無題6

夜の詩「空と海と陸の、地続きのその果てに」


都会の夜が空を暗くする

ビルの隙間に ほんのわずか

見える星は一つか二つ

ぶ厚いスモッグの層にはばまれ


ああ もしも星の数だけ命があるなら

この場所からでは どうしたって

億千万の人々の 

燃える命の息づきが

そこに そうして在るだなんて

想像することができない


私たちはただ 日々に追われる

食うため 生きるため

体力と時間の限界を超えて

何かを求めずにいられぬその性(サガ)で

傷つき 笑い

誰かを愛し また愛され

正しさと過ちの間(ハザマ)で揺れて

疲れ果てて空を見あげる

そこに輝きがあっても なくても


ああ どこかの国で苦しむ誰かの

声が直接ひびいてこない

あの星を見えなくするのは

歯止めがきかぬ文明のせいか

沈みかけた船には財宝の山が

かつて栄華を極めた輝きに唾を飲み

今では重荷でしかないそれを

手放すことができないまま

覚めぬ夢の続きを見ている

空と海と陸の 地続きのその果てに














 

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