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【映画日記】『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』『1秒先の彼』

2023年6月24日(土)
府中TOHOシネマズ 『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
私が沿線に住む京王電鉄で盛んに宣伝していた作品。駅にポスターが貼ってあったので,何気なく見ていたら,美波さんが出演していると知り,観に行った次第。まあ,ルーヴルがタイトルにあるので,フランスでのロケがあり,フランス在住の美波さんが出演しているのは納得。荒木飛呂彦原作ということで,ヴィジュアルにはかなり凝っているという意味では楽しめる作品だった。訳ありな感じで,ルーヴルのスタッフを演じる美波さんの存在もよかったし,まあ,ストーリー的にも面白い。ただ,このストーリーを実写というのは少し無理があったとは思う。飯豊まりえという俳優さんは,あまり好きな感じではないが本作では非常に重要な存在のように思った。ああいうキャラクタをしっかり演じるというのは意外に難しいのかもしれない。

https://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/

 
2023年5月29日(月)
立川シネマシティ 『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』
最近,娘と映画を一緒に観る機会がなかった(適切な作品がない)ので,いろいろ作品探しをしていて見つけたのがこちら。「青春ブタ野郎」は何か聞いたことがあり,本作もシリーズものなんだろうけど,予告編を観たら娘も関心を持って,私が観た限りでもこの作品単独として見ても理解できそうだったので,2人で観に行くことにした。なお,娘は公式ウェブサイトにあった動画を色々見ていた。
さて,映画館につくと,アニメファンの男性たちによって座席は埋め尽くされていました。なかには男女カップルの姿もあり,また年齢的にも若い人が多かったような気もしますが,娘のような子どもはほとんどいませんでした。主人公(?)の高校生男子は,同じ高校に通う先輩の女性とお付き合いをしているが,その女性は俳優をしている。男性には妹がいて,両親とは離れて2人で暮らしている。妹は中学を不登校になってしまい,高校受験に悩んでいるが,兄の恋人やアイドル活動をしているその妹の協力の下,高校受験を頑張る,といったストーリー。本作だけ観ると,この姉妹の関係や,妹がなぜ不登校になったのか,そしてこの兄妹の母親の存在と,なぜ両親と離れて暮らしているのか,さまざまな状況が気になるが,そこでふと考える。
そういうフィクショナルな作品中で作中人物の事情を知りたがるというのは,そういう情報をこれまで長きにわたって提供してきた近代小説が読者に与えてきたからであり,そうしたことが芸能人のゴシップに対する私たちの関心につながっているのではと思えてきた。そうした関心を私たちは隣人などにも向ける。そういう顔見知りの相手にはそういうプライベートなことを聞くことをためらうのだが,相手は全くこちら側を知る由もない芸能人とかフィクションの作中人物に対しては,その関係の不均等さから,プライベートの侵害という事柄から免れている(フィクションの場合はその通り)という錯覚に陥っているのではないか。だから,フィクションだからといってそうした情報を読者・鑑賞者にすべて提供する必要はなく,読者・鑑賞者を全知の第三者(神)にする必要もないのだ。近年の作品はそういう傾向にあるともいえ,そうしたのぞき見趣味的な私たちの感覚も少しずつ変化すればいいと思う。

 
2023年7月9日(日)
府中TOHOシネマズ 『1秒先の彼』
息子が最新のインディ・ジョーンズ映画を観たいといってきたが,私は予告編でげんなりして観たくはなかったので,同じ時間に上映していた別の作品を観ることにして,息子には一人で観てもらうことにした。ということで選んだのは,2020年の台湾映画『1秒先の彼女』のリメイク版。脚本を宮藤官九郎が担当し,監督は山下敦弘。山下作品の『天然コケッコー』で主演した岡田将生と清原果耶のダブル主演で男女を入れ替えている。
主人公たちに起こった不思議な一日を,前半は男性の視点,後半は女性の視点で描く。岡田将生さんは比較的好きな俳優だが,京都を舞台とした本作では,冒頭から岡田君が発する京都弁がちょっと残念。こういう役どころってところなので仕方がないが,感情移入できずに後半へ。清原果耶さんは京王電鉄の高尾山のポスターに起用されていて,目にすることが多いが,『宇宙でいちばんあかるい屋根』という主演映画から注目している。大阪出身ということで,京都弁にも違和感はなく,表面的な人間として描かれる男性主人公に対して,内面的な人間として描かれる女性主人公には感情移入できる。話が進むにつれ,岡田さんの演技は清原さんの引き立て役に徹していたようにも思えてくる。そしてなによりこの二人の間を取り持つ役割を果たしていく荒川良々さんの存在が何とも言えない。久し振りにスクリーンで観て,白髪は増えたけど相変わらずの風貌で安心。
いい作品だとは思うけど,私には相変わらずがっつり好きになる感じにはならない山下監督作品。ネタバレになるが,時間が止まった一日についても,花火大会の後片付けをするシーンがあるのは設定上おかしいし,ちょっと無理のある箇所もあるが,まあいいか。


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