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あるインタビューに背筋が凍った話
夕飯の準備をしながら、ポッドキャストでニュースを聞いていたら、驚きのあまり手が止まりました。
「え。いまなんて言った?」
そのとき流れていたのは、パリ・パラリンピックのアメリカ水泳選手、アリ・トゥルウィット(Ali Truwit)のインタビューでした。彼女は、片足を失ったときのエピソードを語っていました。
わたしは、いまから1年前、大学卒業後の旅行でタークス・カイコス諸島(Turks and Caicos Islands)を訪れました。ボートで沖へ出て、友人とシュノーケリングをしていたところ、サメに襲われました。反撃しようとしたんです。でも、左足を食いちぎられて出血しているのがわかりました。それから、友人と一緒に、75メートル先のボートまで必死に泳いで逃げました。
アリは元イェール大学の水泳選手だったそうです。いくら水泳選手とはいえ、片足を失い、大量に出血する中、サメに追いかけられながら命からがら逃げるって。地獄絵だ…。
でも、火事場のなんとやらというように、ひとは本当の本当に必死になったとき、ものすごい力を発揮するのでしょう。このときもきっとそうだったんだろうなと想像しました。
このストーリーの壮絶さだけでも、十分料理する手が止まりそうですが、わたしの心臓をドキンとさせたのは、その場所でした。
タークス・カイコス諸島。カリブ海に浮かぶ島。
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実は、我が家はこの夏休みに家族旅行でこの島へ行ったのです。
滞在中、わたしたちも、まさにボートで沖へ出て、シュノーケリングをするつもりでした。家族4人分の予約をして、その日その時間が来たらボートに乗るつもりでいました。
それが、ちょうどハリケーンが近くを通過し、その影響による高波のせいで、その日は終日ボートがキャンセルになったのです。
この旅で、一番の心残りはそれでした。ビーチでの遊泳範囲には、多少魚がいるくらいで、サンゴ礁は全然見当たりませんでした。ボートで沖へ出たら、色とりどりの熱帯魚やサンゴ礁の異世界が広がっているはず、とゆらゆらした想像を膨らませていましたから。
でも、そこにはサメも潜んでいたのか。シュノーケリングのエリアにサメが出没するのは稀なことだったようですが、一度出たのであれば、二度目があっても不思議はありません。
アリの一件が起きたのは、1年前です。そんな昔の話ではありません。夫もわたしもこの件は全く知らなかったし、現地でボートツアーに参加していた人たちの中にも、このことを知っている人がどの程度いたのでしょうか。
背筋がぞわわっとしました。
もしかしたらわたしたちは、あのハリケーンに救われたのかもしれません。
【参考】
読んでくださってありがとうございます。
タークス・カイコス諸島の海は、エメラルドグリーンのゼリーみたいでした。