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ジャービルの飼育に必要なもの


ケージ

ジャービルに使用するケージは広さ以上に深さも重要です。
巣穴を掘る動物のため、たっぷり床材を入れることが基本となります。
そのため深さのあるアクリルやガラス製の水槽、プラスチック製の水槽、衣装ケースなどが推奨されています。
ジャンプ力に優れるので、脱走防止として通気性のよい金網などで蓋をすることが必須です。
ハムスター用の金網のケージや、前開きで低い位置に扉が付いているタイプのケージは床材を大量に入れることが出来ないのでジャービルには不向きです。

最低限の広さ(床面積)は1匹で45㎝×30㎝以上、2匹であれば70㎝×30㎝以上、高さは30㎝以上が目安とされています。
ただし、これは本来研究施設での飼育を目的とした場合の数値であり、ペットのジャービルには適切ではない可能性があります。
動物福祉先進国といわれるドイツの動物福祉獣医師会(Tierärztliche Vereinigung für Tierschutz)のガイドラインでは、2匹の飼育で40ガロン(151リットル)、100cmx50cmx50cm以上を推奨しています。(1匹の基準がないのは、2匹以上で飼育しなければならないとされているため。)

衛生上定期的に丸洗いが必要となりますので、自分が扱いやすい重量のものを選ぶことも大切です。

床材

排泄物の吸収、吸臭、寝床としての役割のほかに、ジャービルの習性である巣穴を掘る&地面を掘って採食するという行動のために豊富な床材が必要です。
一般的なハムスターの飼育で使用されるような分量ではジャービルには不十分であり、トンネルを掘りながら完全に身体が埋もれるほどの量が必要です。
最低でもケージ内全体に10㎝以上、可能であればそれ以上が推奨されます。

市販の木製のチップ(アスペン、松、杉など)、紙製のチップが一般的です。
針葉樹は危険とする意見もありますが、実際ジャービル自身にアレルギーの発症など問題が起きることは稀です。
材質にかかわらず、粉塵(ホコリ)の刺激によるくしゃみやポルフィリンの一時的な過剰分泌はたまに見受けられますので、一片が細かすぎたり、粉のようになっている製品は避けます。
海外ではジャービルが掘った穴をある程度維持できるよう、木製のチップとパルプ(紙)製品をブレンドして使用することが最も推奨されています。

土、牧草、ペレットタイプの砂、猫砂など潜ることが出来ないものは単体では使用出来ません。
※特に牧草(チモシー)は可視性を重視しペットショップ等での展示の際に使用されている場面をよく見かけますが、草食動物ではないジャービルの床材としては不向きな素材です。
海外の飼育ガイドラインでも牧草単品使用は推奨されておらず、特に日本の多湿環境下ではポルフィリンの過剰分泌、真菌感染などの皮膚疾患、呼吸器疾患など健康トラブルににつながりやすいので牧草単体での利用はしないことをおすすめします。

巣材

ケージ全体に敷き詰める床材とは別に、ジャービルが自分で寝床を作るために必要です。キッチンペーパー、細かく裂いた新聞紙、牧草など適度に柔らかいものが使用できます。牧草は上記の床材としての使用は不可と説明しましたが、少量を巣材として使用するのであれば問題ありません。
床材の上に少量置いておくと自分で細かく裁断しケージの隅などに好みの寝床を作ります。
布や綿など繊維が引っ掛かりやすいものは避けます。

食器(エサ入れ)

ジャービルが縁に足をかけてもひっくり返らない形状、重さのある物を選びます。陶器、ステンレス、厚みのあるガラス製など傷が付かず、洗いやすいものを使用します。プラスチック製のものはかじってボロボロにしてしまいます。
ケージの中に直接散布する方法をとる場合は必ずしも必要ではありません。

水入れ

水は給水ボトルを使用して与えます。
飲み口はプラスチック製だと齧られますので、金属製でジャービルの口のサイズに合ったものを使用します。
皿で与える方法もありますが、活動量の多いジャービルには高確率でひっくり返されるか、床材で埋められてしまうのであまり衛生的ではなく、ほとんど役に立ちません。

エサ、フード類

与えるものは栄養、食事の記事を参照。
ペレットなどのフード類は開封後に酸化が進みますので、1ヶ月程度で使いきれる量のものを購入しましょう。
梅雨の時期は特に湿気やすいので、密閉できる保存容器があると便利です。

