一歩一歩慎重に。
どうも。
KONGです。
高校生の頃、地元のレンタルビデオ屋によく行っていた。
まだDVDが普及し始めた頃で、今と比べればそりゃぁ画質は劣るけど、
VHSで育ったKONGからすると驚くほど綺麗な画質になっており、
そんなDVDで見るアニメ『はじめの一歩』はKONGの楽しみの一つだった。
レンタルビデオ屋は行動範囲内に数店舗あったが、
KONGが行っていた店は、頻繁にレンタル半額キャンペーンを実施していた事もあり、
お金の無い地元高校生たちがよく集まっていた。
行けば、同年代の友人や顔見知りの誰かしらに会ったので、
人を探す時でも『ビデオ屋に行けば会えるんじゃねぇ?』 となるくらいだった。
そんなある日の事。
KONGがビデオ屋の中をフラフラしていると、
とてつもなく可愛い事で有名な、別の高校の女の子クミ(仮)を見かけた。
反射的に『はじめの一歩』のDVD2本をサッと後ろに隠し、
陳列棚の死角に隠れたKONG。
思春期特有の衝動だったのだと思う。
友達でも知り合いでもない人なのに、可愛い女子というだけで
思わず
『見られたくない!』
という恥ずかしさが体に走ったのだ。
その場でクミが店内からいなくなるのを少し待った。
しばらくした後、店内を一周してクミがいない事を確認しながら、
『はじめの一歩』2本を持ってレジに並んだ。
「お次のお客様どぉーぞぉ」
KONGの番だ……………と思ったら!!!!
店内で姿を消していたクミが、なんとKONGの後ろに並びやがった!
『ヤバい…。
もう一周しとくべきだった…。
少しでも早く会計を済ませて、
彼女から離れなければ!!!』
そう思いながら店員さんに『はじめの一歩』を渡した。
『ピッ』
『ピッ』
スマートに貸し出し受付をしてくれる店員さん。
しかし・・・。
「申し訳ございませんお客様…
こちらの商品はお貸しすることは出来ません…」
なんだと???
店員さんが困った顔で、
『はじめの一歩』のケースに入っていたDVDをこちらに見せる。
『ミスキャプ○ン3 ○もしようよ○○△☆』
エロDVDやないかい!
確実に『はじめの一歩』のケースから2本抜き取ったんだ!
誰の悪戯やねん!
焦るKONG。
すぐ後ろには、あのクミがいるのだ。
彼女から、KONGの背中越しにAVのディスクが見えるかもしれない。
AVを借りようとしていると誤解を持たれるかもしれない。
もはやアニメのDVDを借りる所を見られる事より恥ずかしい。
「あ、じゃあ…大丈夫です…ッ!」
パニックに陥ったKONGは、逃げるようにレジを離れてしまった。
「では、お次のお客様どうぞぉ~」
店員が呼び、クミがレジの前に立つ。
クミの目の前には、『ミスキャ○テン3 ○もしようよ○○△☆』が
無造作にカウンター上に置かれたままであった…。
KONGが店内を出ようとした時、入れ違いでクラスの女子・トミコ(仮)に遭遇し、
KONGに気づいたトミコが声を掛けてきた。
しかしKONGは今、他人と挨拶を交わせるようなノーマルな精神状態ではない。
「およっ!・・・じゃッ!」
中途半端な挨拶をしながら急いで逃げるKONG。
それを不思議な顔で見送るトミコ。
翌日。
学校でトミコがニヤニヤとした顔で話しかけてきた。
「昨日、エロDVD借りようとしたら、店員にバレたんやろ???笑
ウチの友達のクミがその場見たって言いよったよ!」
………嗚呼。
お二人はお友達でしたか…。
こうしてAVレンタル未遂犯としての汚名を着せられたKONG。
『はじめの一歩』を見るどころか、突如乱入してきた『ミスキャ○テン』により、
心がノックアウトされたのでした。
皆さんも、開放的になる夏だからこそ
何事も慎重に。
それでは、また!