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【ゲス顔のマンガレビュー・note版】#07後悔を打ち破る爽快感『追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双』※ネタバレあり

どうも皆さんこんにちは、マンガ系YouTuberゲス顔でございます。


今回ご紹介する作品はこちらです。
『追放されるたびに、スキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双』



今回はこちらの作品、漫画版2巻まで読んでレビューとなっております。
この作品に対する僕の感想を一言でまとめるのならば、「前提を飲めるかどうか、それが問題だ」といったところでしょうか。


この物語の主人公はエドという名の青年です。
彼はこれまで一緒に旅してきた勇者パーティの面々から、今まさに「君をパーティーから追放する」と宣言されるところでした。

それを聞いたエドは落ち込んでしまう…わけではなく、むしろ大喜び。
曰く、念願が叶ったとのことで餞別として、勇者パーティーの面々にとってこれから旅していく中で役に立ちそうな情報一式を置いてきます。
その内容の素晴らしさに、勇者パーティーの面々はびっくり仰天。

「申し訳なかった。君がここまでのことをしてくれていたとは知らなかった。改めて勇者パーティーに加わってくれないか。」

そう言って頭を下げる勇者の姿を見たエドは、「それはもう無理なんで、すみません」と返します。

それはなぜか。
エドは勇者パーティーを追放されたことにより、神様が作った特別な空間に帰還しなければならなかったからです。

実は、エドは全く違う世界の住人で、ある日突然扉が1枚だけ存在する世界に呼び出されます。

「その扉の向こうにある異世界へ行き、勇者と出会い、そして追放されろ」という命令が書かれた本を読んで、勇者パーティーへの参加とそこから追放されるという行為を何度も繰り返していました。

彼がそれを続けた理由はただ1つ。元の世界に戻りたいから。
追放され、扉の世界に戻ってくるたびに与えられる特別な力。

エドが追放スキルと呼んでいる能力を駆使しながら、ようやく100の世界を渡り歩いた。

その結果、ついに元の世界へ戻る扉が登場します。
しかし、それを開けるための条件としてこれまで追放されてきた世界のうち、どれか1つの世界をもう一度見てくることを要求されるのです。

ただ見てくるだけ、その気になればいつでも戻ってこれる。
ならば一体どの世界を見に行こうか。

そしてエドが選んだのは、最初の異世界。
ただ、その世界を見て帰ってくればいいだけだ。

エドはそのように考えていましたが、彼はまだ知りませんでした。
その先で自分が目にすることになる残酷な現実を。

そして、100個目の異世界を追放された際に手に入れた新しいスキルが、彼にとって最も重要なものになるのだということを。

といった感じで物語がスタートします。


追放ものの作品は本当たくさん見てきたわけですけれども、主人公が「よし、追放されるぞ」と振る舞い、実際追放されて喜ぶところから始まるのは多分初めてですね。

そして、どうして彼が追放を望んでいるのかという設定が、とても込みいっています。

なので、おそらくこの入りの部分でつまずく人が結構いるだろうなと思っています。

いろんな世界を巡って、勇者パーティに入って信頼を勝ち取り、追放されてこいと命令されている主人公はなかなか複雑な立場にいます。

それに、追放される度に特別な力を得て、作品が始まった時点では主人公はシンプルにチート能力者状態になっているのも癖が強いと感じます。

多分人によっては、「なんだこれ、意味が分からない」とか、「この設定は受け入れられないな」という感じになりそうだなと思うんです。

ただ、そこを乗り越え完全に理解しなくても作品の雰囲気や傾向を踏まえて、そこからどうなるのというところまで行き着いていただけたらこの作品はおそらく面白いと思います。


本作は追放ものという部分はあまり強くなくて、どちらかといえばチート無双ものとしての要素が非常に強いと思います。

主人公は色々な世界で追放される度に特別な能力を持ち、それも1つ1つが勇者パーティーの面々ですら驚いてしまうような力を備えています。

100の異世界で追放されてきたため、当然100のチートスキルがある状態です。何というか、チート能力お化けみたいになっているんです。

そんなとんでもない能力を持っている主人公の活躍を描くお話ですけれども、この作品の面白いところは、その主人公が無双することを応援したくなる設定がちゃんとあるということなんですよ。


