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謎の光に導かれチェアを購入した話


建てた家には広縁も欲しいなと思っていたので、こさえてもらった。寝室の窓側にWICを作り、あまったスペースの床材を違うものにし、さらに向きも変えてもらい、空間の区切りとした。広縁が爆誕した。

しかし、旅館の「あのスペース」のように冷蔵庫とかを置けるスペースはない。本当はカリモクとかのソファとローテーブルでも置きたかったが、適わないことに後で気づいた。爆誕したのは「広縁(せまい)」だった。

そもそも我らが家は「適度に狭く」設計し直してもらった経緯がある。狭いのは当たり前だった。

通常そういったスペースは、ゆったり座れる必要がある。しかし、ゆったりするためのソファは意外とでかい。

ゆったりソファを対面で置くとどうなるか。

テーブルなし。あるいは幅15cmのテーブルにする。
そんなもんあるかボケ。

テーブルが小さいのは困る。なぜなら

ビールをこぼす→床が汚れる→ワイフが怒る→離婚

となるためだ。これは困った。
どうすべきかを色々としつこく考えた。

・安価なホテルや旅館の狭い部屋にも広縁はついているが、別にそこまで快適ではなかったな?立つのしんどかったな?
・テーブルにビールと柿の種を置いたら他のものを置くスペースは無かったな?
・ていうか寝室ってベッドあるじゃん。座るな。横になれ。俺たちは自由だ。

↑こんな感じになった。安価なホテルの広縁はたいてい使い勝手は悪いものだ。

そこから

・ソファは無理だがケツがしんどいのも嫌だな

 →良さげなチェアにしよう

・テーブルは欲しい。あとビールと柿の種のほかに、ケータイや文庫本くらいは置きたいな。

 →脚一本のテーブルにしよう

という方向性でいくことにした。この構成だと、小さめだけどくつろげるカフェみたいになる。座るときにソファの手すりやテーブルの脚が邪魔にならないから、せまくても快適になるだろう。

それもいいじゃんいいじゃん。

ということで、マトを絞った。







新生活にむけて買う必要のあるものはそんなに多くはなかった。前に住んでいたマンションが終の棲家になるかもと、住み始めてからコツコツと気に入ったものを買ってきたためだ。食卓用のイスやダイニングテーブル、炊飯器やオーブンレンジ、三人がけのソファなんかは買い替えていない。 

他に必要なものは住宅エコポイントだかなんだかでおおよそまかなえた(ワイフがやってくれました)。カーテンや照明は工務店経由のため、ローンに組み込まれている。しかもなぜかエアコンやら家具やらも貰えてラッキーなのだった。

新たに買う必要がある大きなものはベッドだけだったが、外国のいいやつを気に入ってもいいように、かなり大きく予算を設定していた。結局、幕張のほうにある、様々なベッドが置いてある大きな店で、経験豊富そうなじじい店員から勧められた日本製のマットレスが鬼とサイコパスの身体に馴染み、「日本に暮らすなら日本の性質にあった寝具が良いですぞ」「フレームも消耗品ですぞ」「わしのおどりを」「脇でおにぎりを」等の言葉もあり、日本製でそれなりなフレームとともに買った。お金が思っていたよりもまったくかからず、チェアとテーブル用の追加予算が確保できた。

ここから、無限にも思えるチェア&テーブル探しの旅がはじまった。







着々と家が建てられていく様を確認しつつ、色んな店を見て回った。

23区内外のお店、五反田のでかいビル、あらゆる百貨店内の家具屋、複数のイオンモール、アウトレットモール、アンティーク家具屋、でかいホームセンター、家具の合同展示会…

土地を探しているときくらい探し回ったが、良いものは見付からない。







この日も遠くまで探しに行ったが、収穫は無かった。歩き回り疲れすぎたワイフは帰りの電車で白目を向き、首を慣性の法則に任せて眠っている…本当に眠ってんのかそれ…?

(広縁だし、家が建ってからゆっくり探してもいいかもなぁ…)

そんなことを考えているうちに、乗り換え駅についた。乗り換えがあと2回ある。しんどすぎるクソボケ。

さらに、構内を歩いていると腹が痛くなってきた。クソはオレか。クソクソ。サイヤ人の王子であるこの鬼がなぜこんな目に…

…?

通路の向こうの方が光っている。
ライトが並んでいるようだ。

なんだ?新しく飲み屋でもできたんけ?とワイフと向かってみると…なんと、あ!



途中にトイレが!!!!!

超ラッキー!!!!!!!!!!!!!!


〜赤鬼排便中〜




スッキリした腹で出てくると、待っていたワイフがガチャガチャマシーンを見ていた。光の正体は、驚くほどたくさん並んでいるガチャガチャコーナーの照明だった。すげぇ壁一面。

はー、最近のは精工なんだねぇ。そうだねぇ。あっカリモクのやつとかもあるんだ。すげぇーそっくり。こっちも家具だ。かわいいねぇ。このチェアなんか…

ん…?

このとき、ワイフと鬼は同時に同じことを考え、黙りこんだ。

「これじゃね?このイスたち超かわいくね?」

ガチャガチャマシーンには「天童木工」と書いてある。
帰ったら調べてみようか。

検索すると、いい家具をつくる老舗らしい。あんなに探していたのにアンテナに引っかからなかった。その中で、寸法がドンピシャなチェアを発見した。我々のインターネット力(ぢから)もまだまだである。







その少しあと、予約した都内の天童木工ショールームに行き、見学してみた。当たりをつけたチェアはなかったが、どれもかわいくて座り心地が良い。かなりたどたどしいお姉さんにカタログなどを見せてもらい、サイズが近いものに座ってみると、かなりケツに身体にフィット。また、近所の百貨店にはその実物が置いてあった。これなら欲しいやつを広縁(狭い)に置けるで!寸法を綿密に勘定し、翌日、すぐさま発注した。







チェアが見つかったあとは早かった。前々から足を運んでいた九品仏のオシャレ店でワイフがメラミン天板の素敵な丸いカフェテーブルを見つけた。実物を見に行き、シュミレーションして検討、そのお店のネット店で購入した。






素敵な広縁(狭い)が完成した。新築とはいえまだ寒いのでそこまで活用はできていないが、もう少し暖かくなってきたら、窓を開け、ビールを飲みながら本を読むのだ。



ネットで探して購入しても、座り心地、手触りや匂いなどはなかなか分からない。画像ではステキでも、実物がやたら「嘘くさい」ものもある。生活を想像する楽しさは、実物に触れてみないと「ステキな」イメージはできても、「リアルな」イメージはできないと思う。また、安くて良いものとなると、さらに難易度が上がる。実物を探し回る価値はそこにあると思う。

特にイスとテーブルなんかは、座り心地が良くても座るまでの動作が制限されたり、作業がしにくかったりすると使いづらくなる。ネットにはそういうのに対する寸法が転がっているから、調べるならそういうのをきちんと調べたほうがいい。それだけで生活の質がグンと上がる。

そして、欲しいものをみつけるきっかけは、謎の光に導かれてガチャガチャにたどり着くことでもいいのだ。

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