2021年私的年間ベストアルバム25選(ダイジェスト版)
今年の初め、僕はこんなことをぼんやり考えていた。「今年もポップソング強しな1年になるんだろうか?」。
90年代以降音楽ジャンルは多種化が進み、2000年代に入るとそこから各ジャンルの”ポップ”化が進んでいった。そして、多くの作品は「ポップな〇〇(ジャンル名が入る)」のような言葉で形容されることが多くなった。
では2021年はどうだったか?
振り返ってみると、作品に関しては想定とは異なるベクトル上で語れるもの非常に多かったように思う。つまりは「ポップか否か?」ではなく「この作品の本質は何なのだろう?」で聴くことが多かったと言うことだ。つまりは自分にとっての作品の良し悪しを判断する軸は、ミレニアム前も現在も変わっていないと言うことである。
一方で、時代背景的なところで言えば、今年リリースされたアルバムの多くは2020年前後に収録された作品であり、思いっきりコロナ禍の影響をモロに受けている。これまでのリアルとネットのハイブリッドなコミュニケーション環境から、ほぼネットのみのコミュニケーション環境に変わることによって、結果的により多様化が加速していったように感じた。
「アルバムで聴かせる」という良い意味で旧態依然なスタイルのアルバム、歌い手/作詞作曲/プロデュースなど分業で作られた曲の集合体としてのアルバムなど、既存スタイルのアルバムは存在しつつ、そこから更に深堀りされていく様が今年選んだ25枚にはあった。それは“ひとり時間”の中で己と向き合うことによって生まれた内省的な作品であったり、コミュニティ化がより一層進んだ結果の作品であったり、ベクトルは多種様々だ。ことコミュニティに関しては、そこから更に接近することによる化学変化が産んだ共同体としてのアルバムの多さにも目を見張るものがあった。
さらに、今年は優良な若手(=リリースしたアルバムが2枚以下)が超が付くほどに豊作だったことも見逃せない。今年のランキング25作品のうち約半数弱は新人及び若手のアーティストだ。それらはロック、ポップス、パンク、フォーク、ジャズ、インダストリアル、ノイズ/ドローン、ソウル、ファンク、エレクトロ、ポストパンク、クラウトロック、クラシックなど多種多様で、もはや”○○シーン”と言っても過言ではないほどの規模感を示している。
そんな様々な変化のあった今年ももう終わる。来年も楽しみで仕方ないが、ひとまずは僕が選んだ25枚を見ていただけると幸いである。