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セヤブ事件

KONGです。

電子マネーや携帯電話の進化により、今や「少しの時間も待てない」、
そして「他人の要領の悪さにイラついてしまう」、
そんな人間が多くなったと感じるこの現代社会。

そんな未来を予想していたのか、
私の高校時代には、体育とは別に
心身共に鍛える事を目的とした『武道』の時間がありました。

うちの高校は『剣道』と『柔道』の二つから選択でき、
KONGは柔道を専攻したのですが、問題なのは柔道の先生。

今となっては絶滅種であろう


『THE★生徒指導 教師』


真夏はラガーシャツに下駄 。
冬場は柔道着に下駄 。

そんな、漫画に出てくるようなモンスターが柔道の授業を担当し、
毎日生徒たちに暴ry

・・・「愛のお仕置き」をお見舞いしまくっていました。


逃げ出しても何処までも走って追いかけてくるし、
例えその場は逃げ切れたとしても、
わざわざ別の授業中に教室に入ってきて、連行するというしつこさ。

反抗しようにも、先生は『紅白帯』。
(※柔道六段〜八段)

人前で笑う事もない・・・まさに鬼軍曹のような教師でした。

「柔道の授業?わーい!投げ技教えてもらえるぅ~」

そんな淡い期待から選択した柔道の内容は、正座と挨拶の徹底と、
1年生では『前回り受け身』や『袈裟固め』をひたすらやらされ、
2年生ではそれらに『軽い投げ合い』が加わり、
3年生では今までの流れと『乱取り』。

さらにその日の調子が良い生徒は、柔道部と戦わされるという、
いわば公開処刑のような事まで。

そして、事件が起きたのは3年生の時…

生徒の中でも特に大柄な『片山(仮)』がその日の公開処刑に選ばれ、
男子生徒みんなが正座で畳を囲み、静かに見守っていました。

(今日こそ投げてやれ!)

(頼む!先週のカタキをとってくれ!)


・・・とは言え、相手は柔道部で、しかも主将の『谷口(仮)』。
毎日稽古に励んでいる彼から一本取れるなんて思えない。

そもそも授業の一環な訳で、 柔道部は鬼軍曹から

「いいか?投げられそうになったら、
怪我をしない為に受け身に専念しろ」

と前々から散々言われているので、
どんなに良い形で組んで投げようとしても、
ワザと飛んで投げられてはくれない…。

さらに連中は毎日鍛練をしているプライドから、

「チャラチャラした素人どもに、投げられてたまるか!」

といった意地も持っているだろう…。

そんな色々な思いが入り交じる中、ついに試合が開始。

前半、片山がかなり善戦!
何度も 「お!!!」 という場面があった。

(勝てる!?谷口に勝てるのか!?)

・・・しかし最終局面。
柔道部の主将である谷口が、意地を見せた!

「せやぁ!!!!!」



大男の片山が宙を舞う。
そして受け身を取った瞬間・・・!


バン!!!(受け身)


『ぶぅ~』


静まる武道場に…

似つかわしくない音…。

ぶぅ~?

へ?

へ?

屁。

誰もが聞き逃さなかった『屁』 。

音の発生源は・・・・・・柔道部、谷口。

倒れる、大男。

見下ろす、屁こき柔道部主将。

勝って気持ちもスッキリ。

きっと腸内もスッキリだろう。

いつもなら

「はーい。それまでー」

と終了の合図を言う鬼軍曹も、無言…。

よく見たら顔を真っ赤にし、震えながら下を向いている…

そして…

笑いを必死にこらえた顔で

「キッ……気合い、入ってた…」

と、一言。

あ、あ、あ、ああと、一押しで鬼が笑う!!!

そこで谷口が一言。

「先生…

…パンツ替えてきていいですか?」

言われた鬼は

「……………具ぅもでたかぁ…………」

(具っていうなぁ!!!!)

ついに鬼は笑い、
柔道部含めたクラス男子全員で鬼から「一本」を取ったのでした。


これが、


「せや!ぶ!事件」


「セヤブ事件」の全容です。


以上。


それではまた来週。

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