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メルヘンな体験(フロリダ旅日記#5)

フロリダ旅の6日目。

砂浜の波打ち際で、小さな筒を拾った。なんだろうと思って拾い上げてみると、透明の筒で、中には紙が丸めて押し込まれていた。赤いインクが、蓋に近いところだけ滲んでいた。

もしかしてボトルメール?どこかの誰かが、見知らぬ誰かに届くように祈って海に投げた手紙?

メルヘン!ロマンチック!私ははやる心を抑えながら、蓋を開けた。紙はシナモンスティックにきつく巻き付けられていて、ほのかにシナモンの香りがした。

丸まった紙を丁寧に開いてみると・・・読めない

何語かもわからなくて夫に見せたら、スペイン語だという。夫にも、所々わかる単語はあっても、なにが書いてあるのかはよくわからなかった。

なんて書いてあるんだろう。

結ばれなかった恋人へのあきらめきれない思いが綴られているのかな。それとも、ある少年少女が海の向こうに友を求めて書いた手紙かもしれない(こんな時代だからこそ、心に響くような気がする)。

それに、この手紙はどこから来たんだろう。

この近郊のどこかの海岸から流れて来たのか。いや、もしかしたら、フロリダ半島の南のキューバからはるばる潮に乗ってきたのだったりして。

想像は膨らむばかり。

私の中で、この手紙をなんとか解読して真実を知りたいという好奇心と、美しい想像のまま記憶に留めたいというロマンチシズム(?)が拮抗した。

少し悩んだ末に、私は手紙をまたシナモンスティックに巻き付けて、きゅっきゅっと小さな筒に押し込んで、ぎゅっときつく蓋をして、海へ向けて投げた。あれこれ頭の中で想像を巡らせる方が面白いかなと思って。今度は、あの手紙が読める人に届くといいなとも思った。

あなただったら、どうしますか?



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