【ゲス顔のマンガレビュー・note版】#05『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』※ネタばれあり
どうも皆さんこんにちは、マンガ系YouTuberのゲス顔です。
今回は、僕のおすすめの漫画をご紹介したいと思います。
取り上げる作品は『戦隊レッド異世界で冒険者になる』
こちらの作品、第3巻まで読んだレビューとなっております。
この作品に対する僕の感想を一言でまとめるのならば、「楽しさの詰め合わせパック」といったところでしょうか。
詳しくは、レビュー本編の方でお話したいと思います。
この作品の主人公は、「浅垣灯悟」という名の青年です。
彼はいわゆる戦隊ヒーローのメンバーで、キズナレッドとして自分たちの世界を守るための戦いに身を投じていました。
ですが、最後の敵との決着の時、相打ちとなり命を落としてしまいます。
「自分は命を落としたが、世界の平和を守ることはできた。でも、もう少しみんなと一緒にいたかった」と思いながら命を散らしたはずのレッド。
しかし、気がつくとそこは異世界でした。
そして、たとえそこが異世界であったとしても彼がヒーローであることに変わりはありません。
そこで灯悟は自分の力を使って人々に役立つ仕事をしようと考え、冒険者として活動するようになったのでした。
という形で物語がスタートします。
ちなみに、どうして、どうやって冒険者になったかは聞かないでください。
なぜかって?異世界に転移しましたって話の次に彼が登場する頃には、もう冒険者だからです。
なんだそりゃって思うかもしれません。
でも、いいんですそれで。
それはなぜか。
主人公が異世界に来ててんやわんやすることは、この作品の面白さとは全く関係のないものだからです。
だから、戦隊物のレッド隊員が異世界に来て、冒険者になってヒーロー活動をする。
それでいいんです。
では、この作品の面白みは一体どこにあるのかというと、まず第1に戦隊ヒーローものあるあるを使ったボケとツッコミです。
この作品にはヒロインがいるのですが、彼女は「イドラ・アーヴォルオン」という名前の魔法使いで、未知のものに対する好奇心が強いキャラクターです。
彼女の依頼を受けて、レッドくんが冒険者としてヒーローとして彼女を助けていくのが基本的な流れです。
しかし、先ほども言った通り、彼は戦隊物のヒーローの一員でその力を使って冒険者として活躍します。
その力で、変身しますし、どこからともなく武器を出してくるんですね。
なんか急に巨大ロボットとか呼び出すんです。
するとどうなるか。
当然、彼女から突っ込まれます。
なんで変身したのか。何故変身した後に爆発するのか。
そして、何故変身後の姿があんなに真っ赤で、倒した敵が爆発するのか。
いや、待ってください。わかります。
特撮好きの方々、戦隊物好きの方々、そんなところに突っ込むのは野暮だって言いたくなるでしょう。
しかし、彼がいるのは異世界なのです。
だからこその彼女からのツッコミです。
でもそれは同時に、特撮物を見慣れている僕たちの心の中にそっと鍵をかけて閉じ込めてある疑問たちでもあるわけです。
それを、突っ込む人間を異世界人にすることによって、「そこは確かに疑問だよね」と思わせる。
確かに言われてみれば、どうしてこんなことが起こるのか全く意味がわからないということに気づかせる。
実際、特撮が好きで見ている僕たち自身も口には出さないけれど、割と思っていることなのかなという。
このような「特撮あるある」に対するツッコミ。
これが、面白くできているんですよ。
こんなことが実際に起こったらはた迷惑以外何もないとか、なんでこんな限定条件でしか使用できない効率の悪い武器使っているんだみたいな部分などですね。
例えば、主人公のキズナレッドは変身すると、背後で大爆発が起こるというよくわからない仕組みが存在します。
それをイドラちゃんの家の庭でやるんです。
するとどうなるか……。
庭の芝生が爆散します。
迷惑!!
あるいは、キズナレッドが取り出す武器の中に仲間たちと一緒に使うという戦隊物ヒーローの定番の武器があります。
しかし、一緒に使う仲間たちの心がバラバラだからビームが左右に分かれて進み、正面の敵に当たらないという。
不便!!