齧れるもの

ジャービルはとにかく齧ることが大好きな動物です。
切歯の伸びすぎ防止という意味では、噛み合わせさえ正常であれば食事の際に自然と削れるので心配はいりませんが、ジャービルの本能を満たし運動量を増やす目的で齧れるものが必要です。
小動物用の木製のかじり木などが市販されていますが、破片がとがるものや、歯を痛める危険がある硬すぎるものは避けます。
身近なものではかまぼこ板やトイレットペーパーの芯、お菓子の空き箱、清潔なダンボールなどがおすすめ。コピー用紙や新聞紙も丸めてケージに入れると夢中になって細かく裁断します。
紙であれば細かくしたものをそのまま床材、巣材として利用できますので一石二鳥です。あっという間に裁断してしまいますので、切らさないように定期的に追加してあげましょう。

砂浴びのための設備

生命の維持という意味では必ずしも必須ではありませんが、砂浴びはジャービルの習性のひとつですのでぜひ行わせてあげましょう。
砂はハムスター用や小動物用として市販されている、高温殺菌処理がされた天然珪砂が安心です。容器は瓶や深めの皿を使用します。
ケージ内に常設するか、もしくは別のケースを用意しその中で砂浴びをさせます。1回の砂浴びは5分程あれば十分です。
ケージ内に常設する場合はトイレとしても使用しますので、毎日すべての砂を入れ替えます。

固まるタイプのトイレ砂、粒子が細かすぎるチンチラダスト、湿気を含んだ土、園芸用の土は使用してはいけません。チンチラダストは粒子を吸い込むことでポルフィリンの過剰分泌や呼吸器疾患の原因となり、湿気を含んだ日本の土は真菌など皮膚疾患の原因となります。
庭など屋外の土も感染症や寄生虫がいるおそれがあるので避けましょう。
中にはまったく砂に興味のない個体がいますが、その場合は無理に砂浴びをさせる必要はありません。

予備のケージ、キャリーケース

普段の飼育に使用しているケージの他に、掃除中に待機させておく場所として、万が一病院へ連れて行く際などに使用します。
普段のケージより一回り小さめのプラケースなどが便利です。
また、多頭飼育の場合は急な喧嘩が起こった時すぐに隔離できるよう、予備のケージは頭数分必ず用意しておきます。

状況によって必要なもの

巣箱

床材を10㎝以上、十分な量を入れている場合は必ずしも必要ではありません。
ただし、迎えたばかりの個体や、極端に臆病な個体の場合は身を隠せるものを入れてあげると安心します。
小動物用として木製の巣箱や陶器製のハウスが市販されています。完全な巣箱ではなくケージ内の一部分が暗がりになるような台を設置する方法でも良いでしょう。
木製のものは齧ってあっという間に原型が無くなりますので、消耗品と思って使用します。

回し車

基本的にジャービルはただ走るよりも齧ったり掘ったりといった運動を好みますので、十分なケージの広さ、床材の量や環境を確保出来ていれば必須ではありません。
使用する場合は直径が20㎝以上、なるべく大きめの物を選びます。ジャービルの尾が反るような大きさの回し車を使用し続けると、背骨や尾が変形してしまうことがあります。

加温・除湿設備

飼い主さんの住環境によりますが、エアコンや除湿器などでジャービルに適した環境を整えることが必要です。
ジャービルは乾燥地帯原産の種のため、日本の高湿度の環境下では呼吸器疾患や皮膚疾患、鼻先や目元の慢性的なかぶれ、被毛のべたつきや脱毛等の症状が頻発します。
とくに梅雨時期は除湿器の使用が推奨されます。
また、冬季は部屋の室温を上げるか、またはケージの加温が必要となります。ケージにヒーターを使用する場合は局所的な底面ヒーターよりも、ケージ内全体の空気を温められるような製品・対策が適しています。

トイレ容器は?
ジャービルの飼育には基本的に不要とされています。
尿はケージの隅などある程度決まった場所にすることが多いですが、人間が用意したトイレ容器のみでさせることは難しいです。
また、ジャービルの尿量やにおいはハムスターと比べても非常に少ないため、適切な床材を十分に使用している場合はトイレ容器の必要性を感じないはずです。
気になる場合は、排泄した場所の床材を毎日少量交換していれば十分清潔感を保てます。



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