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あの頃の僕らはきっと

どうも。

KONGです。

季節は少しずつ秋に近づき、アッという間に『芸術の秋』がやってくる。



本日は高校一年生のKONG青年が体験した合唱祭のお話。


さてさて。


KONGが入学した高校は8クラスあったが、不思議なクラス分けをされていた。


1、2組は男子オンリー。


3、4組は男女共学。


5、6組は女子オンリー。


7組は文系コース。


8組は校舎が別の特別進学コース。



なんともクラスのカラーが想像しやすい。


良く言えば、お勉強があまり得意で無く、少し個性が強い男子が集まった1、2組。

例えるなら『北斗の拳』

KONGが想像した青春の高校生活を送る3、4組。

つまり『君に届け』

もうよくわからん女子が集まる5、6組。

勝手なイメージ『大奥』

穏やかな人が多くいた7組。

『紙兎ロペ』


これらのクラスが同じ階に横一列で並んでいる為、"一歩進めば雰囲気が変わる"まるでアミューズメントパークのような学年に仕上がっていた。



言わずもがな1、2組はそれぞれ強化系のティーチャーが担任。

肝心なKONGが在籍していたのは1年1組…。

担任は倫理の授業を担当していた為

『ソクラテス』

と一部から呼ばれていた。


ちなみに担任は身長は190センチの大柄で毎日ピシッとスーツを着ており、自分の授業が無い時にはクラスの様子を見に来て、授業中に居眠りをしている生徒がいたら、机を下から蹴り上げる荒技を何度か披露していた。


我々はコレを『サマーソルトキック』と名付けていた。



コレが男子クラスの日常だったのだ。


しかしそんな男子クラスにも学校行事は平等に行われる。


それが例え『合唱』であっても…。

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男子の太い声と女子の優しく響く声が重なり合い、素敵なハーモニーを奏でる『芸術の秋』にピッタリの行事『合唱祭』


共学クラスや女子クラスはホームルームですんなり曲が決まっており、早々と準備が始まっていた。


他のクラスの歌声が聞こえる時でもKONGの1組は全く曲が決まらず。


仮に候補が出たとしても、



『この高い所は誰が歌うんだ?』




と、声変わりが終わっていない男子も数名いたが、たった数名で牛蛙のような声よりメロディーを響かすのは難しく、結局は重要パートの押し付け合いで話が進まない。


黙って見守るソクラテス。


ソクラテスがいる以上、野次を飛ばす男子はいるものの、不思議と放棄する者はいなかった。


だが時間は待ってくれない。


数日間、進歩のない話合いに時間を費やす男子達。

そして合唱祭まで1週間を切ったある日、
事件が起きる。
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朝のホームルームの時間になり、チャイムと同時にワラワラと自分の席に座り始める生徒達。


必要事項を伝えるソクラテスはいつもの様子だった。
 

今週『合唱祭』が行われるにも関わらず、曲すら決まっていない1組。


男子達は、


『このまま棄権って事で逃げれるんじゃん?』




そんな淡い期待を胸に秘めていた者もいたが、必要事項を伝え終わったソクラテスは言った。


「今週行われる合唱祭だが、プログラムの関係もあってワシが曲を決めた。


変な期待をしとったヤツ…残念やったな。」


ここで、必ず全校生徒の前で歌うことが決定される。

「男の歌を全員同じメロディーで歌うなら文句ないだろ?」



無言の男子達。


すかさず作られたプログラムを配るソクラテス。



1年1組の曲目を見て、固まる男子達。



まるでワンピースの手配書でも見ているようなリアクションがクラスを包む。



1年1組が歌う曲は……。



……。


『もののけ姫』


(おい!

確かに男性が歌っているけども!!!)



「恥をかくのは全員一緒だ。

伴奏はワシが弾く」



そう言い残し教室を出るソクラテス。



早速、その日の帰りのホームルームから音楽室に移動し練習が開始される。

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到着した音楽室ではソクラテスが優雅にピアノを弾いて生徒を待っていた。


『ピアノ弾けるのか…』


目を疑う状況と、ピアノを弾く背中越しに伝わってくるメッセージ


『俺は本気だ。』



全員そろった所で早速練習が始まるが、声を出せない男子達。


そんな男子にキレるソクラテス。

「もっと声を出せ。」
「恥ずかしがるな!」
「モジモジするな!」

数10分の練習が終わり、この日から猛練習が始まる。

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翌日の練習は一人一人歌わされる。


「オカダ(仮)!!違うぞ!

口をもっと横に開けるんだ!」



期待に答えるオカダ。


だが、


どうしてもクスクスしてしまう男子達。



なぜなら


口を大きく横にあけ、声を大きく出すオカダの歌詞は

「はりつめた弓の」





「歯に詰めた指の」


にしか聞こえない。


むしろ意図的にやっている。


愚の骨頂男子である。



男子達を笑わせて、笑う男子達をソクラテスがキレる。


【笑ってはいけない合唱】


が幕を開ける。


笑ったらサマーソルトキックが飛んでくるに違いない。

ソクラテスは


「歌い出しが肝心だ。」


と、


何度も「歯に詰めた指」が再生される。

(なぜ指摘しない!)


さらに、


ここでオカダが仕掛ける。


次のブロックに進むやいなや


「ふ る える つ〜〜るぅ

にょーーーーーー🎵」


『にょ』ってなんだ!!!


【全員アウトー】

と、聞こえて来ても不思議ではない状況。



「真面目にやってるヤツを笑うな!!!!」



ソクラテスのソニックブームが飛んでくる。


それからと言うもの、
悪ふざけも挟むが猛練習の成果もあり、なんとなく『合唱』へと近づき、当日を迎える。

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ホームルームでソクラテスは言う。

「今日は頑張れ。

ふざけてたヤツもいる。

でもな。 

真面目にやってたヤツもいる。

たった数分だ。

恥をかくのはワシも一緒だ。

真剣にやろうじゃないか。」



これぞ漢だ。


この数日で1組の男はソクラテスを好きになってきている。


ソクラテスは見事に男子の鼓舞に成功し、合唱祭が幕を開ける。



ザワつく体育館を緊張しながらステージに立つ男子達。


おそらく全員真面目な顔をしている。


真剣そのものだろう。


一礼をして、ピアノの前に座る音楽の先生。


(いや!あの先生は誰だ?!!)



ソクラテスは逃げたのだ。


(何が『一緒に恥をかこう!』だ!!)


ステージから客席を真っ直ぐに見る男子達。



ザワザワが止まらない会場。



虚しくも前奏が流れるが、


会場は静まる事はなく、歌い出しがくる。


『歯に詰めた〜指のぉーーー』


真面目に大声で歌う男子がいる。


言われた事をしっかり守っている。



それに引っ張られるように他の男子も声が出る。



(それにしてもなかなか良い声だ。)



チラッと声の方に目を向けると



ソクラテスだった。

(何故そこにいる!!)


思わず笑ってしまう。


気付いた他の男子もニヤけている。


【笑ってはいけない合唱〜全校生徒編〜】

開幕。


生徒達がザワつくのも無理はない。


ステージにデイダラボッチが出現している。


一緒に恥をかいてるけども!!!


何か違う!!


最後のしっとり締める


『もののけたちだけ』


を熱く歌い上げるデイダラボッチ。


上手いけども!!!


何か違う!!


……


こうして、

最終的に積み上げたものぶっ壊してしまう全力中年のリサイタルとなった1年1組の合唱祭は幕を閉じたのでした。

それでは。


また。

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