見出し画像

銚子・その1「一心」「今川焼 さのや」「銚子ポートタワー」「大新旅館」「香海」

銚子に行ったのは20年ぶりぐらいだろうか?

前に行ったのは高校生の時だ。

当時「メル友」なんてものが流行っていて、ネットで知り合った見知らぬ女の子とメールで仲良くなって、銚子に住んでいるというので行った。

ただ恋仲とか、ロマンティックな話ではなくて、会ってみたものの話題も膨らまず、金もなかったので駐車場に座り込んで缶ジュースを飲みながら2時間ほど話して何もせず帰った。

今思えば大して仲が良かったわけでもないのに、よく銚子まで会いに行ったものだと驚いた。

私は東京に住んでいるのだが総武線の鈍行電車に3時間ぐらい揺られて調子に向かった。

片道3時間ぐらいなら対して苦にならないタチなのだが、総武線は人の乗り降りが多く椅子に座れない時間も多かったり、座っていても横に人が座っていて解放感がないのが苦痛だった。

なんとか銚子に着くと駅前の景色を眺めた。なんとなく記憶にあるような、ないような、曖昧な景色だ。

ここから10分ぐらい歩いて、最初の目的である中華屋「一心」に向かった。

こちらは銚子のソウルフードと呼ばれているカツカレーで有名な店で、1度は食べてみたかった。

席に座って注文しようとしたら券売機で先に食券を買ってくれと言われてしまった。

街中華と言えば現金払いが当然だと思っていたので驚いた。

カツカレーにポテトサラダ、みそ汁を注文した。

提供されたカツカレーは昔ながらの見た目だが、カレーが甘くて驚いた。

レトルトカレーの甘さとも違うフルーティーで独創的な味だった。

好みは分かれそうだがオリジナリティが高く、個人的には大歓迎の味だった。

薄いカツも脂っこいものが食べられなくなった老体には有難かった。

無造作に皿に乗せられたポテトサラダも絶品だし、みそ汁は豆腐が多めで良かった。

ご飯に満足して店を出ると、次の目的地である銚子電鉄の仲ノ町駅に向かった。

本当はここで土日だけ行われている「仲ノ町駅車庫」の見学を行う予定だったのだが、臨時の点検でこの日は見学を行なっていないとのことだった。

「明日だったら見学できますか?」と聞いたのだが「連休は見学できない」とのことだったので、残念だが駅のホームから撮れる範囲で撮影を行った。

仲ノ町駅
本来は中に入って見学できるはずだった車庫

その後、銚港神社を参拝し、更に横にあった圓福寺 観音堂も参拝した。

銚港神社
圓福寺 観音堂

別の観光客がお堂の中の見学案内を受けており、私も近くをフラフラしていたら「どうぞあがってください」なんて言われたものだから、解説を受けながら本堂の中を回った。

天井絵の紹介もあり、ここは撮影可能だというので記念に撮っておいた。圧巻だった。

腹は減っていなかったのだが圓福寺の近くにあった「さのや」で今川焼を食べた。有名店だと聞いていたからだ。

白あんの今川焼きは珍しかった。厚くて、中も餡子がぎっしりで、ただでさえ腹が膨れていたのに余計に膨れてしまった。

その後、そこから「銚子ポートタワー」まで歩いた。バスが出ていたのだが、どうせ1時間に1本とかだろうし、現在地から30分ほど歩けば着くようだったので何も考えずに歩いた。

ただし、これは失敗で、炎天下の坂道が続き、遠くにタワーが見えるのは少し情緒があったが、重い手荷物を持って歩くような道のりではなかった。

なんとか銚子ポートタワーにたどり着くと入館料を払って上った。

当然ながら景色が良かった。壮大な海が見えて良かった。Wifiも爆速で更に良かった。

ベンチみたいな腰掛けがあったので、そこでコーラを飲みながらスマホを弄って休憩した。

一応、展示と呼べるような紙が貼られていたが、字が小さかったり、紙が古くなっていて、あまり観光客に見てもらおうという感じを受けなかった。

景色を眺めて感動して帰るのが一番良い気がした。

1つ下の階も展望スペースにはなっていたのだが、椅子を占拠した少年たちがニンテンドースイッチをプレイしていた。

そりゃ、小さい頃に展望台にきても景色よりスイッチのが面白いよなぁ、いや、実際、私だってスイッチを持って旅行に来ているし、少年たちと何も違わないのだろうと思った。

神社仏閣を巡って、観光地と呼ばれる場所を回って、何か感動したなぁなんて、大人ぶっているだけなのだ。

紙の展示はいまいちだったが、2階にあった展示スペースには銚子で発掘された化石があって興味深かった。

小さい頃にアンモナイトに興味があって親に図鑑をねだった記憶があるのだが、化石は今でも私の興味を引くものだった。

何年も前の生き物が石の中で認知できる姿を残しているのがドラマチックだし、なんとなく貝は固くて強そうでかっこいいなと子供心に思っていた。

展示を見終わり、銚子ポートタワーの1階から連絡通路を歩くと「ウオッセ商店会」と呼ばれる水産物即売センターに繋がっていた。

観光ついでに歩いて見て回っていた。

年季の入った施設が風情があって面白かったのだが「新鮮な魚はどうですか?」と話しかけられて逃げ帰るように外に出てしまった。

私は洋服屋でも店員に話しかけられると面倒になって店を出てしまうタイプだった。

帰りは徒歩で戻りたくないなと思ってバスの時刻表を調べた。15分後ぐらいにバスが来るようなのでバス停で待った。

旅館の最寄駅で降りると18時頃にチェックインした。宿は「大新旅館」だ。

昭和レトロを特集したブログで存在を知ってから、いつか泊まりにいきたいと思っていたのだが先延ばしになっていた。念願かなっての宿泊だった。

何て事のない和室だが、それで良いのだ。何より漫画喫茶で宿泊しての旅行を繰り返していた私にとっては旅館自体が新鮮だった。

荷物を整理すると大浴場に向かった。浴場には地元の人と思われるおじいさんがいた。日帰り入浴も行っていたので、そのお客さんのように思われた。

大きな虫が飛んでいて東京なら大騒ぎになるだろうが、銚子では誰も気にしていなかった。

広い浴場と、暗めの照明、それだけでも落ち着いた気持ちになれて、普段暮らしている場所とは違うところにいることが私を高揚させた。

素泊まりだったので、部屋に戻ると近くにあった「香海」という海鮮料理屋に向かった。

2000円のおまかせ定食があったので、それを注文した。

焼いたカレイや、刺身、天ぷらと色々と出てきたが刺身が一番美味しく感じられた。

その後は旅館に戻ると持参したiPadで映画を見たり、ニンテンドースイッチでゲームをしてから布団に入った。

結局は自宅と同じことを旅先でも行なってしまうのだが、そうでもしなければスマホを弄って無駄な時間を過ごすだけだろうし、いつもと違う部屋で普段と同じことを行うことにも意味があるのだと信じていた。

旅の疲れもあったので布団に入るとすぐに眠りにつけた。

つづく

いいなと思ったら応援しよう!