ジャービルに必要な栄養素
野生下のジャービル(スナネズミ)は、乾燥した種子や穀物、植物の葉、根、昆虫などを食べる雑食の動物です。
飼育下の食事に関してはハムスターなどと混同されがちですが、ジャービルの必要栄養素は他のげっ歯類とは微妙に異なる点もあります。
健康に長生きしてもらうためにはジャービルの食性をしっかり理解してあげることが大切です。
たんぱく質
たんぱく質は、身体の成長と脳にとって非常に重要です。成長段階により最適値は異なります。
ジャービルの成長には15~16%以上のたんぱく質が必要とされています。離乳時期(体重18 g)の個体に16%のたんぱく質を含む飼料を与えた場合、1g/日の体重増加が得られますが、12~14%を含む食事を摂取した場合では体重増加率は低い(0.6〜0.8 g/日)との研究結果があります。
逆にたんぱく質が多すぎる食事(20%以上)を長期的に与えると、肝臓障害、腎臓結石、皮膚病変などの問題が発生する可能性があります。
脂質
脂質は活発に活動するためのエネルギーや、健康的な被毛を保つために重要な栄養素です。
ジャービルは食物の乏しい荒野地帯に適応しわずか1~2%の脂肪分でも生存が可能な種ですが、飼育下での最適値は3~9%といわれています。個々の年齢、活動量、繁殖活動の有無などによって異なります。
脂質の取りすぎは肥満、心臓疾患、脳疾患、不妊、高脂血症等を引き起こします。
ジャービル(年齢別)における たんぱく質と脂質の必要量
カルシウムとリン
骨量と密度、健康な歯を維持するために必要です。
推奨される必要量はカルシウム(5.0g Ca/kg diet)とリン(3.0g P/kg diet)で、ラットと同様の数値とされています。良質なげっ歯類用の飼料(ラット、マウス、ハムスター用)を与える場合は、特別に添加する必要はありません。
マグネシウム
ジャービルの健康維持に必要なマグネシウムの量は1.5g/kgとされています。
これはハムスターなど他のげっ歯類よりも高い数値であるため、市販のげっ歯類用の飼料をジャービルに与える場合は注意が必要です。
ジャービル専用のフードが入手できない場合は、副食としてマグネシウムを多く含む食べ物を与えると良いでしょう。
マグネシウムの不足は脱毛や心臓疾患、ジャービル特有のてんかん発作に影響をおよぼします。十分な量を摂取させたジャービルではてんかん発作の発生率を減らせることが研究により分かっていす。
エネルギー
ジャービルの1日の活動に必要なエネルギーは体重100g当たり、平均36~40kcalといわれています。年齢や活動量によって異なります。
水分
乾燥した飼料を与えた場合は体重100g当たり4〜10㎖の水を飲みます。
水分量の多い野菜を与えた場合はこれよりも減少します。 1日の総水分摂取量(食物中の水分、代謝水含む)は体重の8~13%と推定されています。
ジャービルは乾燥地帯に適応した種であり脱水に対して強い抵抗性を持っていますが、飼育下では常に新鮮な水が飲めるようにしてあげてください。
Nutrient Requirements of Laboratory Animals,: Fourth Revised Edition, 1995
Clark JD, Olfert ED. Rodents (Rodentia). In: Fowler ME, ed. Zoo and Wild Animal Medicine. Philadelphia, PA: WB Saunders Co, 1986
Harriman, 1974
The American Gerbil Society