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人生を変えた一曲は、うたのするめ・アンサリーさんが唄うブラジルの名曲だった
旅するピアノ、永田ジョージです。
12年勤めた会社を辞めて、ピアニストとして独立して12年が過ぎました。
ジャズピアノばかり弾いていた16年前、友達のシンガーに「これ聴いてみて」って勧められたのがアン・サリーさんの歌う"Emoldurada"でした。
ね、素敵でしょう。
アン・サリーさんの誠実な歌声と、イヴァン・リンスの美しいメロディー魅せられ、一気にブラジル音楽にはまり、ギタリストの露木達也くんとファーストアルバム"Brasilian Groove"を制作し、同曲を1曲目に録って、ピアノ以外に稼ぐあてもなく会社を辞めました。
六本木の老舗ジャズクラブ「アルフィー」のママには「ええ…!?会社辞めない方が良かったのに…」と真剣に突っ込まれました。
予想に反し、ビギナーズラックでアルバムの初版1000枚を1年でほぼ売り切ってしまい、ほぼ同時に出したジャズアルバム1st Encounterもすぐに売り切れて、「ピアニストとしてワンチャン生きていけるんじゃね?」と都合よく勘違い。
退職後のしばらくの間は、ヘッドハンターの方々からありがたいお誘いをいただきました。「Amazonに転職しませんか?」「いいえ!」「Googleの幹部目指しませんか?」「間に合ってます!」「Microsoftの」「転職はしませんので!」とことごとく断ってたら、1年くらいで連絡が来なくなって完全に退路を断たれました。
会社員時代の習慣でタクシーに乗って移動したり、譜面を書くためだけにシェアオフィスを借りたり、無駄に高い中目黒のマンションに住んだりしたからか、グングンと減っていく貯金。
碇シンジばりに「あんたバカァ?」とドヤされても、「武士は食わねど高楊枝」を信じて音楽以外の仕事は何ひとつしませんでした。ほんとバカァ!
その後もEmolduraraを弾くたびに、会社を辞めずにThinkPadでパワポとエクセルとLotus Notesに向かい続ける世界線を想像するも、そこに僕の理想の生き方はどうやっても見えず。
友達のシンガーに「これ最高だよ」って16年前に勧められたのがアン・サリーさんの歌う"Emoldurada"で、メロディーの美しさと誠実な歌声に魅せられ、ブラジル音楽にはまり、ファーストアルバムの一曲目に録って、会社を辞めた。たった一曲が、人の人生を変えることもあるんだな。 pic.twitter.com/dbWCM24P3i
— 永田ジョージ / 旅するピアノ (@georgenagata) June 29, 2024
なので、12年が経ってもピアノを仕事として続けられているのは、演奏の機会をくれる会場や主催者、共にステージに立ってくれる共演者の方々、そして、聴きに来てくれるあなたのおかげなのですよ…
みなさん、ありがとうございます…!
そんなことを思いながら、先日、六本木サテンドールでアン・サリーさんのライブを聴きました。
幸せ空間すぎるやろ!!
ステージと客席の一体感、不意に繰り出されるボケとツッコミ、ジョビン〜レイトン教授〜小沢健二まで幅広い選曲。胸躍るエンターテインメントであり、聴く診療所であり、駆け込み寺でした。
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16年前は、CDで歌ってる孤高の存在だったアン・サリーさんが、MCで「するめのように」と連発して笑いを取ってて、お茶目な方だなあと思ったら、Xでこんな答え合わせが。
デビュー直後、新聞や雑誌に取材頂いた際、緊張しつつ「するめのような歌をうたいたい」とお答えした。後日出来上がった記事には「うたのするめになりたい」と書かれており大爆笑した。いや思えばその方が正確な表現なのかも知れない。今もその想いは変わらず、MCでするめを連発する私なのであります。
— アン・サリー(Ann Sally) Official (@annsally_staff) June 30, 2024
うたのするめ!!!
飽きがこなくって聴き疲れしないのは、うたのするめだな…と、読めば読むほど納得感があります。パンチのあるピアニストは世の中にあまたいるので、僕はいくらでも飽きずに食べられるのり塩のようなピアノを弾いていこうと思います。
アン・サリーさんともステージでご一緒できる日は、いつか来るのかしら…?
願いは胸に秘めずに、言葉として出すと実現の可能性が高まるらしいので、「あんたバカァ?」と突っ込まれる覚悟で、恥ずかしがらずに言葉に出しておこう。
「アン・サリーさん、初共演できる日を楽しみにしています」
と。
PS
アン・サリーさんの歌を全然聴いたことのないそこのあなた、まずは下記プレイリストの17曲目で、映画「おおかみこどもの雨と雪」のサントラ「おかあさんの唄」を聴いてみてください。17曲目です。
するめどころか、コンソメパンチ力あります。