アメリカ人の夫がつくる夕飯が優秀すぎる話
わたしは、アメリカ人と結婚して、アメリカに住んでいます。
これは、ある日の夕方の話です。
子どもたちの習いごとの送り迎えをわたしがするので、夫が夕飯を作ってくれることになりました。
わたしたち夫婦は、夕方のオペレーションを分担しています。つまり、子どもの習いごとへの送迎か、夕飯準備か。夫は家でリモートワークをしており、時間にはわりと融通がききます。
とはいえ、夕飯の後に残業しなくていいように、生産性と効率性を重視して仕事に取り組んでいるのを知っています。なので、夫が夕飯を作るときも、献立を考え、必要あれば買い出しにいって食材をそろえておくところまでは、わたしがやるようにしています。
でも、その日は、冷蔵庫に肉も魚もなく、献立も考えず、全部夫に丸投げして家を出ました。正直に白状すると、そんな日は珍しくありません。ごめん。
それでも、夫は、冷蔵庫にある食材でちゃんと夕飯を作ってくれます。夫の寛容さと炊事能力の高さには、絶大な信頼をおいています。それゆえに、わたしは夫に甘えすぎです。それは認めます。
でも、今日言いたいのはそういうことではなくて。
習いごとのクラスが終わり、家に帰る車内で、子どもたちとこんな話をしました。
「家に帰ったら誰かがご飯を作って待ってくれているって、本当にいいね」
子どもたちにとっては、わたしが作ろうが夫が作ろうが、いずれにしてもいつも家に帰れば誰かがご飯を作っているので、わたしの有難さにはピンときていないに違いありません。
家に着くと、夫が夕飯の準備の仕上げに取りかかっていました。
「なに作ってるの?」
わたしは、キッチンに入って鍋の中を覗きこみました。それからカウンターにも目を向けます。それらを頭の中で組み合わせてみたら、夫がなにを作っているのかがわかりました。そして、「あっ」と息をのみました。
鍋には、うどんがゆで上げられ、
もう一つの鍋には、温泉卵が、
小さな器には、丁寧に刻まれたネギ、
トッピングには、オニオンフライ。
なんと、夫は、はなまるうどんの温玉ぶっかけを再現していました。
……嘘でしょ。
アイデアを授けたわけでもないし、リクエストしたわけでもない。なのに、こんな日本的なメニューを自ら思いついて、実際に作ってくれたの?
我が夫ながら、こんなことをさらりとやってのけるアメリカ人を、わたしはほかに知りません。
彼は、和食好きです。ただ、煮物だけは「歯がない人の食べものみたい」といってノーサンキューなのですが、それ以外はだいたいいけます。
以前、わたしが庭先でシソを育てていたときも、「これは天ぷらにするといいね」とコメントした人です。日本の心をよく理解しています。
夫が、温玉ぶっかけにおろし生姜をつけて出すようになったら、日本政府に手紙を書いて、うちの夫に日本国籍を付与してくれるようお願いするつもりです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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