それが、かつての仲間たちの死。
主人公は100の異世界を渡り歩き、自分の世界に戻る前に自分が最初に訪れた異世界を見ていくことにします。

なんと、その世界ではエドを追放した勇者パーティーが魔王軍に敗北しているんです。唯一生き残ったエルフの魔法使いの女の子の話を聞くと、エドの抜けた穴を埋められる人間がいなかったと。

最初の異世界に来た時にエドが持っていたのは、たった1つのチートスキル。勇者と出会うことができるというものだけで、そういう意味では能力の足りない人間だったんです。

しかし、そうであるが故に、一生懸命貢献しようと頑張ってきた。
荷物を運び、雑用を請け負い、仲間たちが気持ちよく戦えるようお膳立てを一生懸命やってきたのです。

そんなエドがいなくなった途端、勇者パーティーが回らなくなってしまったと。それでも何とか代わりになる人を見つけたけれども、その人物は重大な局面でアイテムやら何やらを持って逃げてしまった。

結果、勇者パーティーは敗北し本来勇者を逃がすための取っておきだった転移魔法を仲間のために使ってしまったおかげで、世界には魔物があふれる状況に。

さらには、久々にエドに会えたことを嬉しく思ったエルフの魔法使い「ティア」が彼を弱いままだと勘違いしているが故に守ろうとして魔力を使い、それが寿命を削る結果にまでなってしまう。

自分が追放されてしまったから、勇者パーティーは敗北し、ティアの元を訪れてしまったから彼女の寿命を奪ってしまった。

もしも今、自分が持っている力が彼らの仲間だった頃に持っていたのならばとそう考えたエドは、最後に手に入れた100個目の追放をスキルである「たった一度の請求権(アンリミテッド)」を使って自分の願いを叶えるんです。



 


内容は、「今の自分が持っている力と記憶を白い世界に来たばかりの自分に引き継がせる」という完全なるインチキなんですけれども、これにより記憶と力を引き継いだ状態で改めて100の世界を巡り、その全てでハッピーエンドを掴む。

そのためにチートの力を振るうんです。
つまり、彼は自分が経験した悲劇を避けるために手に入れた力を十全に使い、無双していくという構成になっているわけです。


この無双は面白くて、自然と応援したくなります。
いいぞ、もっとやれと思いますよ。

若干、どこかで見たことがないような気もしないでもない話ではあるんですが、逆に言えばこういう構成は面白いんだよという事実でもあります。

後悔から始まる無双というお話が好きな方におすすめできるかと思います。
そしてね、やはり面白いチート無双に必要なもの。それは、かっこいいチート能力です。

これに関しては、作画担当者さんがとても上手いので、非常に見応えがあります。

もちろん、その能力の設定やどんな能力なのかというのも面白くはあるんですが、実際にそれを主人公が使うシーンの見栄えが非常にかっこよくて魅力的です。

主人公が使う能力だけじゃなく、主人公と共に戦う仲間たちが戦う姿もやはりかっこよくって、ここはやはりチート無双者バトルモノとしての良さがあると思います。

それに、結構笑える場面もちょこちょこ入ってくるんです。
その辺りの作画の崩しみたいなのも、見ていて心地いいなというところがあります。



 


シンプルに漫画としての読みごたえがある作品だといえます。
設定として、主人公が無双するのを応援したくなるような下地がちゃんとあり、実際に無双すれば見応え抜群でバトルシーンみたいなのがガッツリ入ってくると。

無双ものが好きな人には、間違いなく刺さるだろうなと思います。
実際僕もきっちり刺さっているなと感じて、非常に面白く読ませていただき、おすすめしたいなと思った作品だったというわけでございます。


それでは総評です。
「意味ある無双は面白い」といったところでしょうか。

無双というのは、単純に無双すればいいというわけじゃない。
その無双が何を意味しているのか、何に向かっているのか。

理由がきっちりわかる方が面白いですし、その向かうべき方向が読者にとって共感できるものであるのならば、なおのこと主人公の無双をノリノリで楽しむことができるようになります。

この作品は設定の部分でしっかりと練り込んでるなという感じがして、非常によかったと思います。


ただ、最初に言った通り、設定をきっちりと飲み込むまでは割と大きなハードルなような気もしています。

扉の世界って何? や100の世界で追放とか意味がわからん、何故追放されるたびにチートスキルがもらえるのかとか、そういうところに違和感を覚えてしまう人はちょっときついかなと。

なんで楽しんで読む条件として、作品の設定を前提として飲み込むことが必要であるというのは、1つ注意点として置いておきたいかなと思います。


 


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