのでデメリットも紹介いたします。
技術的には全く防御効果ありません。↓先ほどおま愛式を入れた絵に除去機能かけるだけでこの通りです。

やっぱり我が推しは綺麗な顔してんな~

さて、技術的に剥がせるのなら無意味じゃないか。と言いたくなると思いますがちょっと待ってください。
こちらですが、当方は法律の専門家ではないので言い切ることはできないものの。おそらくはおま愛式の除去は法的に著作者人格権(著作権ではないことに留意)の侵害行為に当たるケースが存在すると思われます。
どういうことか説明しましょう。

まず法律上では、ウォーターマークを機械学習用に剥がしていい場合があります。それは私的利用の範囲においてです。つまり加工した画像を外に出さないのならと言い換えてもいいでしょう。おま愛式はウォーターマークとは言い難いと思いますが、単純に考えるなら剥がしても問題ないはずです。

ですが少し待ってください。
そもそも著作物というのは「思想又は感情を創作的に表現したもの」となります。創作的表現には当然文字も含まれることに異論はないでしょう。つまるところ文字部分を改変することは著作物の本質的特徴を改変するために著作者人格権にある同一性保持権の侵害となる可能性があります。
そうなるとウォーターマーク剥がしの場合も同一性保持権の侵害となるパターンが存在すると推定するでしょうが。こちらは残念ながらすべてが該当するわけではないと思われます。
あくまでも本質的な特徴の除去が同一性保持権の侵害なので「除去することで作品の質が大きく変わってしまう場合」に限定されるでしょう。

つまり創作的な表現にウォーターマークが組み込まれており、剥がすことで作品の質が変わってしまう。価値が目減りしてしまう。そのパターンにおいて同一性保持権の侵害になるのではないか。
なのでおま愛式においては作品の本質的な特徴まで変わっているのが明らかなので同一性保持権の侵害に当たるため機械学習目的でも改変は違法なのではないか。※日本国内法基準で
あと単純に見ててウザいから同好の士以外には持ってかれないのでは

……と、このように筆者は思いますが、どうなのでしょうね?
この辺は法律の専門家に聞いてください。
著作権法は法律の中でも難しい部類に当たるので専門性が無ければ普通の弁護士でも厳しいようですから、しっかり弁護士を選びましょう。

まとめ

筆者の基本的なスタンスをまとめるとこうなります。

「一次創作にサイン等のウォーターマークを入れるのは問題ないと思う」
「スクリーンショットにサイン等のウォーターマークを入れるのはマズいのでは」
「そして二次創作にサイン等のウォーターマークを入れるのは……すべて悪いとまでは言わずともちょっとどうなのだろうか」

「なのでおま愛式でお前らの愛を守ってくれよな!」
「ダサいからやりたくないって人は創作的な表現のあるウォーターマーク(絵と不可分なウォーターマーク)を追求してみればいいと思うよ!」

ということになります。
参考にするかどうかは自由ですが。お前らの愛が見れることをこっそりと期待しておりますよ。

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