サンウルブズ〜5年前に「にわかラグビーファン」になった人の独白
ラグビーワールドカップRWC2019で「にわかラグビーファン」が話題になりました。
私は、その前のRWC2015「ブライトンの奇跡」で、にわかファンになりました。
にわかファンが、持続的なラグビーファンに進化するには、引き続きファンを惹きつける「何か」が必要です。
私の場合、それはサンウルブズでした。
私にとってのサンウルブズのプライスレス感は、一言では言い表せません。
以下、サンウルブズが私たちにもたらしてくれた物事を、目次にまとめてみました。
初めてラグビー生観戦の機会を与えてくれた
まずこれに尽きます。生まれて初めてのラグビー生観戦。にわかファンのために、その門戸を開いてくれたのが、まさにサンウルブズでした。
RWC2015で活躍していた日本代表選手もかなり出てたから「知らない選手ばかりだったらどうしよう?」という迷いもなかったし、都心の秩父宮ラグビー場で開催というのもアクセスがよかったし、よし行ってみよ!と決断するにはなかなかの好機でした。
初観戦のサンウルブズは負けてしまいましたが、その日、唯一のトライを、サム・ワイクス選手が決めた時の高揚感はたまらなかったですね。
「トライの瞬間って、こんなに盛り上がるんだ…!」
覚醒。以降、この瞬間が味わいたくて、何度かラグビー観戦に通うことになります。
初めて全力で応援できるホームチームができた
トップリーグや大学ラグビーもいくつか観に行きました。どれも楽しめるのですが、にわかファンには若干難しい壁があるのです。
それは、すぐに贔屓のチームができないこと。
地元にトップリーグのチームがあれば、すんなりとファンになれると思うのですが、残念ながら無く。
地元に強豪の大学はあり、ちょいちょい観戦に行きますが、OBや関係者ではない点で、ちょいと肩身の狭い思いがあり。
あと、トップリーグや大学ラグビーだと、チームごとに座席エリアが真っ二つに分かれるんですよね。いい意味でノーサイド。ホームやアウェイ関係なく、公平に半々で観戦できるのはいいんですが、初心者にはどっちの席がどっちのチームなのかよく分からず。(うっかり空いてるからとアウェイの席に座ったら、野次おじさん達に囲まれる位置となり、更に肩身の狭い思いを。)
その点、サンウルブズの試合は、完全にホームゲームで、客席もほぼ100%サンウルブズサポーターなので、一体感を持って応援に集中できます。
しがらみなく、全力を注ぎ込んでファンになれるチーム。
ホームチームとして存分に応援できるチーム。
それがサンウルブズでした。
海外のスター選手が公式戦で続々と来日しプレーするのを生で見られた
サンウルブズというチームの存在を、他のスポーツで例えるのは難しいですね。私がよく思い浮かべる例えは、
・日本のプロ野球12球団から選手を選りすぐって1チーム形成し、北米のMLBに参戦する。
・日本のJリーグから選手を選りすぐってプロのチームをひとつ作り、欧州CLに参戦する。
他人に理解してもらえるか自信はありませんが、私の中ではそういう理解で腑に落ちました。
ただ、私の理解の外にあった、望外の喜びは、海外のプロチームが、公式戦で堂々と来日し、目の前で素晴らしいプレーを見せてくれたこと。
サンウルブズという、日本発のプロチームが、スーパーラグビーという国際的リーグに参戦したからこそ巡ってきた機会でした。
ダミアン・マッケンジーやジュリアン・サヴェア、クリスチャン・リアリーファノ、ウィル・ゲニアなど、各国代表選手が続々と秩父宮ラグビー場に来てくれました。
「ワールドカップ本番前なのにこんなに日本で見れちゃっていいの!?」
と嬉しい悲鳴でした。
次のRWC2019までの4年間高いレベルのラグビーを見る機会をもたらしてくれた
にわかファンの目をここまで肥やしてくれたのは、まさにサンウルブズのおかげです。ラグビーの面白さだけでなく、ルールや戦術・戦略の妙なども、サンウルブズの試合を見て学んだ点が圧倒的です。
そして、サンウルブズが勝つためには、日本が強くなるためには、何が足りないのか、何が必要なのか。どこまで高みを極めて行けば勝てるのか。
そんな想いは、スーパーラグビーの常に高いレベルのプレーを、4年間、眼前で見続けてきたから育まれました。
サンウルブズの、この無謀とも思える挑戦がなかったら、ワールドカップ本番になっても、日本の実力なんてそんなもんだよなと、斜に構えた弱音しか吐かないファンが出来上がっていたと思います。
RWC2019での日本代表の活躍はサンウルブズあってこそ
元々、スーパーラグビー参戦は、RWC2019に向けて、日本代表強化の目的が主眼でした。
始まってみると、過酷な過密日程、連敗に続く連敗、本当に日本代表強化に寄与しているのかという疑問等いろいろ議論噴出してきました。
しかし。
この辛い過程があったからこそ、RWC2019での日本代表ベスト8入りという輝かしい成績をもたらすことになったのは間違いありません。
サンウルブズがなかったら、選手だけでなくファンも、予選プール1位で駆け上がるところまでフィジカルとメンタルを持って行くことはできなかったでしょう。
サンウルブズは、間違いなく、日本のラグビーの強化に貢献しました。ですから、サンウルブズは十分に意義のある挑戦だったと思います。
そしてラグビー界の厳しい現実を教えてくれた
2019年、さあこれからワールドカップに向けてラグビーを盛り上げて行こうとする矢先、サンウルブズのスーパーラグビーからの撤退が報じられました。
あまりにも突然の発表に、戸惑いと落胆は深いものがありました。
心にぽっかりあいた空虚。
全力を注いで応援できるホームチームが消えるという空虚。
いろいろと意見はありますが。
存続期限が決まっているチームの応援のために、秩父宮ラグビー場へ向かう時の、なんとも言えない虚無感は言葉にできません。あの感覚は一生忘れないでしょう。
そして、だからこそ、残されたホームゲームを精一杯応援しようと思いました。
そして、2020年ラストシーズン。途中で、新型コロナウイルス感染拡大のため、スーパーラグビー自体が中止。
サンウルブズもそのまま解散となりました。
ファンとしては、ウイルス蔓延という、どうにもできない状況で、終止符が打たれてしまいました。
本来なら、初夏にあるはずだったホームゲームを観戦し、この #スポーツ観戦記 の企画に参加できるはずでした。しかし、それは叶いませんでした。
このやり場のない想いが、ここまでの、にわかラグビーファン5年間の、サンウルブズとの歩みを書き綴ることとなりました。
私個人的なサンウルブズ愛。少々暑苦しかったかもしれませんが。長文、失礼しました。
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