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地域のランニングコストを可視化する

日曜日は”集落の経営ノート”です。今年、約90世帯の農村地域の会計をしているゲンヨウです。一年の終わりが近づき、会計の〆の作業をしています。

前に単年度事業について書きましたが、今回は地域のランニングコストについて書いてみようと思います。

1.費目として上がるもの

そもそも、集落の維持管理に毎年使うものとして、何を使うのか、その辺の費目についてピックアップしてみましょう。おそらく以下の6つかなと思います。金額はさすがに出せないです。

(1)地代家賃
(2)水光熱費・通信費
(3)諸会費
(4)祭事関係
(5)地域内組織への出費
(6)人件費

2.地代家賃

集会所(地区によっては公民館とも呼ばれます)などの、固定資産税や家賃などです。集会所の機能としては、総会など集まり事の会場だったり、納涼祭の炊き出しだったりします。地域防災の目線で考えると一次避難所。煮炊きもできて、比較的広いので独居高齢者とか、お子さんが小さい家の人が一時的に非難するには良いです。

施設の一部を借りている場合は家賃になりますし、うちの集落は所有しているので、固定資産税がかかります。施設によっては、減免措置(支払金額を下げる施策)があったりするので、払ってないものもあったりします。うちの場合は、今年から観音様が祀っている小屋が非課税になっていました。公共減免になるのでしょうか。

集会所の大きさや属性にもよりますが、いくらかの費用を毎年払う必要が出てきます。公共減免ってどこまでなんだろう。自治会は認可地縁団体になっているので、固定資産税は従来課税とも書いてある・・・。

https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1212630127004/index.html

3.水光熱費・通信費

集会所などの水道光熱費です。電気代・水道代がわかりやすいですね。うちの地区の場合は、神社横の建物など管理物件がいくつかあるので、それごとに引き落とされています。下水もですね。

冬になると、灯油代などもここに追加されていきます。通信費は集会所にひいている電話回線。防災無線を使うには電話回線が必要なので契約がどうも切れないようでして。。。それなら、何かしらの減免措置が欲しいなと思ったり。みんな携帯持っているので、集会所の電話はほとんど使ってないんですよね。現在。

4.会費関係

社会福祉協議会の負担金や、地域の教育後援会(中学校・小学校・幼稚園・保育園)の支援金、共同募金など募金系(赤い羽根、みどりの羽根)などが一括して地区から払う流れにしています。

募金も1世帯当たり○○円ってのがあり、班長が羽根を配ってます。これはどうなんだろうと思う部分もありますが、班長がその都度徴収する、もしくは確認するコストを考えると、一斉に払ってしまうのは合理的だなと思います。全国的にこうやってお金を集めていますが、寄付をしているって啓蒙も同時にやった方が良いなと感じています。

うちの地域では学校を応援するために世帯当たり○○円の負担金があります。鳥取市内でも珍しい制度だそうで、昔から教育への地域負担を前提にしているのは面白い仕組みです。小規模な学校なので、部活などの支援に充てられています。学校としても、使途制限のない予算なので助かっているそうです。ちゃんと子供たちにも知ってもらわねば。

5.祭事関係

主に神社関係です。1月の観音さんを拝むことに始まり、春祭り・秋祭りにかかる費用、神社も会費があるらしく地区の神社○○会に払っているお金もあります。この会費は何に使っているんだろう・・・。何より僕もこの役割を通して地区の祭事に詳しくなりました。若手世代に伝承しないと誰もしらなくなってしまうかも。

祭事関係は、毎年必ずやるのと神様関係なので削減とかしにくい部分でもあると思っています。また今年、祭りに運営側として参加してみて、当番に当たった家も個別に出費しているみたいで(数年に一度の誉れな役だから出しましょうみたいな感じ)、出せる余裕があるうちは良いのですが、年金暮らしが基本の世帯とか、一年だけとはいえ数万出してって難しいかもしれないなと感じています。ここは集落の出費として増える可能性もあります。

