緊縛される美女たち…官能小説の金字塔、衝撃の第2弾! #1 花と蛇2 涕泣の巻
緊縛、浣腸、剃毛……。義理の娘とともに、ズベ公たちによって性の奴隷となり、屈辱的な調教を受ける静子夫人。救出にきた探偵の京子もなぶられたうえ、妹の美津子までが捕らえられた。やがて、美津子の恋人とその姉が新たな餌食に……。団鬼六文学の最高傑作として、一部で高い評価を得ている『花と蛇』シリーズ。その第2作め、『花と蛇2 涕泣の巻』の冒頭をご紹介します。
* * *
二人の美女
「どう、御気分は?」
銀子と朱美が鍵を外して、牢舎の中へ入って来た。美津子は、慄然として、体を硬化させる。一時間ばかり前、この毒蛇のようなズベ公達は、調教師に顔を見せるんだと姉の京子を何処かへ引き立てて行ったのだ。
屈辱の象徴のような小さいバタフライ一枚を身に許されただけの美津子は、緊縛された身をくねらせ、後ろの柱へ顔をすりつけるように伏せる。
「お姉さんがいなくなって淋しいだろうと思ってね、お友達を連れて来てあげたよ」
朱美は、そういって振り返り、手招きすると、悦子とマリが、桂子を引き立てて来た。
今まで、姉の京子が立ち縛りにされていた柱へ、ズベ公達は桂子を押しつけ、ひしひしと縄をかけ始める。
必死に顔をよじっている美津子の顎に手をかけた銀子は、ぐいと美津子の顔を桂子の方へ向けさせて、
「お嬢さん、ちょいと見てごらん。こういうのを股間縛りというのだよ。そのうち、貴女にもしてあげるわね」
銀子は、そんな事をいって笑い、次に、悦子とマリにいった。
「桂子の股縄だけ外してやんな。それから、おしめを当てておやり。ふふふふ、だけど、よく辛抱したわね。桂子」
悦子とマリに股縄を外された桂子は、その代りに、悦子が用意して来た真っ赤な布を褌のようにしめられていくのである。
桂子は、もうこれらの悪女達に抵抗する気力を失ったように、されるがままになっている。
美津子は、そうしたズベ公達の残忍な行為を見るに忍びず、眼を伏せ、恐ろしさに震え出す。
「おっと、こちらのお嬢さんの方は、お姉さんのお古で間に合わせて頂くとしようよ」
悦子は、桂子の腰に褌をしめ終えると、ズボンのバンドにはさんでいた、桃色の布――一昨日まで京子がしめさせられていた褌を手に取って、美津子に近づくのだ。
「やめて、嫌、嫌です!」
美津子は、両肢を固く閉じ合わせて激しく首を振る。
「何いってんのよ。その可愛いバタフライを汚されちゃ、こっちが嫌だわ」
悦子とマリはそういって、美津子のバタフライの紐を解き始めていた。
遂に、悦子とマリに、ピンクの褌をしめられてしまった美津子は、消えいるように首を垂れ、すすりあげる。
赤と桃色の色褌を、キリリとしめられた、二人の美しい乙女を、しげしげと見た銀子と朱美。互いに顔を見合わせて、とってもよく似合うわね、と笑い合う。
「いいかい。あと三十分ばかりしたら、また来るからね。それまでに今しめてあげた褌をおしめの代用にして、二人とも、ちゃんと用をすませておくのよ。もし、いわれた通りにしていないと、お仕置するからね」
美津子は、それを聞くと真っ赤になり、声を震わせて泣きじゃくるのだった。
「いいね、三十分以内にだよ。お互いに、よーい、どん、と調子を合わせて、一緒にすませるがいいわ」
ズベ公達は笑い合い、揃って出て行こうとしたが、銀子は、ふと足を止めて、
「そうそう、二人とも、初対面だったわね。一時、桂子はこの葉桜団と関係していた事があるのさ。馬鹿な娘だよ。自分が何時か葉桜団のいいカモになるってことも知らずにね。結局、美しいママと一緒に森田組の商品になっちまったわけさ」
朱美が美津子の紅潮している頬を指でつつく。
「こちらはね、美津子さん。夕霧女子高校の才媛よ。私立探偵美人秘書、京子の妹だったのが、運のつきね。これからは、お姉さんと一緒に秘密ショーのスターとしての修業をするのよ。年も背恰好も大体、二人とも同じ位だし、今後は二人コンビで色々な芸当を教えこんであげるわ」
