育休を取った時の話
鳥取でNPOを経営するゲンヨウです。こどもたちの懐かしい写真が出てきました。何年前だろう。段ボールを基地にしてますね。今日、clubhouseに呼ばれて育児休暇を取った時の話をしてきました。既にnoteには書いていたネタだと思ったら、まだだったので書いてみます。
1.第二子の誕生時に取得
僕は第二子(長男)が生まれた年に、1カ月の育児休暇を取りました。厳密にいうと経営者なので育休って制度は無いのですが、会社と調整して出社しなかった一か月間の話を書きます。ちょうど今から8年前、2012年の8月から9月のことでした。
僕の仕事は、大学生と地域をつなぐ仕事をしています。方法としてはアルバイトだったり、ボランティアだったり、最近では課題解決型のインターンシップ等も行っており、日中は打合せや企画書の作成、夕方以降は大学生の会議補助や面談などで一日が過ぎます。ボランティアやインターンの現場などにも行くので休日出勤もあったりする会社です。
組織の立ち上げ時は、夜遅くまで学生と会議をしたり、書類作ったりしていましたが、子どもが生まれたことをキッカケに、必然的に夜には家に帰れるように仕事の組み方や、対応を変えていきました。
もともと育児休暇には興味があったので、第一子の時も取れればよかったのですが、その時は余裕もなく生まれた二日後に京都に大学の講義に行ってたことを思い出します。
2.キッカケは社員の1か月間の出向から
実は育休を取るまえに会社で一つのできごとが起こります。当時一番若かったスタッフを一か月のあいだ、高知県の会社に社会人インターンに出しました。会社としても外の世界とノウハウを学んできてほしい、本人も小さな会社で視野が狭くなっている部分を変えることを目的としてです。
当時は専従職員は僕を含め3名、大学生スタッフも数名いる状態でした。なかなか貴重な機会だと思ったので、外にチャレンジしてもらい、僕らも仕事の担当を入れ替えたりして、うまく乗り越えることができました。
「一か月くらいなら一人減っても何とかなりそうですね、次はゲンヨウさんの育休ですね」
なんて話をしました。そうしているうちにもう少し社員も増え、平成24年の5月に二人目の子どもが生まれることになります。「育休1カ月とってみたい」と社内に話してから育休プロジェクトがスタートしました。
3.育休の準備
経営者ですし、スタッフも10名以下の組織なのでいきなりは休めません。三か月前くらいから少しずつ準備をしていきました。育休経験のあった県外のNPO経営者を繋いでもらってお話しを聞いたりしました。
具体的に社内で進めた作業は、一つは判断基準の棚卸しです。僕に相談しなくても、マネージャー判断で行って良いことを決めていきました。思った以上に僕が判断していることが多かったので、その辺の移譲をすることにしました。
細かい部分だと、○○円までのお金の支払いの決定とか。大学生スタッフから相談が来た時にどうするかとかでした。小さくても組織であり、僕が自然と決めていたことをルールにしていきました。
次に行なったことは、緊急連絡や決済方法についての整備です。組織の動きに全く関与しないことは、経営者としては物理的には無理なので、出社しなくても判断できるように整備しました。今年は特にリモートワークに注目が集まっていて、今では当たり前の機能ですが、8年前からその辺も整備していきました。
と言っても、第一子(長女)が生まれた時点で、リモートワーク対応はできるようにしていたし、大学生と一緒にプロジェクトを進めてきたこともあって、情報共有は社内SNSやメールなどを原則的に使っていました。
大学生は移動も多いし(長期休みとかいない)、世代交代が必須(個人でも最長4年、平均だとプロジェクトに関わるのは2年程度)なのでオンラインで情報を共有できる工夫が必須でした。
最後に、周りに「育休取ります!」って話をしてまわりました。その期間は、対面の打ち合わせなどは行けないこと、メールなどのリアクションも遅れる可能性があること、企画書など原則仕事はしないことなど。どうしても外との関わりで仕事が生まれるので、そこについて周りの方に情報共有していきました。
8年前ではありましたが、周りの方々も、「経営者で育休とって大丈夫?」など心配してくれましたが、「頑張って」「面白いね」など基本的には肯定的な意見が多かったです。現在は中小企業向けの施策などもあるので、企業としては手を出しやすくなっていると思います。
ただ、当時は大学の仕事もしていました。講義を担当している関係で、タイミングは夏休み(生まれてから3か月後)に育休の申請をしました(講義やテストの時期に育休を取ると、振替対応など逆に大変になると思い。そこは時期を考慮しました)。複業先だった大学から育休認可の書類が来たのは、さすがだなと思いました。
そんな準備をして子供が生まれ、8月中旬から9月中旬の一か月、僕の育児休暇は始まりました
4.育休期間中にやったこと
基本的には、家事全般と長女の保育園への送迎、生まれた子をお風呂に入れたり寝かせたりという流れでした。家の倉庫の整理など、長女が生まれてからバタバタでできなかった家の整理も少しずつやったりしました。
日中、携帯電話は持たないようにしていました。夜にメールや社内SNSの確認などの情報収集と簡単な判断はしていましたが、それ以外は家族との時間を過ごすことに集中していました。携帯を触らないと必然的に、作業に集中できてたなと思います。どうしても今は携帯だけで仕事もできるので、結果的には良い判断だったなと。
特にこれといって珍しいこともせずに日々は流れていきました。夏休みだったので、娘を連れて二人で実家に帰省してみたりしていました。これは、僕が妻の実家暮らしだったからできたことですね。娘との遠出にも抵抗がなくなった経験ができたのは良かったです。
