コングのグルメ〜第6話〜
朝と夜はすっかり秋模様。
少しずつ気温も下がり快適な日がやってくる。
そして、
体は体温を保つ為に基礎代謝を上げ、エネルギーを燃やしていく。
うむ…。
それでは何もしなくても腹が減っていくじゃないか。
つまり…
食欲の秋が到来。
朝日を部屋に入れる為、カーテンに手を伸ばすと飼っている亀(材木座)と目が合う。
「お前も食欲の秋がくるのか?」
餌場をノソノソと歩く亀を眺めるKONG。
ノソノソ…
ノソ…ノソ…
ノコノコ……
(ハッ!!)
今日は自宅で【スーパーマリオワールド】の気分を味わうのも悪くない。
時計を見るとまだ朝7時。
「一丁いきますか。
キノコ狩り。」
早速、歯を磨きながら『キノコ狩り』を調べる。
が、
当日ドン!で参加出来そうな『キノコ狩り』は見つからない。
仕方なく、
誰かがドン!と仕入れてくれたキノコを狩りに行くとするが、【スーパーマリオワールド】と決めた以上はKONGも『冒険』をするべきだ。
よし。
行った事のない名前のスーパーで『キノコ』を探してみよう。
こうして、
【スーパーKONGワールド】のスタートボタンが押され、電車と言う名の『土管』に吸い込まれて冒険が始まるのだった。
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スマホのマップでスーパーが集まっている駅を探し目的地を絞る。
マップに写るのは各地に名前を馳せるスーパーが多い。
確かに、品質、品揃えが約束された場所だと買い物は一箇所で終わる。
「便利な世の中だ。」
しかしKONGが求めるのは行った事のないスーパーでの買い物である。
…考えろ。
…少しでも早く決断するのだ。
なんせ…
吸い込まれた土管は、目的地を選ばないと何処まででも行ってしまう。
「えぇい!!!」
意を決して駅周辺にスーパーがある場所でおりる。
初めましての改札を潜り、初めましての駅に降り立つ。
もう一度確認しよう。
ここには姫様を助けに来たわけでも
ライヴをしに来たわけでも
オシャレをしに来たわけでもない。
キノコを買いに来たのだ。
大体の地形をマップで確認したKONGは"新鮮"を売りにしているだろう行った事のないスーパーを目指す。
そのまま店内に潜入。
何時でも初めましてのスーパーはテンションが上がる。
そして目的の『キノコ』を発見。
「これは…
最寄り駅のスーパーとほぼ同じラインナップだ…」
綺麗に並べられた棚には、ケンシロウが製造していそうな『キノコ』が市場をほぼ独占している。
だが、
本日の大切な事は『何を買った』ではなく、『何処で買ったか』なのだ。
このテンションを維持しながら、再び土管に飛び込み、ゲットしたキノコを持って家に帰るKONGだった。
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家に着くと早速包丁を握り一呼吸。
「マリオよ…。
オマエと違う所は
KONGは味付けをするのだ。」
【エリンギ】を切る。
レンジでチンをして
【海苔】と【チーズ】と挟み【ライスペーパー】でまく。
ここで【しば漬け】を細かくして【マヨネーズ】と和えて【タルタルソース】を作る。
次に【椎茸】に【味噌】と【マヨネーズ】を混ぜて乗せる。
うむ。
仕込みが終わったら、椎茸をオーブンに突っ込み焼き始める。
その間に風呂に入る。
無駄のない時間配分。
ここはすでに【スーパーKONGワールド】
時間は止まってくれない。
タイムアップになればKONGが1人減ってしまう。
Bダッシュで風呂から出て、アルコールを体内に入れる。
「くぅーーーーーーー。
冒険の後の一杯は最高だ。」
風呂前にセットしたオーブンを確認し、こんがり焼けた『椎茸ミソネーズ』を皿に盛る。
そして食べる。
(ピロリロリン🎵)
「ん?
これは。
1UPだ。」
この調子でエリンギも焼く。
うむ。
「タルタルソースがいい仕事している。」
秋は最高だ。
ゆっくりと今日の思い出を振り返る。
「電車賃でもう一品作れたな……」
だが、不思議と痛くも痒くもない。
なぜならスター状態だから。
「休日はこうでないと。」
恐らく明日の朝には、この冒険のデータは半分ぐらい消されているだろう。
残念ながら【スーパーKONGワールド】にはセーブ機能がないのだから。
恐らくこの先も同じような失敗をするだろう。
たが、
何度【スーパーKONGワールド】がスタートしようとも、
この世界で『亀と仲が良い』事は変わらないだろう。
それでは!
また!