なぜうなぎは「お重」なのか…すべての「おいしい」には理由がある #5 本日も、満席御礼。
登録者数40万人超の人気料理チャンネル、『鳥羽周作のシズるチャンネル』でおなじみの鳥羽周作さん。『本日も、満席御礼。』は、スターシェフへ登りつめた鳥羽さんの意外すぎる経歴や人生哲学、成功の秘密が明かされる初めての本。豪快な笑顔の裏に隠された、プロの魂に感動すること間違いなしの本書より、一部を抜粋します。
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「なぜ?」を考えると奥深い世界が見える
たとえば、うな重が「お重」で出てくるのには理由があります。
家でご飯の上にうなぎをのせても「なんか違うんだよな」と思うはずです。その理由が「ご飯とうなぎの一体感」です。
お重は表面積が大きいから、ご飯とご飯のあいだに空洞が生まれます。硬めに炊いたとしても、ご飯が詰まってしまわない。だからお重のご飯はふわふわに感じるんです。
お重だと、うなぎのふわふわと、ご飯のふわふわが一体となって、おいしくなる。丼だと高さがありすぎて、ご飯が重さで詰まってしまいます。だからうな重は「お重」がベストなんです。
僕は毎日、こんなことばかり考えています。ただ「おいしいな」「気持ちいいな」と思うだけではなくて「なぜなのか?」「どういうロジックがあるのか?」を考えていくと、料理の奥深い世界が見えてくるはずです。
たとえば、サラダ。
僕はずっと「サラダは葉ものだけだとおいしくない」と思っています。レタスやキャベツだけのサラダはあんまりおいしくない。でもそこに、食感のいい大きめのきゅうりが入っていると食べた瞬間に水がジュッて出て気持ちいいんです。
もしファミレスのサラダに角切りの野菜がちょっとでも入っていたら、グッとレベルが上がるはずです。
野菜の切り方を変えるだけでも、おいしさは変わります。ぜんぶ千切りにするにしても、そのなかにちょっと大きめに切る野菜や薄く切る野菜を交ぜる。それだけでサラダのクオリティは上がるんです。
「卵かけご飯」は少し冷ましてから
僕らがつくるサラダには、果物を入れたり、ナッツのような食感のいいものを入れたり、葉ものだけではなく、きゅうりなどジューシーなものも入れたりします。彩りが単調にならないようにパプリカのスライスで赤と黄色を入れたりもする。
それだけでまったく印象が変わります。みんなが見落としがちなサラダだからこそ、絶対にこだわってやろうと決めています。そういう部分ですごく差別化できるんです。
あと、卵かけご飯をつくるとき炊きたてのご飯でやらないほうがいい、というのは覚えておくといいと思います。ご飯はちょっと冷めてからがいいんです。
いちばんよくないのは、チンしたてのご飯。そこに生卵をかけると、ご飯が熱すぎて卵に火が入ってしまうからです。ご飯はちょっと置いて冷ましてから、卵かけご飯にするほうがおいしいんです。
あと、大半の人はパスタを平皿に盛ってしまいます。パスタを平皿に盛るとソースを絡めづらくなります。だから僕らは、ちょっと凹んだ皿に盛ります。するとソースがぜんぶちゃんと絡んでおいしくなる。ラーメンを平皿で食べないのと同じことです。
マクドナルドのハンバーガーも感覚を研ぎ澄ませて食べるといろんなことに気づきます。ピクルスの酸味にもトマトの水分量にも意味があるんです。そこを気にして食べられるようになると「やっぱりマクドナルドってすごいな」と思えるようになります。
マックのコーラの、ちょっと炭酸が抜けてるぐあいって、最高なんです。あれはハンバーガーを食べながら飲むのに、いちばん適した炭酸ぐあい。ペットボトル開けたての強めの炭酸だと飲みづらい。
「なぜおいしいのか?」の理由を考えていくといろんなことに気づきます。
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