結果的に、育休期間で会社から電話がかかってくることは無かったです。メンバーも良くやってくれたと思います。感謝しかないです。権限を委譲すること、メールやSNSなど距離が離れても仕事ができることの可能性を感じました。振返ってみれば、これ以降、テレワークというか在宅で対応できるように組織も変えていった部分もありましたし、僕自身も任せる領域を増やしていたと思います。
5.育休を経験しての3つの気づき
一つ目は、働きざかりの僕らの周りには、働けなる可能性が潜んでいること。実は育休初日、車で30分ほど離れた場所に住む妻のおばあちゃんが体調を崩して病院に行かないといけなくなりました。
おじいちゃんが心配して電話してきたので、義母を車に乗せ、チャイルドシートに長女を載せながら祖母宅に向かいます。結果的に救急車で運ぶことになり、今度は娘と救急車を追いかける形で病院へ(義母は救急車に同乗)。幸い大事はありませんでしたが僕ら世代(30代)は、父母は大病になりやすい世代、祖父母も存命ならかなりの高齢、そして子供は未就学児という、ものすごいリスクの上で暮らしているなと言うことを実感しました、しかも初日。
社員は僕より若いので、同じような状況に今後なり得るということでした。それは、会社は不測の事態に対応できるようにしておいた方が良いということです。そして、自分が健康であることも重要と言うことでした。
結果的に、この8年間で僕だけではなく社員の家族などにも、緊急なことがあったりしましたが、在宅で動けること。一人くらいちょっと長めに休んでもリカバリーできることをうまく生かしてやってきています。
二つ目は、リモートで働けることの可能性です。もちろん業種・職種によっては難しいものもありますが、在宅勤務などの方法を作って実践するだけで、子育て世代はかなり働きやすくなります。結果的に育休をキッカケにリモートワークの仕組みは確立していまして、現在では僕以外の社員も、「子供が熱出したので、通院後はリモートします」「お大事に」みたいなやり取りをしています。数年前の大雪の時もすぐに在宅勤務命令が出せました。コロナ禍でも、そこまで働き方に大きな変化はないです。
三つ目は、妻との時間が取れたことです。育休後に妻にどうだったかを聞いたのですが、「一番はコミュニケーションが取れた部分が大きかったかな」と言ってました。第二子なので、対応は慣れてきてはいましたが、小さな子を育てる時は不安はつきまといます。
調べるツールは増えても情報が多すぎて何とでも解釈できる。そんな時にパートナーと話なら決めたり一緒に悩んだり、笑ったり、そんな時間を共有しておくことが大事だなと感じました。
こうやって振返ってみても、事前準備とか大変な部分もあったのですが、育休を取ってみて良かったと思います。経営者が率先して取ることで社内も取りやすくなるようです。家族にとっても良い時間になるので、男性の育児休暇の取得をキッカケにもっと働くことが楽しめる社会になると良いなと思いました。
6.育児休暇後も子育ては続く
育休を取らせてもらった第二子も、おかげさまで小学校に二年生。今日も元気に友達と遊んでいました。平日もサッカーを習っていたり、土日はたまに試合があったり。娘も水泳とかテニスがあったりします。
習い事などはイメージがしやすいですが、送迎があり。僕の地域は、こどもだけで移動するには友達の家が少し遠いので、休日に遊ぶ時は送ったりしています。子どものための時間は育休後も発生します。
保育園に入れた最初の一年は、やたら風邪はもらってくるし。インフルエンザになれば、一週間は看病で付き添いです(うつらないことを願いながら)。家族が増えた分だけ、人生の面白さは増えますが、対応するための時間も増えます。育休はそれを濃密に、集中して体験できる時期であり、そこでいかに日々の子供との時間の使い方について、働く時間や自分の時間とのバランスを取るのかを考える機会なのかもしれません。
生まれた当初に、ズバッと取るのも大事です。特に最初の時期は体力的にも精神的にも大変なので、チームで育てる雰囲気は重要です。一方で、その後も子供に関するやることや、家事も含めたシェアを家庭内でどうするかを話していくのは重要です。
そして、企業が男性の育児休暇取得と同時に考えるべきは、未就学児から小学校低学年くらいまでの父親は定時で帰れるような仕事の組み方にすること。結果的に、子供と関係性が作れないと、面倒みるのがむずくなるんですよね。
7.結果的には面白い日々が続く
僕の感覚ですが、子供がいることで新しいことに気づく機会、自分を見つめる機会は増えているなと思います。出張に連れていけば、移動時間も含めて子供目線の時間の使い方を学びますし。
一緒に本を読んだり、宿題について考えれば、ボキャブラリーの少ない相手にいかにわかりやすく話すかとかを意識します。
自分の子供時代の経験をうまく活用しつつ、でも時代の変化が激しいので、その時に応じた情報収集も面白いです。PTAなど他の保護者とのやり取りとかも起きてますが、そこでは仕事のスキルが活きてたりします。
家族との時間に向き合うことで、僕の場合は仕事にも良い影響が起きているなと感じています。おススメですので、育休取ってみて欲しいです。もちろん、僕の体験であれば、今日のclubhouseのようにお話しすることも可能です。
今日のおまけページは、僕なりの育休時のポイントと育休の時のお金の話も書いておきます。
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