6.地域内組織への出費

うちの地区の場合は、婦人会・公民館活動(夏の納涼祭)・親子会(小中学生のための行事)・消防団(獅子舞と防火消化関係)に、○○円と決めて事業補助をしています。

地区内の横のつながりをつくる組織でもあるので、これはありかなと思います。女性=婦人会、こども・保護者=親子会、若手男子=消防団と、各戸1名参加の総会では見ない人たちが繋がっています。

ここでも子供に向けた出費に関しては、こどもが少なくても出そうという地域の合意がなされていて、素敵だなと思います。消防団は最近人数が増えてきているので、大きな出費があるような時は、全体会計から出すようにしていたりします。僕も消防なので、頑張っている若手の負担は減らしたいポジションです。

7.人件費

地区の代表である区長さんや副区長、僕のやっている会計など、いくつかの役に費用が、みられています。ちなみに参考までに僕の会計の作業は年間30,000円でした。月3000円弱です。

支払い関係、準備など考えたら単価は全然あわないですから、せめてものって金額ですね。区長さんは会合など出番が多いので更に大変です。

ここについては、どう考えるかは作業内容と地域の合意形成かなと思います。なるべくやる事を簡略にできるようになっていければ良いし、支払い優先順位は低いので(水光熱とかの方が必須なので)、どこかで考えるタイミングは来るんだと思っています。

そもそも、30000円もらうから会計やりますってならないですしね。時間の拘束がそれどころではない(笑)

8.減価償却の考え方

地区の公民館を立て直したとき(平成5年)、借り入れをして返済が大変だった話を聞きました。そのことを踏まえて、次に何か大きな出費があった時に対応できるように、地区では毎年お金を積み立てています。

設備投資と減価償却の考え方だとは思うのですが、90世帯弱で、インフラとしてどのくらいの規模の集会所を持つべきなのか。耐用年数が何年で、毎年いくらくらい積み立てるのか。

積立金も、ここ何年かは設備更新などの使途があって、できていない年もあります。うちの地区は他地区に比べて地区費がかなり多い方ではありますが、修繕費や更新にかかる費用もあります。

その都度、補助金を・・・というわけにもいかない時代が来るのではないかと。当然ながらいくらかの自費負担も出てきます。仮に各世帯10万×90→900万みたいな話は、合意形成がかなり難しくなります。それに備える準備も必要。ここは意識に入れないといけない費用になるなと思いました。

9.減らせないもの、減らせるもの

毎年、地区会費の金額を下げられないかという話も出ていたので、会計になって、減らせそうな項目が無いかを考えてみました。

地代家賃については、固定資産の減免を更に考えてもらうとかしか方法がないなと。地域の防災拠点ではあるので、その辺はロジックがありそうな気がするのですが・・・。

水光熱は使えば動くお金なので、減らすのも難しい。通信費は前述のように今のところ通信が必須事項なので難しい。他の地区とか聞いてみようかな。

会費関係は、捉え方の問題でもあります。募金とか社会福祉協議会への支払いとか、任意と言えば任意なので、バッサリという考え方もありますが、その辺の機能と会費の整理は必要かもしれません。祭事関係については合意形成を図っていかないといけないです。

地域内組織については、横のつながりを作る他の方法が担保されれば、いろいろ考える隙間はあるのかなと思ったりします。単純になくすだけの議論だと、基本的な防災力なども下がってしまうので、有事のためのどうインフラとして維持するのかかと。

人件費は究極減らすことももできる部分はあるかと思います。会計はやってみると、大変なのは大変です。少額でもあった方が良いのか。もらえるからやれって金額では無いので、無くても良いのか・・・。難しいですね。

ただ、純粋に集落が徴収している地区会費(年間○○円)を下げようと思うなら、この辺に手をつけないと議論ができないというのが実情です。

毎年、何にいくら使っているのか考えるだけでも良い機会かもしれません。

今日はざっくりと、ここまで。

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