向田邦子著 蛇蝎のごとく 文庫本の解説から
流行りのテレビドラマだった様で、何とも上手に書かれている
そう、ドラマを観ているようにサラサラと、でもしっかりストーリー展開されている
光る君へを見過ぎて、なんて云うか、女の人の見方にちょっと敏感になってたはじめのところは、ちょっとやり切れない思いが過ぎった
どっぷり浸る頃には、本当にテレビ画面をみる様な展開、登場人物も多く無いし、しっかりと人となりが出ている、家族、知人、娘の恋人?との距離感も、まあ、目の前に見える様だ、惜しむらく、テレビ画面なので近過ぎるかなと思う
主役を演じた小林桂樹があとがきを書いていて、ローレンス・オリビエの言葉で「舞台は役者のもの、映画は監督のもの、そしてテレビは脚本家のものだ」とのこと
舞台では、何と言っても役者が目立つ、映画は写真が始まりで、それが動き出し、やがて言葉、録音が入ったという成り立ちだが、テレビはラジオからきたもので、まず声があって、それに絵をつけようということから発展した
映像というのは映画でもテレビでも同じだが、テレビはさまざまなハンデがあって、映画のように映像美に凝るといったことはなかなか難しい
そこでテレビは会話、つまり脚本が非常にじゅうようになってくる
これは実際に演技する私(小林桂樹)にも思いあたることなのだ
素晴らしい観察眼だと思う、文庫本の解説で埋もれるのは、いかにももったい無いのでここに残す
何事もその生い立ちがその成長の方向を決めたり、制約にもなる、これを掘り下げると次の成長の芽になったり、枯れたりするのだろう