ジャービルの身体、行動、習性
身体の特徴
顔 正面から見ると微笑んでいるような、たれ目に見える顔が特徴的です。顔の幅の倍以上ある、長く細いひげがたくさん生えています。
目 ハーダー腺という分泌腺からポルフィリンという赤い涙のようなものを分泌します。ポルフィリンは目を潤したり抗菌の役割があります。ストレスを感じたり、多湿や合わない床材などの刺激で分泌量が増え、目や鼻の周りが赤茶色にかぶれることがあります。
耳 他のげっ歯類と比べると小さい耳をしています。外側も内側も短い毛で覆われています。
歯 切歯が4本、臼歯が12本生えています。健康な歯の色は黄色~茶色です。他のげっ歯類と同じように切歯は一生伸び続けます。
手足 前足に4本(+退化した第一指)、後ろ足に5本の指があります。穴掘りに適した長く鋭い爪を持っていて、後ろ足の裏は豊富な毛で覆われています。かなりのジャンプ力を持ち、垂直に30㎝以上跳ぶこともあります。時速6kmの速度で走ることが出来ます。
尾 身体とほぼ同じ長さの尾を持ちます。先まで豊富な被毛で覆われています。尾を掴むと皮膚がずる剥けてしまうことがあるので注意します。失った尾は再生しません。
臭腺 腹部の真ん中にマーキングのための分泌物が出る臭腺を持っています。オスはメスよりも大きい臭腺を持っており、へそのように見えたり、臭腺の周りがべたついていたりします。メスは毛に覆われていてあまり目立ちません。
乳頭 胸部に2対、鼠径部に2対の合計4対あります。
鳴き声 仲間とのコミュニケーションの際に、チイチイと小鳥のような小さな声で鳴きます。単独飼いの場合は聴くことはあまりないかもしれません。
身体の大きさ
体長 約9~13㎝
尾長 約8~10㎝
体重 約50~135g
オスの方が身体が大きくがっしりとした、丸みをおびた体型をしています。成長とともに筋肉質になり体重も増えます。
メスは細身で活動的な体型をしています。
ショーではオスは屈強なラグビー選手、メスはしなやかなバレリーナのような体型が理想と例えられます。
※上記の数値はあくまでも研究機関によるデータです。
特に体重は数値によって肥満かどうかを判断することはお勧めしません。
飼育下では骨格が大きい個体の方が健康で寿命も長い傾向にあることから、欧米やヨーロッパの専門ブリーダー達が作出する個体群は大型化が進んでいます。
日本で流通する個体群は輸入、国産ともに小柄な傾向にあります。
寿命
2~5年。
平均寿命は2年半〜3年半程と言われていますが、生まれ持った体質や生育環境により個体差が大きいです。
行動の特徴や習性
・夜行性でも昼行性でもなく、薄明薄暮性といって明け方と夕暮れの時間帯に多く活動する動物です。飼育下では飼い主のライフスタイルに合わせ、24時間のうち睡眠と活動のサイクルを何度か繰り返すようです。
・温厚な気質で好奇心が強く、人間にもよく馴れます。ラットほどではありませんが、簡単なコマンドであれば理解できる知性を持っているといわれています。
・動きはとても活発で、穴を掘ったり齧ったりといった行動を好みます。
・警戒時や興奮している際に後ろ足で地面を叩いて音を出す、スタンピングという行動をとります。
・身体の汚れや寄生虫を落とすために、砂浴びをする習性があります。
・食糞の習性があります。
・コロニーで暮らす社交的な種であり、 ジャービルの精神面を考え単独ではなく複数(同性の兄弟など)での飼育が推奨されています。
・縄張り意識が強く群れの仲間以外の個体には攻撃的になります。
・冬眠の習性はありません。飼育下の適温は20~26℃とされています。
・乾燥地帯が原産の種のため、日本の高湿度の環境では呼吸器疾患や皮膚疾患などの問題が起こりやすくなります。
繁殖生理
最低繁殖年齢 10–12週間
発情周期 4‐6日周期
妊娠期間 24-26日
後分娩発情 分娩後18時間以内
産子数 1‐12匹(平均5‐7)
出生体重 2.5g
切歯の生え始め 10–16日
開眼 16–20日
離乳年齢 21–24日
離乳重量 14–18g
※上記の数値は実験動物としての1つのデータであり、ペットとしての飼育下では異なる数値もあります。
Nutrient Requirements of Laboratory Animals,: Fourth Revised Edition, 1995 (1995)
Chapter: 6 Nutrient Requirements of the Gerbil
Gulotta (1971), Thiessen and Yahr (1977)