【建築観賞備忘録】前川國男:京都会館
前川國男の京都会館は、冬の夕方の斜光線で見るのが一番よい。とりわけ、南西の角のガラス窓の嵌められた位置を、二条通りの橋から見るのがちょうどよい。お菓子のような彩り色合いを見せ、美味しそうだ。朱の混じったオレンジに、窓の桟やガラスは閃光し、ふだんは突き放すような冷ややかさを見せるコンクリートの壁さえも、幼い頃に見た図工室の温もりに似た感興を呼び起こす。前川はレンガ風に見せる積りだったのだろうか、レンガといっても朽灰色の、これもまた日中みてみれば薄寂しいタイル壁さえも、ああいうチ