#2 平成ネット史 永遠のベータ版
なぜ「平成ネット史」を知るべきなのか?/堀江貴文
「これからインターネット社会とどう付き合っていけばいいでしょうか?
そう聞かれることも多いのですが、変わっていく世界に合わせて「自分を最適化」し続けていくしかない、と答えています。
あとは、未来のことなんて考えないことです。
そもそも未来のことなんてわからないものなのです。僕だって、いつ何が起こるかなんてわかりません。
新型コロナウイルスが世界中に蔓延して、社会や経済を混乱させるなんて思ってもいませんでしたし、そのあおりを食う形で、東京オリンピック・パラリンピックが延期されるなんて考えもしませんでした。
大切なのは、わからないから「不安がる」のではなくて、「何が起こっても大丈夫」なようにしておくことです。
具体的には「ふだんと違うことをつねにやっておく」ことです。
毎日同じことをルーティンでやるのではなくて、毎日のように違うことをする。全然知らない人、全く別のジャンルの人と会ってみる。それが練習になるわけです。
時代の変化は大きいし、どんな変化が起こるかはわかりません。予測がつかない。予測がつかないから、予測しようとしても無駄なんです。だから何が起こっても大丈夫なようにしておく。そして、臨機応変にそれに対応すればいいのです。
「フェイスブックに慣れているのでツイッターはしません」
「ずっとインスタグラムをやってきたからインスタグラムしかやりません」ではなくて、TikTokが出てきたら触れてみることです。
「新しいSNSが出てきてめんどくせえな……」と思うのではなくて、
「おっ、新しいSNSが出てきた! おもしろい!」というぐあいに「ポジティブ脳」になることが、この変化の大きなインターネット社会を生き抜く上で大切なのです。
「日本」ではなく「世界」が変わった
未来を予測することに意味はありませんが、これまでの軌跡を振り返ってみることには意味があります。日本でネットが普及し始めてからの30年間、世界はどんどん変化していきました。
たとえばこの30年ほどのインターネットの歴史を振り返ってみると、日本の置かれた立場の変化にも気づきます。
日本が「経済大国」「先進国」といわれたのは、過去の話になりました。
スマートフォンの登場によって一気に「リープフロッグ現象」が起きたからです。リープフロッグ、つまり、カエルがひとっ跳びするように、これまで発展途上国だとか、後進国だといわれていたような国が、スマホが一気に普及したことで、いきなり日本を跳び越えて発展してきたのです。
たとえば中国に行くと、みんなQRの2次元コードや顔認証で決済しています。スーパーやレストランはもちろん、市場や屋台ですら、キャッシュレスが当たり前なのです。アリババなどのECも勢いがあって、11月11日の「独身の日」には7・9兆円にのぼる取扱額があったりする。そうなってくると「日本が変わった」というよりは、日本はあんまり変わっていなくて、「周りが大きく変わった」のかもしれません。
日本はインターネットの世界でちょっと先に進んでいたぶん、スマホが出てきたときに対応できなかった。スマホの直前までは、結構有名なウェブサービスもいっぱいあったのですが、それ以降は他の国の後塵を拝しているのです。
賢者は「歴史」に学ぶ
本書は、これまでの日本インターネット史を総復習しようというものです。
ウィンドウズ95の登場から、2ちゃんねる、ニコニコ動画、iモード、iPhoneの到来、mixi、LINE、ツイッター、ユーチューブまで、一気にインターネットの歴史を見ていきます。
また、iモードのことを夏野剛さんに、mixiのことを笠原健治さんに、ツイッターのことを津田大介さんに、LINEのことを舛田淳さんに聞くなど、当事者の生の声もふんだんに盛り込まれています。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ということわざがあります。
歴史を振り返って懐かしむだけではなく、歴史に学ぶことです。未来のことなんて考えても意味がない、というのが僕の基本的なスタンスです。ただ、本書によって過去を振り返ることで、これからのインターネット社会を生き抜くヒントが見えてくるかもしれません。
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