見出し画像

ジオパーク・オンライン&ガイド勉強会 #004 阿蘇GPの報告

この報告レポートは無料で読めます。
オンラインツアーの動画は最下部にあります(有料)。日本ジオツーリズム協会メンバーの方は無料で見られます(※2022年4月以前にご入会の方のみ)。

2021年10月17日
第1部のオンラインツアーを視聴後、それをもとにガイドにとって大切な4つの要素(TORE)について考える勉強会を実施しました。それぞれの内容を簡単に報告します。

第1部
「火山と人の合作、本当においしいコメとは?」という題名のオンラインツアーでした。
過去の噴火でできた大きな大きな凹地(カルデラ)の中に約5万人が暮らす阿蘇。
最初は阿蘇に伝わる神話を、ガイドの山崎さん自作の可愛い絵で紹介してくれました。神話にはお米が登場し、地下水位の高さを利用した土地利用の知恵、断層地震の伝承、阿蘇の夏の短さが示唆されているとのこと。人が住むところと田んぼにするところを使い分けて暮らしてきた阿蘇の人たちの地形を活かした米作り。火山灰が降る酸性土壌を草原の草を引き、工夫を重ねて美味しい米を作ってきたこと、微妙な地形の違いを使い尽くして米を作ってきた阿蘇の人たちの魂のこもった米のことを熱く楽しそうに語ってくれました。
時々クイズやジェスチャーで参加する時間があったり、目をつぶって場所を移動するシーンがあったりと楽しい工夫も満載でした!

第2部
毎回のツアーを、インタープリテーションにとって大切な4つの要素「Tテーマ(メッセージ)がある、O構成されている、R参加者と関連がある、E楽しめる)」分けて考え、ガイドにとって大切なことを学び合おう!というのが第2部の勉強会です。

以下、グループワークで皆さんから出た意見と「まとめ」です。

①このツアーのテーマは何か?
「お米」をあげたチームが一番多く、「あそのお米が美味しいヒミツ」
「水と大地のめぐみ」などの意見もあった。

まとめ
グループワークの終了後、ガイドが伝えたかったのは「地域の食文化に目を向け親しみ理解することは、地域の地質と文化を守ることに繋がる」という、参加者が感じ取ったことよりも、ずっと大きなテーマだったことがわかりました。よく構成され、楽しいツアーだっただけに「ガイドが最も伝えたかったこと」が伝わらなかったのは残念でした。スタッフでリハーサルをする際などに、テーマを明確な言葉にして、みんなで共有することの大切さを痛感しました。


②構成はどうだったか?

流れるようなストーリー。よく練られ構成されていた。場面の切り替わりの工夫おもしろい。情景の浮かぶセリフだった。余分なところが削がれていた。パフォーマンス少なめ?ツアーというより講演だったのでは?

まとめ
参加者の多くが「よく練られ、構成された内容だった」と感じていたようです。場面展開が多様だったという意見がある一方で、ガイドの山崎さんのリアルツアーに参加した人からは「もっと衝撃的に展開する部分があっても良かったのでは?」という意見も出ていました。リアルツアーでのガイド内容が気になるところです(笑)


③参加者と関連があるか?

米なので誰でもOK。米が万能すぎる。炊飯器が相棒!神話も身近。クイズがあり双方向だった。同じ火山地域なので身近。カルデラでつながった。

まとめ
米という日本人なら誰でも共通する話題を選んだことで「自分ごと」と感じた人が多かったようです。炊飯器を相棒にしているのも、身近感を感じる演出で良かったようです。また全員に共通なものではないけれど、参加者の中には火山やカルデラなど、同じような環境に住んでいる人もいて「過去の経験や知識」が「自分ごと」と感じるための手助けになることが納得できました。


④楽しめる

手書きのイラスト(神話の紙芝居)が楽しい!小道具(炊飯器など)の使い方が楽しい。ガイドの表情、笑顔、優しい話し方、方言、エンターティメント性。

まとめ
イラストが楽しいという意見が圧倒的多数でした。ガイドの山崎さんは絵が得意で、ちょっと怖い(?)イラストから可愛いイラストに描き直したことを教えてくれました。絵は写真とはまた違う味があって引き込まれる人が多いようです。また、Rにも出ていましたが「炊飯器が楽しかった」という感想もたくさんありました。山崎さんはオンラインツアーの間中、炊飯器を横に置いて、終了間際に炊き上がったお米を食べる…という演出をしていました。ツヤツヤ、ふかふかのご飯がとても美味しそうでした!また、ガイドの山崎さんはラジオ番組を持っているだけに語りが上手で、情景が浮かんだという感想もありました。ガイドの表情、笑顔、優しい話し方、方言なども、楽しい場を作るために大切な要素だということがよくわかりました。


今回は、グループワークの中で自由に感想を聞く時間があったようで、以下の意見も出ていました。

野焼きが唐突だったので、野焼きと牛の話があってもよかったのでは?
ツアーなのかセミナーなのか告知方法でも工夫が必要 。
自分たちもオンラインツアーをしているが参考になった。準備が大事!準備をしたからこそ余裕をもて安心な表情につながるのだろう。
ネット環境によるのかもしれないが、音声と画像にずれが生じていた。
なるほど感、後から納得したけどクイズの出し方に一考。
お米=火山=NG という前提の知識があるのと無いのとで感じ方が変わる。

参考にして、より良いツアーを作って行きたいと思います。

今回のツアーについては、ガイドの山崎さんが自分で自分のツアーを分析し、反省点などをまとめてくれています。何に気をつけ、何に苦労をしたか、何をなぜ削ぎ落として、結果どうだったか、など、とても詳細に書かれていて、ガイドの参考になる内容です。ぜひご覧ください!


日本ジオツーリズム協会メンバーの方は、以下のページで見逃し配信(アーカイブ)が見られます(※2022年4月以前にご入会の方のみ)。

ここから先は

0字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?