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そして、伝説へ
どうも。
KONGです。
本日のお話は高校時代。
KONGを含めた育ち盛りの男子達は、毎日決まって「早弁」をしていた。
2時間目が終わったタイミングで、まずは自分達の弁当箱を空っぽにし、
昼休みは昼休みで学食に行き、またご飯を食べる。
“よく食べるやつは男らしい”
そんなイメージが男子達の脳内にあったのも理由なのだが、
そんな中、絶対に早弁をしない事で有名な
「昼食の戦士」
と呼ばれる男子がいた。
彼はどちらかと言えば大人しく、目立ったグループにもいなかったのだが、
ある日の昼休みに突如、自前の魔法瓶からお湯を注ぎ出し、
学校でカップラーメンを食べ始めた事で
一気にクラス中の注目を集めた。
「おい!それっていーのかよ!」
学生特有の『誰もしていない事で脚光を浴びる行動』に嫉妬した生徒が、彼に噛み付いた。
「―――だったら早弁はいいのかよ?」
彼のスッパリとした反論にたじろいだその生徒は、
悔しそうな顔で教室を出ていった。
------数日後。
昼食の戦士が、
今度は『カップ焼きそば』を持って来た。
「おい!お湯は何処に捨てるんだよ!学校には捨てるなよ!」
また心の小さい男子の一人が絡み出した。
しかし戦士は3分後。
自分の魔法瓶に湯切りのお湯を戻し
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81749163/picture_pc_46818713a71855ffa4ff819e84e24250.jpg?width=1200)
「捨ててないけど」
と一言。
彼は戦士というより、王の素質を持っていた。
それからというもの、彼はポットから湯煎されたカレーを出してきたり、
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81749207/picture_pc_ac5576ca1966fcb795b1da3f7e571eb4.jpg?width=1200)
茹でただけのパスタを持ってきて、
ポットからカルボナーラを掛けて混ぜたりと、
まるで手品のショーのように様々な料理を教室に出現させた。
学食で食べる組も「今日はアイツ・・・一体何を出すんだ・・・」と気になってしまい、
戦士のカバンから出てくる物を確認してから学食に行く、というルーティーンが続いていた。
―――そんなある日。
本人も少し面白くなって来たのか、昼食前に「今日は何を食べるんだ?」と聞かれると、
「今日は……ピザを頼んでやる!」
と、KONGの学生生活で誰も成し得なかった、学校でデリバリーを頼むと宣言したのだった。
「それはダメだろ!!」
と野次を入れるやつもいたが・・・。
これまでの戦士の功績(?)を見てきたクラス大勢のハートには、既に火が着いてしまっていた。
「見たくねぇのかよ!?学校にピザが来るんだぞ!?」
「空気読めよ!!」
もはや映画「ミスト」のような反乱分子狩り状態。
正しいのは野次を入れたやつだったのに。
――――――数時間後。
授業終了のチャイムが開戦のゴングになり、戦士はピザ屋に電話した。
そして、届け先を『学校の正門に』と伝えて電話を切ったのだが、
焼き上がるまでの時間を計算していなかったのが、まだまだ高校生。
昼休み中に届くのかどうかが怪しいのだ。
さらに先生に見つかった場合、
「出前した=携帯電話持ち込み=没収」
となり、携帯電話と昼飯とピザ代など、
失うモノの多さにも後々気付く。
自分の置かれた状況にソワソワしながら、ピザの配達を待つ戦士。
ピザはなかなか届かない。
そうこうするうちに、あと少しで昼休みも終わってしまう。
教室の窓から、ソワソワと外を眺める戦士。
そこで誰かが一言。
「そもそも門にいなきゃ、学校の職員室に持っていかれるんじゃない?」
Σ(゚Д゚〃)はっ!!!
すぐさま戦士はダッシュで教室を飛び出した。
そんな彼の頭上で、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。
―――――――――
戦士だけが不在のまま、授業が始まった。
出席も
「アイツは保健室に行ってます」
とみんなで庇った。
静かに進む授業。
一つ空いた席。
戦士は今どうしているんだろう・・・?
その時―――
バウウウウウウウウウウウン!キキーッ!
張り詰めた空気を切り裂くように、バイクの音が響いた。
はっ、と反応する生徒達。
窓際に座るKONGが、外の様子を見ようと、少し中腰になる・・・。
校庭を挟んだ教室の反対側。
校門の陰で、戦士がイソイソとピザの精算をしていた。
笑い声が出ないように必死に堪えるKONG達。 なぜなら、
校門の陰から戦士の体がはみ出して丸見えなのである。
携帯電話を隠しながら、クラスの一人が状況を伝えるためにメールを送った。
『見えてるぞ!!しゃがんで食え!!』
メールを受け取った戦士がすかさずしゃがむ。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81749415/picture_pc_2f6d04d2e72087283ffcd85112f20c5b.jpg?width=1200)
しかし、まだピザの箱が校門の壁からはみ出ている。
その事も伝えなければならない!
しかしそこでKONGが、ある事を思いついてメールを送ってみた。
『一枚くれ』
すると・・・。
校門の下から手が伸びてきて、校門の塀の上にピザが一枚置かれ、メールが来た。
『どうぞ』
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81749472/picture_pc_85c207a420f2ace0854d34d894f352c8.jpg?width=1200)
え?今くれるの?
校門を見続ける窓際の生徒達は、もう笑いを堪えるのが限界になってきた。
すると後ろから
「なんだ?なんかあるのか?」
先生が怪しげに窓の外を覗き込んでいる!!!
絶体絶命―――――。
そこで誰かが答えた。
「ピザです。」
「は?」
それを聞いた先生は、校門の上に置かれたピザを見つけた。
「あ!ピザだ!」
クラスは大爆笑。
――――数分後。
ピザを完食した戦士が、堂々とクラスに戻ってきた。
「お。もう大丈夫か?」
「はい」
そう答えた戦士は、
脇にピザの空き箱を抱えている。
放課後。
先生にコッテリ絞られて、職員室から戻ってきた戦士が一言。
「蕎麦だったら行けた。」
こうして、昼食の帝王が誕生したのでした。
さて
暑さもこれからが本番。
ピザでも、蕎麦でも、しっかり食べて元気に過ごしましょう。
それでは、また!!