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小説「クリスマスの夜」前篇・後編

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小説「クリスマスの夜」前篇

小説「クリスマスの夜」前篇

 会社を出て大通りを歩くと、歩道沿いの並木がキラキラしていた。ビルの明かりさえ美しいと思えるほど、街中が色とりどりのイルミネーションで光り輝いている。

”そっか……今日って、クリスマスなんだっけ”

 ぼんやり華子は思った。すれ違う人たちがみんな、幸せな家に帰るため急ぎ足しているかのように見える。なかには自分のように、後輩のミスのせいで残業させられ、後輩のかわりに(お前の教育の仕方が悪いんだと)

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小説「クリスマスの夜」後編

小説「クリスマスの夜」後編

 ―――なぜ彼がここに?

 背中にどっと汗が噴き出て、心臓が跳ねあがった。焦るな、落ちつけと自分に言い聞かせても、あまりに突然のことで思考が命令に追いつかない。早く逃げるなりシカトするなり、対応をとらねばと思うのに、足がぜんぜん動かない。

「覚えてます? 俺のこと」

 訴えかけてくる笑顔はおそろしく無邪気だ。はっとして華子は下を向いた。残業を終えてそのまま来たので、ろくに化粧直しも出来ていな

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