固く眼を閉じ、唇を噛んで、美津子と桂子は、鬼女のようなズベ公達の言葉を聞いている。
ズベ公達が高笑いしながら、外へ出ていくと、ひときわ激しく屈辱がこみあがってきて、美津子は身を震わせて、号泣するのだった。
そんな美津子に涙でうるむ瞳を向けた桂子は、すすりあげるようにいう。
「――美津子さん。貴女とお姉さんの事は、今の連中から私、よく聞かされて知っていましたわ。許して、一番悪いのは私なのよ。私のために、ママや貴女にまで――」
桂子は、たまらなくなったように声をふるわせて、すすりあげる。
「桂子さん。ここから逃げる方法はないのでしょうか。私、私、気が狂いそうです」
美津子は、眼の前の柱に緊縛されている桂子に、キラキラ涙で光る瞳を向け、声をつまらせていう。
「駄目よ。ここは森田組の本拠ですもの。それに、こんな姿にされて、逃げられる筈はないわ。時期を待つより仕方がないわ」
「でもそれまでに、私達、どんな目に遭わされるか、わからないじゃありませんか」
美津子は、しきりに身をもみ、何とか縄目をゆるめようと悶え出したが、びくともするものではなかった。
「駄目だわ。ああ、お姉さん」
美津子は、どうしようもないようにぐったりして柱に背を押しつける。ここから連れ出されて行った姉の京子が、ズベ公達に今頃、どのような悪どい責めに遭っているのかと思うと美津子はたまらなくなってしまうのだ。
「美津子さん。もうそろそろ時間だわ」
桂子が、おろおろしながら美津子にいう。
銀子や朱美が再びここへ来る前に、彼女達が命じておいたことをしていないと、どのような責め折檻に遭うかわからないと、桂子は口ごもりながら美津子にいうのだ。
「嫌よ。そ、そんな事、私、死んだって、嫌々」
美津子は、真っ赤になった顔を激しく振った。
「貴女は、連中の恐ろしさをまだ知らないのだわ。私だって、死ぬ程、恥ずかしい事よ。でも、一旦、そうしなきゃ、どんな目に遭わされるか――それに――」
桂子は、先程から生理の苦しさに悶えていたのだ。だが、美津子は、泣きじゃくるだけで、桂子のいう事を聞こうとしない。
「美津子さん、お願い。しばらく眼を閉じていて――」
桂子は、仕方なく、気弱に眼をしばたきながら、美津子にいうのだった。
美津子は、顔を横へねじるようにそむけ、固く眼を閉じる。
「美、美津子さん、お願い。こっちを見ないでね」
音はやんだが、桂子は哀願的に何度も美津子にくり返すのだった。
と、同時に、ズベ公達の足音。ギーと扉の開く音。
美津子は、ギクリと身を震わせ、深く首を垂れる。入って来たのは、悦子とマリの二人だった。
「わあ、ずいぶんと派手に濡らしちまったわね。桂子、昨日のママそっくりじゃない」
二人のズベ公の高笑い。しかし、それは、すぐ止まった。
「なんだい。美津子の方は、おしめを使っちゃいないよ。一体、どういう気なんだよ。私達にさからう気なのかい」
美津子のセーラー服を着こんでいる悦子が眼をつり上げて、どなった。
美津子は、悦子とマリに、いきなり横面をひっぱたかれ、憤怒のこもった美しい瞳を開き、歯を喰いしばったような表情で、二人のズベ公を睨む。
「何だい。その顔。あたい達にさからう気なんだね。よし、そういう了見なら、こっちにも考えがあるよ」
悦子とマリは、美津子の縄尻を柱から外すと、どんと美津子の背を突いた。
「おしめを使わなかった事を後悔するようにうんと責めてやるよ。さあ、表へ出な」
美津子は二人のズベ公に縄尻を取られて牢舎の外へ突き出される。
桂子のいう通り、葉桜団の残忍さを美津子は、骨身にこたえるほど思い知らされる時が来たのだ。
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