という言葉以外が思いつかないシステムが導入されていたりとですね、戦隊ものらしいんですよ。
確かに戦隊ものらしいんですけれども、同時になんでこんな仕組みになっているのと思うところへ、ツッコミを入れてくるんです。
これが個人的にはたまらなく面白くて。
これは、戦隊ものというか、変身ものなどの作品が好きな人ほど楽しめるかなと思います。
ただ、戦隊ものあるあるに関わるボケやギャグばかりというわけではありません。
この先はちゃんと、ヒーローものになっているんですよ。
なにせ主人公のキャラクターが戦隊物のレッド、燃え盛る熱き友情の戦士、キズナレッドですから。とにかく熱いです。
いわゆる熱血系の主人公で、誰に対しても誠実で正直でまっすぐな気持ちをぶつけるという感じ。
もう少年漫画の主人公としてはこれ以上のものはないだろうという路線で進んでいきます。
だからこそ、ピンチに陥ってからの逆転がまさしくヒーローものという感じで、非常に楽しく読める内容になっているんです。
そして元ネタが戦隊ものなわけです。当然、仲間たちも濃ゆいです。
個人的には、1巻の後半に出てくる聖剣の勇者というキャラクターがいるんですけども、彼がめちゃくちゃ濃いです。
彼はとあるお姫様の護衛役という形で登場するのですが、とにかくその護衛しているお姫様が好きすぎて、そのお姫様が女神で他の人間は全員ゴミだと考えているという。
もちろん主人公ともそりが合わないのですが、その徹底ぶりや変態ぶりはレッドくんの少年漫画の主人公としての王道さ…その強力なキャラクター性に並んで引けを取らないです。
強烈なインパクトのある仲間という立ち位置で、ちゃんと活躍できるキャラの立たせ方が非常に上手い。
だからこそ、コメディの部分も面白いし、同時にクライマックスのかっこいいシーンもバチッと決まる感じに仕上がっています。
また、この物語には明確な敵が登場するのですが、彼らは「魔力の種」と呼ばれるものを人間たちに配っています。
それは、人の欲に取り憑き力を与える代わりに、やがて暴走して怪物に変えてしまうというものです。
そのため、魔力の種の回収とその魔力の種をばら撒いてる連中を倒すことが、物語の軸になっていきます。
もう、この設定が戦隊ものや変身ヒーローものの道を進んでいるなという感じがします。
しかも、その魔力の種が取り憑いて人間が暴走することによって、とある存在を復活させるために行動をしているという敵側の思惑もある様子。
もう、これもなんか、「日曜日の朝だよね」という感じがします。
また、主人公は戦隊ヒーローなのですが、途中で明らかに「じゃない方」が登場します。
戦隊物じゃない方の変身ヒーローが出てくるんですよ。
さらに主人公は熱血系キャラクターではあるものの、その過去には今の彼からは想像もできないような暗い部分もあって、それを力にした闇堕ち変身みたいなものも登場するという。
いやもう、本当にわかっている。わかっているというか、好きだねという。
変身ヒーローもの好きが自然と共感してしまう展開や設定がてんこ盛りになっていて、本当に楽しいです。
正直、ネタだけ読むならば変身ヒーローをネタにしたパロディやコメディのお話を異世界を舞台にすることで、現実世界でそれを言ったら野暮なところをちゃんとツッコミとして成立させている。
特に少年漫画というのは、シリアスに真面目に進める部分とコメディやギャグの笑える部分とのバランスが非常に重要だと思います。
この作品は、そのあたりのバランスがかなり上手。
僕が好きなバランスになっているんですよ。
決めるところは決める、ギャグにするとこはギャグにする。
あるいは、決めているように見えてギャグになっていく。
はたまた、ギャグっぽく始まってきちんとシリアスに落とす。
こういうの配置の仕方やテンポ感が自分の感性とガチッとはまっている感じがあり、読みながらずっとニヤニヤしていましたね。
というわけで、総評です。
これは「楽しさの宝石箱や!」といったところでしょうか。
この作品からは、漫画家さんの楽しさがひしひしと伝わってくるんです。
自分が面白いと思ってることや楽しいと思うことや展開を全部突っ込んで、作品を作っているように感じます。
戦隊ものや変身ヒーローが好きで、好きな人がやっているからこその変身ヒーローものあるあるに対するツッコミにも、どこか愛を感じるというか。
自然と楽しめてしまう部分があるんじゃないかと思います。
何度も言いますけれども、やってることはまさしく戦隊ヒーローものや変身ヒーローものの展開をまっすぐやっているだけな感じはします。
しかし、だからこそ変に歪んだり淀んだりすることなく、ヒーローが好きな人に楽しんでもらえる作品になっているのかなと思います。
ただ、逆に言うとこの作品は変身ヒーローや戦隊ヒーローの展開を何も知らない人には「何だかよくわからない」としか言いようがないっていう内容にもなってる気がします。
そういう意味では、楽しめる人が限定されている気もしなくはない作品です。
ですが、好きな人にはきっちりハマるようにできているとも思いますので、興味ある方は、ぜひ一度手に取っていただければと思います。
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