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地方において担い手が限られる背景

鳥取でNPOを経営しているゲンヨウです。今年度は、地域に新しいお金のめぐる仕組み(コミュニティ財団)をつくるために動いています。その中でNPOを20年、地域でプレイヤーをやっている立場から気づいた事も書いていきます。

1.人口減少社会に突入なわけで

僕が鳥取県に来た時は人口60万人の鳥取県という感じで覚えていました(平成10年の人口は614,418人)。現在(令和6年)は532,494人です。約13%の人口が減っています。日本で一番人口の少ない県なのは、ずっと続いていますが、政令指定都市くらいで全県人口になっています。

子どもの人数も必然的に減ってきているので、自分の子が通う地域の小学校も学年の人数は減ってきています。新型コロナの影響もあって保育園に通う子はかなり少ないみたいです。

人が減っているということは、役割を減らさない限りは一人当たりの負担は増えていきます。全体的には高齢化していくので、チカラ仕事とか草刈り作業などの担い手は減っていきます(とはいえ、田舎の70代は僕より体力ある人多いですが汗)。

少ない人数でどうするか、高齢の人が多くなる中でどうするかみたいなことを前提に仕組みを考えていかないといけないことがジワジワ見えてきています。どういう人が担い手になっているのかを少し考えていきます。

2-1 若手世代:動きやすいのは大学生だけど、卒業したら出ることが多い

僕もそうでしたが、地方において大学生がもっともフットワーク軽く動ける世代になります。暇ではないですし、就活やインターン、卒論や実験など普通にいろいろやることあって忙しいですが、自分で選択できる幅が広い。

・時間の融通が利きやすい(自分で選べることが多い)
・長期休暇(夏・春)はじめ休みが多い
・自家用車含め移動手段を多様にできる。

一方で、鳥取の場合は鳥取大学・鳥取環境大学ともに地元出身比率がおよそ2割なので、卒業後には県外に出てしまう事がほとんどです。そのため大学生活だけの地域への関りになります。

もちろん、僕のようにそのまま残り活動する卒業生も増えてきていますが、全体から見たら小さな数字なのは事実です。風のように関わってくれる若者たちとどう協働するのかがポイントになります。

余談ですが、高校生は忙しいです。探究学習など地域に出る機会は増えています。交通手段が限られる部分はありますが、部活の地域移行などを考えると、地域系で動く中高生が今後は増えるかもなと思っています。高校生は嫁業後に鳥取県外に出てしまうパターンも一定数あるので、彼らのやってみたいことにうまく地域の役割がフィットすれば、地域に戻るキッカケがうまれるそんな良い流れになるのではないかと思っています。

2ー2 若手世代:子育て世帯が減っているのにやることは減ってない

田舎の学校の特徴なのか、鳥取の特徴なのかはありますが、兄弟姉妹がいる家庭がほとんどです。あまり一人っ子の家は見ないです。3人とか多いですね。子どものいる世帯と、そうでない世帯があるという感じです。

一世帯のこどもの数が複数いるということは、こども系の役割は世帯ごとでやることになるので、担う人は相対的に減ります。児童数が100人の学校であっても世帯数が60とかそういうことです。

そうなると、仕事量を減らす工夫が必要になりますが、PTAも地区役員も単年度で変わる事が多いので、改革すること自体が役員をやる人の負担になるので、とりあえず受けて1年間過ごすということが多くなります。必然的に人口が多かった頃から総量が減っていません。LINE活用など、省力化は測られていますが、ここに若手の人材が取られていきます。

PTAはそれでも同世代の集まりだし、なり手を探すのが大変になってきているので、役割を効率化する方向には賛同が集まりやすいですが、地区のやることについては、合議に上の世代が関わる事が多く、上の世代は多かった時のことが経験値になっているので、みんなでやれば何となると思っています。なんとかなるほどの人数がいないという根本には気づかないことが多いです。

僕は仕事として社会課題に向き合う機会が多いですが、子育て世代は自分の子供との時間、地域のこと、仕事のこと、自分のことなど既に可処分時間の余裕がないのが特徴。子育ての時間を最優先にしたいですしね。

そして、こどもがいるとPTAなどで役割をもらったりしますが、独身だと関りしろが見つけにくいかもです。消防団とかそういう活動に来てくれていると関わりしやすいかなと。昔はここを青年団があって集まっていましたが、青年団活動も鳥取県内ではほとんど無くなっています。

3(中堅世代)子育てが終わった世代:仕事が一番忙しい時期なのと、田舎だとまだ親世代が元気だと地域に出てこない。

子育てが終わった(大学とか県外に出していると出費は一番大きい)世代は仕事での責任が大きくなったりで、忙しく地域に出てきにくいです。場所によっては区長の声がかかったりしますが、本業が軸になるので地域からは疎遠になります。

PTAとかで見かけると捕まえやすかったのですが、子どもが地域から離れると必然的に親も補足が難しくなります。集落などの会合は場合によっては親世代が元気だと出なくて良いので、集落内でも顔を見なくなったりします。
実は一番、地域内で見つけにくい世代かも知れない。

4(ベテラン世代)定年延長で、区長などのなり手が仕事を辞めていない

定年が延長されたり、再雇用があったりで少し前なら辞めていた世代がまだ働いています。それはそれで良いことなのですが、地域の担い手という目線では区長(自治会長などと呼ぶ場所もある)の担い手が不足します。もしくは仕事をしながら担うことになるので、上記にあるように、とにかく1年を穏便にすごすパターンが増えます。

地域の役割も、同じように次は○○さんかなとみんなが思っていた人が働いていたりするので、頼めなかったりしています。

またサラリーマンが増えたことや個人商店・農家が減ったことで、イレギュラーな日程に対応できる自営業が少なくなっています。自営業が暇ではないのですが、時間の融通の利く人が地域内に減っています。

5.必然的にやれる人が限られたり、集中したりする。

上記のことから地域で動ける人が限られます。もしくは見つけにくくなっている。そしてやっている人が重複します。あらゆる会議で同じような人に会うことが多くなります。僕も自分の居住地域では何役やっているんだろう(意図的に集めて、再整理しようとしているのでなおさらですが)。

限られた人が忙しそうに見えるので、新しくやる人がやりにくくなります。どんなことをやっているのかも見えないので、余計大変そうってなるんだと思います。

やっても良いかな、くらいの人が手をあげやすい、お願いしやすい体制づくり(マニュアルを用意したり、年間スケジュールや負担を見える化するとか)そういうのも大事になります。

6.役割の再構成や整理をする時期に来ている

僕は自分の関わる地区のPTAの仕事については、省力化を進めています。動くのは個人的にはコストですが、将来世代のことを考えると、余力があるうちに議論のコストを乗り越えておいた方が良いなと思い。

同じように地域の役割や行事なども、再構成や整理の時期なんだろうなと思います。PTA連合会でも大量にあるあて職の整理をし始めていてさすがだなと思っています。同じようにはやれない。

一方でドライになんでもかんでも無くしてしまうと、根本的に信頼関係をつくる機会であったり、コミュニケーションの場は減ってしまいます。結果として、調整コストが増える場合もあるので、顔を合わせる機会などをどうデザインしていくのかというのは、ポイントになりそう。

また、やらねばならないことばかりが並ぶとつまらないので、”やってみたいこと”を実現していく流れも大事かなと。”やってみたい”→”やれた”という経験値が結果として、地域の自治に繋がると思うし、暮らしやすい社会を自分たちで作っていく動機にもなると思うので。

そんなことを、人と役割をマッチングする仕事をやっていると思うのであります。今日はここまで。


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中川玄洋@NPO法人bankup
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