クラフツマンシップ列伝 サルト リフォームとサスティナビリティの可能性を追求する 後編
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Picture by Marco Spola
マニアックなお直しの始まり
Y:ブランド品はパターンメイドで作られているスーツが大半ですが、逆説的にサルトでリフォームすると機能性が向上することはないのでしょうか。
D:お客様も実際に着用されるとわかってくださる方はわかってくれる。どこぞのテーラーで作ったものが体に合わなくなって持ち込んで来られることも多いんです。
そういう時に例えば袖が手でつけられているのか、忠実に再現できるかどうかで着心地が全く変わります。
17、8年前はソブリンハウスやユナイテッドアローズでアットリーニの受注会をよくやっていました。当時の受注会はオーダーしてから一年後くらいの納品でやっていたのですが、あるお客様が仮縫いまでは完璧だったのに十数キロ痩せられて、1年後に出来上がってきたら全然身体に合わない。それがなんと3着あった。それでどうにかならないかと持ち込まれた。うちでお直しさせて頂いて、お客様も大変満足してくださったんです。写真を撮ってアットリーニに送り、アットリーニにも喜んでいただけた。それが最初のマニアックな服のお直しの始まりです。
Y: ナポリの郊外カサルヌオヴォにあるアットリーニのファクトリーに行かせて頂いた時は、各工程にマスターテーラーと若い職人が3〜4人のチームで仕事をしていて、どの工程でもマスターテーラーが品質管理と技術継承をしている。職人の技術の大量生産のシステムがよくできていると感心しました。
D:私もアットリーニには3回くらい行かせて頂きましたが、普通の流れ作業の工場とはやはり一線を画している。機械を使っているけど、一般的に想像する工場とは違う。
カルーゾに行った時もそうでした。アットリーニより工場の規模はかなり大きいのですが、通常のラインとは別に10人くらいでやっているラインがある。それがラルフ・レーレンのパープルレーベルとか特別なOEMを製造している。少人数で熟練の職人が担当している。そうしないと、ああいうこだわりのものは作れないんじゃないかと思います。
デイヴィッド・レッツラフ氏との信頼関係
Y:サルトではオリジナルブランドのスーツも作ってらっしゃいますね。モデルのデイヴィッド・レッツラフ氏がヴィターレ・バルベリス・カノニコのウールのシアサッカーでスーツを作ってくださったんですが、それがサルトのスーツでした。
D:コットンは風を通さないけれども、ウールのシアサッカーは呼吸するから、実際はウールのシアサッカーの方が日本の気候には合っていると思います。
Y:デイヴィッドはサルトのカタログにも長年登場していますね。きっかけは?
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