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【GENT'S STYLE】公開記事:偉大なる旅 第二回 ギネスの真贋とその後のアランセーターの伝説

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 今、オンラインで人々は繋がることができるようになり、わざわざ現地に赴いたり、人に会うことの意味が問われている。情報収集はオンライン上で誰もが可能となり、情報は均一化され、誰が書いても同じものとなる。そうした時代に私が書き続ける意味というのはどこに在るのだろうかと自問自答する。 

 私がアイルランドに行ったのはアランセーターの伝説の謎を解き明かすための大掛かりな取材で、最終的にはアイルランドの西端アラン諸島3島に行くことが目的だった。


 アラン諸島の中で最も小さいイニシマン島にはローマ教皇にアランセーターを献上した伝説のニッター(編み手)、モーリン・ニ・ドゥンネルモーリンさんが住んでいる。彼女に取材することができるかどうかで、この取材の可否が決まる。ところが彼女には電話連絡しか方法がなく、高齢のため、日によって体調が変わるので、島に行ってみるまで取材できるかどうかわからないと聞いた。彼女に取材したいなら、一番いい方法はこの島にある『イニシマン・ニッティング』社のターラック・デ・ブラカン氏に頼むことだという。突撃取材は相手に失礼だし、私は事前のアポイントなしで取材したことは今まで一度もない。しかし、今回は仕方がない。アポイントなしで遠路はるばるアラン諸島にエディターとフォトグラファーを連れて行くのが心配でならなかった。

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