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プレーン味 Day5

Day5

「シリコンバレーに行きたい。」
行きの電車でそんなことを考えていた。

何がきっかけだったかは忘れてしまったが、
後にも先にもこんなことを考えるのは最後だろう。



今日は”華金”と呼ばれる定期イベントで社内も活気付いてる。
同期に誘われたので、今日は焼き鳥で決まりになった。

華金という魔法のせいなのか1日にがとても早く感じてしまった。
時間がモッタイナイ。何をしていたんだろう。

ただし、同居人が作ってくれたハンバーグ弁当だけは
明確に覚えている。ソースがいつもと違ったから。

日が沈む前に同期5人で焼き鳥屋に向かう。
紅一点のしほちゃんがいた。今日は当たりだ。

1週間の戦争が終わったので、祝杯をあげる。
戦争はまだまだ続くのにみんな浮かれ気分だ。



よく考えたら「アルコールごとき」で人は大きく変わる。
感情を露わにしたり、ゲロを撒き散らしたり一気に惨めになる人も多い。

アルコールの力は偉大がゆえに頼る人も多いが、
アルコールなしで自分を語れない奴はダサすぎる。

そして、目の前にダサい奴がちらほらと。

自分もその一人かもしれない。
というよりも、語れる夢すら自分にはないのかもしれない。



気づけば身体が熱い。
アイスが食べたい。メニューを覗いてもない。

「これは2次会に行かずにアイスを買って帰宅だな」

他の連中の誘いを断り、「7」の文字へ。
好きなアイスを買おうとしたとき、同居人の姿が。

慌ててアイスを追加してカゴの中に入れて帰路を歩く。



自宅に着くと誰もいなかった。
久しぶりの自分一人の家だ。

アイスは一緒に食べたいので冷凍庫へ。
スーツは臭いのでファブリーズをしてクローゼットへ。



一人は暇だ。一人にはなりたいけど暇だ。



同居人が帰ってくる階段の音で目が覚めた。
座りながら寝ていたらしい。

同居人も酔っ払って帰ってきた。
珍しく顔が赤い。

着替えさせなくては、と思ったがその必要はなかった。
「ポイ、ポイ、ポイ」の奴だ。”めんどくさがり”がやる帰宅後の儀式だ。

ただ、この時は魔法にかかった時のように
彼女のランジェリー姿がやけに誘われているように感じた。

「アイスは明日でいいや」


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