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小学校の文通が現代的過ぎたので、昔ながらのペンパルを探すことにした

先日、息子の担任の先生から、保護者あての一斉メールで、こんなお知らせがありました。

×× Elementary School will be visiting so the students can meet their virtual pen pals.

息子はアメリカの小学校に通っています。

ペンパル?息子のクラスで文通なんてしてたの?

初耳。というか、いまの世代も文通なんてするんだ!

その日、わたしは、学校から帰ってきた息子をつかまえて、さっそく質問しました。

「君のクラスで、ほかの学校の子たちとペンパルしているって先生に聞いたけど、本当?」

息子は、ああ、その話ね!という感じでぱっと顔を輝かせて、うんうんと頷きながら答えました。

「うん、してるよ。今度、その子たちが僕たちの学校に会いにくるんだ」

それ、めちゃくちゃ楽しそうじゃない。実際に会うのドキドキしちゃうね。

「君も、特定のだれかに宛てて手紙を書いているわけ?」

ううん、先生がビデオを撮って送るの。一対一じゃなくて、クラスとクラスでやりとりするんだよ

え、ビデオ?クラス対クラス?

わたしが頭に思い浮かべていたペンパルとは、大分様子が違います。しかも、文通相手は同じ郡にある小学校の1年生のクラスだといいます。息子の学校から、わずか20分ほどの距離。

てっきりわたしは、ベネズエラとかモンゴルとか、遠い異国に暮らす子どもたちと、文字のやりとりを通じて国際交流をしているのかと思ったのですが。ビデオ文通か。時代は変わりましたね。

でも、クラス対クラスとはいうものの、一人ずつカメラの前で話す機会があるそうです。自己紹介をしたり、特定のテーマについて自分の考えを述べたり。息子は、自分が話した自己紹介の内容を再現してみせてくれました。名前、好きなもの、好きな教科、課外活動などについて30秒くらいのスピーチです。

そして、つい先日、ビデオ文通の相手側の子どもたちが、息子の学校を訪問しました。息子の話によると、みんなで芝生に座り、お弁当を広げて一緒に食べたそうです。ピクニックです。それから、校庭でみんなで鬼ごっこをして遊び、その後人形劇を観たんだとか。

学校側が、子どもたちの出会いと交流を彩る工夫をしているのがうかがえます。

ビデオを通じてやりとりをしていた子どもたちと、実際に会って話す。そんないつもとは違う出会い方をしたお友達。

狙いとしては、社会性を養うだけでなく、カメラを前にした緊張感に慣れたり、与えられた時間内に言いたいことをまとめて話すという訓練にもなっているのでしょう。

思い返してみると、わたしが通っていた日本の小学校では、文通なんてアクティビティはありませんでした。

でも、父が転勤族で、小学校を3つ行ったわたしには、常に手紙でやりとりをする友達がいました。手紙のやりとりは、書くことが好きだったわたしにとって相性のいい遊びでした

お小遣いをためては、文房具屋さんでかわいいイラストの入ったレターセットを買い、机に向かって手紙を書いていたっけ。自分宛に届く郵便物など、友人からの手紙以外はほとんどなかったから、手紙が届くことそのものがちょっとしたイベントでした。郵便受けに届いた封書を発見するたびに、毎回胸が高鳴ったのを覚えています。家に戻って封を切るまでの時間すら待ちきれないほど。

そんな遠い思い出をどどどっと一気に思い出していたら、

一対一の文通、やればいいのに!

と力のこもった独り言を発していました。

きっといい経験になる。自分の生活圏を越えて、遠いところにいる誰かと、文字を通じて言葉を交わす。会ったことがなくても、普段は違う言葉を話していても、それはきっと、特別な出会いになる。手紙を頼りに、想像で補いながら、本に頼ったりしながら、広い世界を旅することもできる。読んだ相手が何かを投げ返してくれることで、文章を書くことに新しい価値を見出せるようになるかもしれない。

とは言っても、学校としては、全く伝手のないところから文通先を探すのに、手間と労力がかかるというのもわかります。クラス全員を一人ずつ相手側の誰かとマッチングさせるには、人数の調整など細かい問題が発生しそうなことも想像がつきます。クラス対クラスでまとめた方が、マネージする側としてはやりやすい。

でも、待って。それなら、個人で動けばいい。うちの子たちは日本語を学んでいて、わたしには日本に伝手がいっぱいあるじゃない。

日本にいる誰かとわが子を結んで、昔ながらのペンパルを作ってみたらおもしろいんじゃないか

我が子だけでなく、日本の子どもと文通してみたい、日本に興味があるというアメリカの子どもたちを見つけて、橋渡ししてあげたらいいんじゃないか。

わたしは、さっそく同じ年ごろの友達がいて、興味を持ってくれそうな日本の友人たちにメッセージを送りました。

こんないいことに、どうして今まで思いつかなかったんだろう。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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65日目。あと1日

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